こちら葛飾区水元公園前通信737

 ジョナサン・キャロルの「薪の結婚」(創元推理文庫)を読んだのだけれど、どうしてものれなかった。キャロルは本当に好きな作家なのだし、前作の「蜂の巣にキス」も純粋なミステリーであるにもかかわらず、ものすごく楽しんだのだけれども。
 ネタばらしになるので、ストーリーは書きにくいのだけれども、今回の主人公は古書販売業を営む30代女性。学生時代のボーイフレンドのことは好きだったけれど、大学進学と同時に別れている。そして現在、妻子ある男性と関係を持っている。本人の意図とは別に、主人公のエゴが世界を変えてしまっているし、主人公には自分は知らないけれどもそうした力を持っている、というのが話のテーマ。
 けれども、前半の主人公の迷いというのが、どうしてもキャロル独特の違和感につながっていかない。そしてそのことが後半、解き明かされ、解決されようとしていくのだけれども、設定そのものが緻密さを欠いているのではないか、そんなふうに感じてしまうのだ。
 薪の結婚、というのは、重要な記憶を書いた木片を貯めておき、そのことが重要でなくなったときに積み重ねて燃やすという行為を示している。けれども、どうしても、そのことがストーリーのモチーフとして以上のはたらきをしていない、そう感じられてしまうのだ。
 まあ、ぼく自身が現在、困難な状況にあって、なかなか頭が回っていかないということはあるのかもしれない。そうではあっても、運よく大阪出張の新幹線の中という読書時間を手に入れたのに、ということはある。
 うーん、どうなんだろうなあ。

 森敦の「酩酊船」(講談社文芸文庫)も読んだ。森もまた、ぼくはものすごく好きな作家なのだけれども、1934年に書かれたこの作品は、また違った味わいがある。横光利一に見出された作家は、「酩酊船」というタイトルで、幻想の中に世界の真実を見つけようとする試みを小説に落とし込もうとする人物が主人公となって展開されていく。未完なのだけれども、森がどうしてあれほどまでにマンダラにひかれていったのか、わかる気がする。というのも、マンダラの単純で複雑な世界観こそ、森の感じている世界観に近かったのではないか、と思うのだ。そこに出会うまでにさらに40年という時間を必要とした。そこまで、放浪の人生を過ごすことになる作家の、そのスタート時点の作品というのが、この本ということになる。
 それにしても、たばこ中毒というのは、やめてくれよな、とも思うのだけれども。

 先日は、ソフビのウルトラセブンXの人形を売っていたので、つい、息子と買いにいってしまった。息子はゴルザを買った。
 ウルトラセブンXは深夜の大人向けのウルトラセブンなわけで、顔が怖いのと身体がたくましいという造形が特徴。腹筋なんかすごくって。
 とまあ、そんなわけで、限定版という言葉に弱い、ということではなく、Xそのものがけっこう好きだったということがあって、買ってしまった。
 ソフビの人形はどうなっているかというと、お風呂場にみんな集まっている。

 で、大怪獣バトルである。昨年末「ウルトラギャラクシー」という番組があって、ウルトラマンに変身するのではなく、怪獣を使ってバトルするという、まあ、怪獣でポケモンをしているようなものなんだけれど、それの最後の3回(全13回)をBSで見たりもした。まあ、それはいいや。最終回では、そういう展開だったのか、と思ったりもしましたが。ゴモラエレキングを操って、ゼットンやキングジョーと闘うっていう、ね。
 で、代価移住じゃなかった大怪獣バトルというゲームである。ムシキング恐竜キングを怪獣でやるという。何が言いたいかというと、EXエレキングツチノコみたいで気持ち悪いっていう、そういうことが言いたかっただけ。テレビのEXゴモラは強そうだったんだけどなあ。

 前々から計画していた、ヘビイチゴソメイヨシノの実を使った果実酒を仕込んだ。そんなもの、飲めるのかと思うでしょ。たぶん、飲める。けど、きっとおいしくない。まあ、ソメイヨシノの実は濃い紫色なので、色だけはきれいな果実酒になると思うのだけれども。
 ついでに、公園で桑を見つけたので、そっちも仕込んでみようと思う。
 昨年のラズベリー酒はなかなか個性的な果実酒になっている。