こちらつつじが丘野川どんぶらこ通信949

 こんにちは。

 告知しそこなったのですが、FLASHの8月22日・29日合併号で、「規制でチェック&解消せよ!実家両親の隠れ無駄遣い」という記事に、ちょっとだけ登場しています。お金のプロとして。って、なんだよそれって言われそうですね。

 まあ、どこかで見かけたら、読んでみてください。

 ぼくのところにも掲載誌が送られてきました。なんだか、ひさびさに袋とじのところを切り開いてしまいました。

 あっ、でもこの号、自民党女性局パリ視察の記事はおもしろかったです。

 

 そんなわけで、久しぶりに山に行ってきました。1泊2日の日光白根山です。

 尾瀬に行くときに、鎌田バス停から白根山方面のバスが出ていて、機会があればそっちも行ってみたいと思っていました。ということで、行ってみました。

 前日は丸沼高原で宿泊。初日の午後は丸沼遊歩道を軽くトレッキング。シャレー丸沼にとまったのだけれど、夕食なしはわかっていましたが、周囲にもレストランなどはなく、売店で冷凍食品を買って食べました。わかっているなら、駅弁(峠の釜めしとか)やお酒とか持ち込んでおけばよかった。お客様向け冷蔵庫もあるのに。でも、温泉ではゆっくりしました。

 翌日、日光白根山に登頂。ふもとからロープウェイで標高2000mまで。そこから2578mまでだから、高低差は高尾山並みですね。とはいえ、最後のガレ場とか、山頂までは岩をはいのぼったりするので、それはそれで大変だし、人によっては高山病にもなります。

 とはいえ、樹林帯はすごくきれいだし、ガレ場とはいったものの、高山植物のいろいろな花が見られて、こころがなごみます。

 写真などは、フェイスブックで。

 

 海は、2回ほど行きました。

 1度は千葉県の勝浦海岸。外房線で行ったけど、ちょっと遠かった。狭いエリアの砂浜だけしか泳げません。でもまあ、フグが泳いでいるのをたくさん見たからいいか。

 勝浦の本当の目的は、勝浦市唯一の銭湯である松の湯。なかなかしぶい田舎の銭湯でした。

 

 もう1度は神奈川県三浦市の和田長浜海岸。ここも近くはなくって、三崎口からまたバスにのって、さらに1kmくらい歩かなきゃいけないんだけど。でも、のんびりしていてよかったです。岩場もあるけど、礫岩で藻がたくさんはえていてとがっていないし、全体に浅い。それほど豊かな生物相というわけではないけど、いろいろな魚を見ました。キュウセンやホンベラなどのベラをはじめ、タカノハダイも優雅に泳いでいたし、チョウチョウウオのような魚もいました。あとは、ニザダイみたいなのとか。

 もっとイソギンチャクとかウミウシとかたくさん見られるとよかったんだけど。水もあたたかかったです。

 で、三崎の本当の目的は、三浦市唯一の銭湯であるクアーズMISAKI。昔はいけてる銭湯だったと思うのだけど、結構老朽化していて、大浴槽はもう使われていなかったし。でも、なかなかのんびりした銭湯でした。

 

 シオドラ・ゴスの「メアリ・ジキルと怪物淑女たちの欧州旅行 ウィーン編・ブダペスト編」(早川書房)の2冊を読み終えました。けっこう時間がかかりましたね。

 前作は割と面白かったので、けっこう期待して読んだのですが。

 前作では、メアリ・ジキルやダイアナ・ハイドをはじめ、モロー博士の娘やフランケンシュタイン博士の娘などが集合し、事件を解決、このメンバーでアテナ・クラブを結成するところまででした。それぞれのエピソードがおもしろかったのですが。

 今回は、ハンガリーでルシンダという少女を助けてほしいという事件がアテナ・クラブに届き、オーストラリア/ハンガリーに向かうという。ただ、出発までが説明が多くて、ちょっと眠くなります。前作同様、登場人物たちのツッコミは楽しいのですが。でもまあ、このメンバーに吸血鬼の娘が加わるというのは見えていますね。

 話はちょっとテンポが悪くって、そうした中で、ダイアナの活躍が楽しいです。

 で、話は完結していなくって、次の事件が発生するところで終わっています。次も読みます。

 

 トマ・ピケティ著「自然、文化、そして不平等」(文藝春秋)は、コンパクトな本で、おすすめです。すぐに読めます。

 ピケティというと厚い本が出ているのですが、この本はそのエッセンスみたいなものでしょうか。不平等をつくりだしている現在の資本主義社会を批判しているのですが、フォーカスしているひとつが教育。政府が教育予算をつかうといっても、それは平等ではなく、お金持ちで勉強する機会がある学生を対象とした大学なんかに予算をふりわけ、教育の機会平等にはなっていない、と。フランスですらそうなのですから、まして日本はもっとひどいものです。

 

 小野正嗣著「浦からマグノリアの庭へ」(白水社)は面白かったです。エッセイ集ですが。小野はずっとNHKの「日曜美術館」に出演していて、その人がどんな本を書くのか興味があったわけです。

 フランス文学者なので、フランス滞在時のマグノリアの庭と、出身地の長崎を結びつける表題のエッセイが全体を通していて、その合間にいろいろな作家が論じられている。なかでもマリー・ンディアイが印象的。インタビューもしている。「生きた玩具」という作品が主に取り上げられるのだけれど、これは老小学校教師が長年にわたって女性とに性的ないたずらをしてきたことが暴露されるという話。なんだかジャニーズみたいだけど。ンディアイは暴力にさらされる子供をしばしば描く。彼女の生い立ちも関係するんだけど。

 マグノリアの庭というのは、小野が住まわせてもらった大学教授の家の庭のこと。直接の恩師ではないにせよ、タルトを焼くのが上手な教授なので、それだけでパリから離れて住む価値があるという。

 小野のあとに住むのが、難民のK。彼は不法難民であり、送還されるかもしれない。そのKを守ろうということ。

 世界の不平等さに対する異議申し立てが底にはあるような気がします。

 

 立岩真也が亡くなったのは、実はかなりショック。生存学を専門とする哲学者、といえばいいのかな。相模原のやまゆり園事件を覚えているだろうか。重度の障害者19名が殺傷された事件。障害者は生きる価値がないのか。意思疎通すらできない相手はどうなのか。あるいは、安楽死は肯定されるべきなのか。

 こういった問題について、あーでもないこうでもないとぐだぐだと考え、論じていくスタイルは、実はけっこう影響を受けている。スタイルというより内容もなんだけど。

 最新刊の、「人命の特別を言わず/言う」(筑摩書房)では、動物の命を奪うことはどうなのか、でも食べるためには必要ではないか、では知的だとされるチンパンジーの命は守られるべきなのか、それに対して知的障碍者はどうなのか、そういったことがずっと語られている。

 ぼくはヴィーガンではないから肉も食べるし、立岩も食べていた。食べるという行為の中で命が奪われていくのは、ぼくも否定しない。まあ、人類は肉を食べ過ぎているとは思うけど。だからといって、無駄に生物の命を奪うべきではないとは思う。虐待はもってのほか。競馬ならいいというものではない。とは、ぼくも思う。

 だから、人命の特別をそこでは言うし、人間はよほどの場合でない限り、人間を食べない。「アンデスの聖餐」とか「ひかりごけ」とかはそのよほど。

 という文脈で、安楽死を否定するし、障害者も生きるべきだということになる。

 

 立岩の本は、ときどきぐだぐだと読めばいいと思ってきたけれど、亡くなってしまうと、なんか読まなきゃいけない気がしてきて。興味ある何冊かをとりあえず読もうと思う。

 

 辺見庸の「入り江の幻影」(毎日新聞出版)は、いつも通りの辺見の怒りというか悲しみというか、新たな戦前を感じているということをめぐる本。印象的なのは、一緒に住んでいる小型の老犬。この犬が、辺見に老いの受け入れ方を教えてくれている。

 

 「詩の檻はない」は、アマゾンで買うのがいちばん早いと思うけど、おすすめしておく。

 アフガニスタンをめぐる抵抗の言葉、といえばいいのかな。詩人から言葉をうばうことはできない。多くの日本の詩人をはじめ、世界各地の詩人が、アフガニスタンへの抵抗の詩を書いている。単純なアンソロジーではなく、抵抗する言葉がささってくる本。日本からも有名無名の詩人が作品をよせている。その多様性も感じられる。

 アフガニスタンタリバン政権は、何より女性から言葉を奪っている。

 でも、考えてみると日本でも女性から言葉を奪おうとしている人は少なくない。ぼくの母親も、ぼくが女性だったら地方大学へ進学させなかっただろうし。昨年暮れにも、娘に対しては教育費を無駄にかけるんじゃないと言われた。そんな人はまだまだいるんだと思うし、今なおそういう社会なんだと思う。

 

 ウィル・ワイルズの「フローリングのお手入れ法」(東京創元社)も読みました。

 以前、ワイルズの「時間のないホテル」が、前半だけは面白かったし、この作品、プリースト推薦だったかな。今回もカフカ的世界みたいなので、なら読んでみようか、と。

 東欧に住む友人の不在を預かった主人公は、潔癖なその友人から、部屋とりわけ床をよごすなと言われる。けれども、ワインで染みをつくってしまう。そこからどんどん状況は悪くなっていく。

 でも、ラストが脱力感満載で、どうなのかなあ、と。あまり楽しい読書ではないし、主人公も怒るよな、と思う。でも、かわいそうなのはもっと別にいて、それらは忘れられていく。

 けっこう残念な本です。

 

 というわけで、荒木飛呂彦の「ジョジョランズ」の第1巻が出ましたね。これは続きが楽しみ。あの人が登場するとは思わなかった、という展開です。

 

 とまあそんな感じで、8月ももうすぐ終わります。