ビブリオバトルがオリンピック種目に

tenshinokuma2014-04-01

 東京オリンピックで、ビブリオバトルが種目として採用されるという。
 ちょっとびっくり、でもまあそれもいいかな。といっても、正式種目ではなく、あくまで公開競技ということだけれど、それでもメダルはあるし。公開競技っていうのは、たとえば1984年のロスアンゼルスオリンピックでの野球がそうだった。
 ビブリオバトルというのは、参加者が互いにおすすめの本をプレゼンテーションし、審査員が読みたくなった方が価値という、そういうバトル。でも、なんでそれが、オリンピックに?とは思った。
 でも、チェスなんかもオリンピック競技の候補になっていたというから、いいのだろう。
 今回のビブリオバトルは、猪瀬前都知事がIOCとの間で話を進めていたということだ。
 そもそも、猪瀬前都知事は、副知事時代から、ビブリオバトルを推進していた。こうした取り組みで青少年の読書離れが止まればいい、とかそんなところだろう。
 かなり具体的なところまで決まっていたのだけれども、いろいろあって辞任、宙に浮いていたらしい。
 猪瀬がビブリオバトルにこだわったのは、オリンピックという舞台で、互いの文化を尊重し合うことができる競技として、ふさわしいものだと考えたからだという。ほんと、世界の国々が、スポーツで競うだけじゃなく、互いの文化を理解し合うっていうのは、平和の祭典らしくていいな、と思う。それに、正式競技ではないにせよ、東京を文化都市としてアピールするには、悪くないアイデアだ。また、オリンピックの精神にもふさわしいということで、IOCもかなり前向きだった。こうした案件を、さすがに舛添知事もつぶすのはためらわれたらしく、JOCと協議し、具体化した。
 今後、国際ルールの策定や、予選の方法などが検討・具体化されていく。言語の問題も大きい。各国の選手は、自国の公用語でプレゼンテーションをすることになるが、各国の審判員に対しては、通訳が必要になる。したがって、優れた通訳の育成も、課題となってくる。国が違えば、文化も違うわけで、文化を超えて、世界各国の審判員に読みたいと思わせるのも、テクニックが必要となるだろう。もっとも、紹介する本は自国のものとは限らない。米国の選手がハルキ・ムラカミを取り上げたりすることもあるだろう。
 今のところ、マンガや絵本も大丈夫ということだが、どこまで許容範囲化も検討課題だ。日本選手が例えば南京大虐殺を否定するような本を選べば、問題となるだろう。もっとも、審判員はあくまで政治的に中立であるということだ。政治的な本を選べば、それだけ審判が厳しくなることも予想される。また、試合に参加している国からは、審判は選ばれない方向で調整されているし、そうしないと、日本選手と中国や韓国の選手との試合は混乱する可能性もある。もちろん、そんなことはなければいいのだが。
 今後、国際ルールを決めて、国内大会や地域ごとの大会が行われ、2020年の東京オリンピックにつながっていく。オリンピック予選では、日本は優先的に参加枠が確保されることになる。また、その前にアジア大会も予定されている。
 さんざんな評価の猪瀬前都知事だけれども、置き土産としては悪くない、と思った。もっとも、猪瀬自身、選手として参加することをねらっているともいう。ビブリオバトルなら、オリンピックに出られるかも、ってね。
 ということは、他の人にもチャンスがあるということだ。今からビブリオバトルの特訓をすれば、十分間に合う。ぼくも、と、少し考えてみたりもしたのであった。
 ちなみに、東京オリンピック組織委員会の委員長は、ビブリオバトルをプロレスのようなスポーツだと思っているらしい。