こちら葛飾区水元公園前通信905

 こんばんは。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大は、日本ではとりあえず終息の方向に向かっているといっていいのでしょうか。

 とはいえ、第二波を考えると、すぐにすべてが元に戻るということはなさそうです。

 ウイルスの弱毒化、ワクチンや治療薬の開発、免疫の獲得、というのが重なって、ゆっくりと戻るのでしょう。

 ぼくはといえば、1カ月半の在宅勤務でした。来週からまた、通勤します。

 

 在宅勤務だからといって、仕事はかえって増えたような気がして。いや、集中できないから時間がかかっているのかもしれませんが。まあ、そんなもんです。

 

 そんなわけで、陳彦の「西京バックステージ仕込み人」(晩成書房)の上下巻を読んでいました。

 陳彦は中国の劇作家でもあるのですが、そんな立場から、あまり日の当たらない、舞台の設営を担う人たちの姿を描いた小説です。

 裏方だし、あまり収入も良くないというだけではなく、弱い立場で値切られたり支払いを引き延ばされたりと。主人公は50歳近い親方。3人目の奥さんをもらうのですが、娘がこれに反発、2人目の奥さんの連れ子に対してもつらくあたります。兄は麻雀に人生をかけ、マカオ在住。金銭感覚がまったくちがうし。とまあ、そんなこんな、60年代の日本の喜劇映画のようなテイストで、主人公の痔が悪化してこっちまでお尻が痛くなるとか、そんな本です。そのわりにはボリュームがたっぷりあって。

不幸な主人公ではありますが、それでもどうにか回っていくし、結局のところ笑うしかないエピソードが積み重なっていくわけです。

 まあ、最近、あまり読んでいないテイストの小説でした。

 なかなか一般的なおすすめ、ということにはならないだろうなあ、とは思いますが、あまり訳されないタイプの中国の小説ですね。

 

 カルメン・マリア・マチャドの「彼女の体とその他の断片」は、おすすめしてもいいかな。

 とてもストレンジな作品が収録された短編集です。

 実際にレズビアンで女性と結婚しているマチャドの作品は、性を攪乱させていきます。

 「とりわけ兇悪」という作品は、テレビドラマ「性犯罪特捜班」のシーズン1からシーズン12までのサブタイトルとそのあらすじを書いたものですが、あらすじは実際のドラマとはまったく異なり、主人公たちは同性愛に走ったりします。まあ、めちゃくちゃなあらすじがつづきます。「本物の女には体がある」や「八口食べる」は、社会において女性の体がどのように扱われているかが、幻想小説として描かれます。

 シャーリィ・ジャクスン賞もだてじゃないな、と。

 

 今期のアニメ、「かくしごと」を観ています。エンディングは大瀧詠一の「君は天然色」です。メロディが頭から離れません。でも、実は大瀧の歌い方と松本隆の詞はあまり好きじゃないなあ、というのはあるのですが。

 

 とまあ、そんなこんなで、運動不足解消で水元公園を散歩したりする日々でした。

 それと、思うところあって、断捨離というか、かなり多くの本を処分しました。この先読まないだろうし、原稿を書く上でも参考文献にしないか、あるいはいつでも図書館で読めそうなものが対象。ちょっとさっぱりしました。断腸の思いで処分してるんですけどね。

 

 今月はこんなところで。

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