こちらつつじが丘野川どんぶらこ通信954

 こんにちは。

 今日は大寒です。寒いのは苦手です。ということで、今年最初のどんぶらこ通信です。

 

 まず、告知から。

 1月15日に発売された、週刊ダイヤモンドには、ぼくが書いたダイヤモンドオンラインの記事が転載されています。脱炭素の注目会社です。

 

 それから、今月末には、トーキングヘッズ叢書No.97 「LOST PARADISE〜失われた楽園」が書店に並びます。今回は、ガッサーン・カナファーニーの小説と、イスラエルSFアンソロジー「シオンズ・フィクション」を中心に、ガザのことを書きました。

 ガザで起きていることは戦争ではなくジェノサイドだと思うし、ハマスの攻撃はテロではなく占領に対する抵抗だと思っています。

 とにかく、1秒でも早くこの事態が終わることを願っています。毎日、NHK-BSのワールドニュースで、とりわけアルジャジーラのニュースでガザを見るのはつらいです(そして、イスラエル側の報道をするドイツの放送は不快になりますし、その点でスペインの放送はあまりバイアスがかかっていなくていいです)。

 

 年末年始は、何かのんびりと過ごしていました。

 恒例の七福神めぐりですが、2日に千寿七福神、3日に取手七福神に行きました。

 取手を選んだ理由は、1月8日で湯楽の里取手店が閉店になってしまうので、その前に行こうということです。

 でもまあ、年始の利根川沿いを散歩するのも気持ちのいいものでした。

 

 年末には、友人W他2名とともに、関八州見晴台のトレッキング。西吾野駅からスタートし、高山不動尊を経由して目的地へ。その名の通り、武蔵、上野、下野、相模、常陸、下総、上総、安房の8州が見渡せる低山です。まあ、実際にはそこまで見えませんでしたが。

 ゆる山歩きのあとは、休暇村奥武蔵で温泉につかってきました。

 

 今年最初の山は、北区の飛鳥山でした。まあ、トレッキングというほどではないですが、標高25.4mの山であることは間違いありません。飛鳥山は何度も行っているけれど、今回初めて山頂の標識を見てきました。

 

 今年2つ目の山は、相模原市津久井城山です。山全体が津久井湖城山公園になっていて、山頂は標高375m、飛鳥山よりは高いですね。

 元々、城があったところで、遺構があって、それなりに歴史を感じます。

 帰りはバスがなくて、バスの多いところまで1時間くらい歩きましたが。

 

 最近、気になっているのが、武蔵五日市の方にある、ためぐそ山です。これもゆる山なのですが、名前のインパクトが強いですね。そのうち、行ってきます。

 

 昨年末に読んだのが、ジュディス・バトラーの「この世界はどんな世界か?」(青土社)です。

 コロナ危機をきっかけに、社会の格差が浮き彫りになったと思います。エッセンシャルワーカーという言葉ありました。医療従事者を含めたケアワーカーは、パンデミックの危機の中でも仕事をしなきゃいけない。経済だけではなく命の格差まであります。

 お金持ちは自宅にこもり、ギグワーカーの人たちが料理を届ける、というのも同様です。

 私たちはそういう世界に生きているということです。

 

 カレン・ティ・ヤマシタの「三世と多感」(小鳥遊書房)は、おすすめの短編集です。

 名前の通り、日系アメリカ人です。邦訳された「熱帯雨林の彼方へ」(新潮社)の印象が強くて、マジックリアリズムというイメージがありますが、まあ、もっとトリッキーです。

 どのように移民がやってきて、どのような歴史をたどり、今にいたるのか、一世、二世とどのようにちがっているのか。

 最初の短編、「風呂」を読むと、入浴という文化をめぐって、日系人の姿が描かれます。日本に行き、銭湯に入ったりもします。

 でも、そうしたことが、常に視点をずらしながら書かれていて、そこはマジックリアリズム的なものに通じていきます。三世は日本人ではなく、日系アメリカ人だし、そこには、日系アメリカ人として生きること、第二次世界大戦中に収容所に送られたということも含めて、バトラーのいうパフォーマティビティというものがあるのでしょうか。

 

 シオドラ・ゴスの「メアリ・ジキルと囚われのシャーロック・ホームズ」(早川書房)は、アテナ・クラブシリーズの三冊目にして完結編。登場人物が途中でしゃべりだす独特のスタイルが楽しい本です。

 ヴィクトリア朝フランケンシュタインやモロー博士の娘たちが活躍するのですが、ゴスもまたフェミニズムを意識していて、アテナ・クラブのメンバーがしゃべるのは、当時消されていた女性の声を書いているということだそうです。その声が心地よく響きますし、当時の男性社会の問題をやんわりと告発します。

 前作、欧州旅行は、旅行のシーンがちょっとだらだらしすぎているなあって思いましたが、今回はもう少し引き締まった感じです。それに、メイドのアリスがヒロインとして活躍することそのものもまた、ゴスの女性に対する考えが示されています。

 

 岡真理の「ガザとは何か」(大和書房)は、ガザについて知りたい人はぜひ、読むといいと思います。昨年末に行われた2回の講義をまとめ、緊急出版したものです。

 岡はそもそもイスラエルという国が70年以上もパレスチナを侵略してきたことが問題であるといいます。そして、ガザが封鎖され、パレスチナ人が希望がないまま暮らしているといいます。そこでのハマスからの攻撃は、むしろ自衛のためのものだし、ハマスが最初に攻撃したのはイスラエルの基地だったといいます。

 イスラエルパレスチナ人に対して行ってきたことは、生命ではなく生きる希望を奪うようなジェノサイドだったし、そうした中、現在は本当に命を奪っているということになります。

 ぼくがトーキングヘッズ叢書に書いた文章とともに、読んでもらえるとうれしいです。

 

 昨年は、果実酒をたくさんつくりました。誰も見向きもしない、公園とかのサクラやヤマモモやヒメリンゴ、街路樹のヤマボウシなどを使っています。これが、思いのほか、よくできています。ヤマボウシはけっこう甘い果実酒だし、ヒメリンゴは食べると渋いのだけれど、果実酒はいい香りと甘み、酸味のバランスがいいのです。

 できれば今年も作りたいとは思っています。まあ、公園の果実を持ってくるのは、あまり褒められたものではないですけど。

 でも、食べられる木がそのあたりにたくさん生えているというのは、悪いことではありません。というか、都市にそうした木を増やそうという運動もあるそうです。それは、困難な生活をしている人たちの食糧の一部にもなるからです。それがすべてを解決するのではないにせよ、食べられる公園、食べられる街路樹というのは、それはそれで豊かなものだとも思います。

 そうなったら、ぼくは自分が味見をする分だけ、少しだけいただければ、とも思います。あとは、例えば子供たちがおやつにしてもいいし。まあ、ヤマボウシなんかは、食べるとモモみたいでおいしいですよ。

 

 ということで、ではまた。