こちら葛飾区水元公園前通信882

tenshinokuma2018-09-06

 おはようございます。
 また、台風でした。
 関西方面は大変だったと思います。ご無事でしょうか。
 と思ったら、今度は北海道で地震
 本当に、災害列島ですが、首都圏だけが無事、という状況になっています。
 安倍晋三が最大の災害だという話もありますが、それはさておき。

 今回も告知から。月刊BOSSの10月号にも、コラムが掲載されています。連載の5回目。今回は、政府のエネルギー基本計画には騙されてはいけないという内容です。石炭火力とかパリ協定とか、けっこうまじめなことを書いています。ぜひ、書店で立ち読みしてやってください。

  8月最後の日曜日は、娘が通った中学校の卒親の大人の遠足に行ってきました。卒業生の親が集まるっていうのも、なんかすごいですが、不登校の子供を抱えた親は、なかなか周囲に話せる人がいなくて、というのはあるのかもしれません。もっとも、その子どもたちも、もう成長して手が離れているのがほとんどなのですが。
 今回の目的地は、千葉県にあるサッポロビールの工場です。大人ですから、子どもの遠足では行けないところになりますよね。去年は勝沼のワイナリーだったし。
 で、到着してまず、バーベキューから。ラム肉とビールをおいしくいただきました。でも、大人なので、そんなにたくさん食べられないですね。野菜も食べるあたりも、大人です。
 さらにそのあと、南極観測船しらせの見学。ここに係留されているしらせは、3代目の観測船で、宗谷、ふじに次ぐものです。現在は同じなまえのしらせが就航しています。
 ふじ以降は、自衛隊によって運行されており、解説員も元自衛官でした。ただし、しらせの乗員ではないのですが。
 操舵室とか船長の部屋とか食堂とかいろいろ見せてもらいました。基本的に、乗組員と観測隊は食堂などが別のスペースになっていて、もちろん観測隊がお客様ということになります。その点、乗組員はちょっと窮屈なスペースですね。
 シャワーは海水とのことで、なんかさっぱりしなさそうで、ちょっといやかもしれません。
 決して大きくない船に200人くらいが乗っていくそうで。もっとも、観測隊はオーストラリアだったかな、そのへんから乗り込むとのこと。
 床屋もあって、自衛隊員が互いに切るという、タイガー床屋です。
 こっそり、「宇宙よりも遠い場所」のキャラクターのボードもあったりしました。
 個人的には、この観測船が面白かったですね。
 で、ビール工場を見学し、ビールをおいしく試飲しました。サッポロの新しい黒ビールはさほど重い感じがなく、さっぱりと飲めるものでした。

 翌週の日曜日は、足立区役所で開催されていた、銭湯といえばあだち展を見てきました。なつかしいブリキの広告とか、江戸時代や現代だけど古い銭湯の模型なんかもあって、なかなか楽しい展示でした。
 でも、実は、小学生が描いた理想の銭湯の絵とか、銭湯俳句が、気持ちがあたたかくなるものでした。「銭湯に、入れそこは、天国だ」みたいなのがいっぱいあって、まあでも、それは本質だとな、とも思ってしまいます。

 ということで、上記はいずれも、フェイスブックには写真をアップしているので、興味のある方はどうぞ。

 都内の銭湯は制覇しましたが、そもそも銭湯が好きなので、出かけた先の銭湯には行っています。埼玉とか千葉とか神奈川に行くこともあるし。都内の銭湯も再訪するし。
 というわけで、ステファニー・コロインの「銭湯は、小さな美術館」(啓文社書房)を読みました。フランス人のステファニーは銭湯に魅せられ、そのペンキ画やタイル、デザインなどを紹介してくれる、というものです。
 銭湯というと、富士山の絵が思い浮かびますが、それだけじゃなんです。宇宙の絵だってあるし、タイル画も美しいものがたくさんあります。建築物としても、なかなか面白いんです。同じステファニーの「フランス女子の東京銭湯めぐり」も買ったのですが、まだ読んでいないのですが、こっちと比べると、地方の銭湯がずいぶんと紹介されているっていうのもなかなか素敵です。
 時代を感じさせるもののあるのですが、手入れもきちんとされていて、銭湯に行きたくなります。って、いつも行ってるんですけどね。
 でもまあ、外国人旅行者もけっこう銭湯に行っていて、浅草の蛇骨湯はもはや観光スポットだし、大阪の源ヶ橋温泉でも、旅行者が地元の人と温泉の話をしていましたっけ。

 ジュールズ・ハワード著「動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話」(フィルムアート社)も読みました。これは、実はアマゾンからレビュー用にいただいたのですが。でも、生物学という視点から死を考えるっていうのは、なかなか面白いことです。まあ、ぼくの場合、生物が専門だったので、こうした死生観にはなじみがあるのですが。
 死っていうのは、意識を持つ個体にとっては残酷な結末なのだと思うのですが、死があることで生物が栄えているというのも事実だと思います。食物連鎖というのももちろんだし、一つの大型動物の死体がどれほどたくさんの生物を養うのか、も。植物は葉っぱを食べる昆虫に簡単に負けるわけじゃないし。クモの雄の命をかけた生殖にも何らかの意味がある。
 大規模な死ということでいえば、地質時代において、生物は大絶滅を何度か繰り返しており、その結果として脇役だった生物が生き残り、発展しています。現在の哺乳類がそうなのですが、実は恐竜もまた同様に、祖先は爬虫類の中でもマイナーな存在だったということです、というのは本書ではなく、日経サイエンスの記事にあったことですが。
 とは思うのですが、著者のハワードは動物学者というより生物学ジャーナリストという人ですね。学者ではないな。それに、とりわけ系統学については、誤った認識が多い気がします。
 まあ、ジャーナリストによる「死」をめぐる冒険、というくらいでしょうか。

 イアン・スチュアート著「対称性」(丸善出版)は、「無限」が面白かったので、読んでみたのですが。なかなか眠気を誘う本です。いや、面白いんですよ。でも、ちょっと素養が必要かな、と。
 群論がテーマです。例えば、いろいろな軸で回転させたり鏡に映したりしても形が変わらない。これが対称性なわけですが、この回転などの操作を1つの数と考えると、ある操作と別の操作を組み合わせると一つの操作になる。
 という話の何が面白いのかっていうと、この群論が実は数学の基本的なものになっているらしくって。5次方程式以上は、代数的に解くことができないっていう証明は、この方程式の対称性を通じて証明されているし。
 とか、そんなことになるわけですが。それが薄い本では伝わりにくいな、と。
 同じテーマであれば、マーカス・デュ・ソートイの「シンメトリーの地図帳」(新潮社)をおすすめします。

 あと、木尾士目の新刊「はしっこアンサンブル」(講談社)の1巻も出ました。工業高校を舞台にした合唱部をゼロからつくる話で、ストーリーとしてはあるあるな感じなのですが、それをあえて木尾がやるというのが、どうなることやら。評価は保留。

 金田一蓮十郎の「ゆうべはお楽しみでしたね」(スクエア・エニックス)の5巻。主人公は結婚という重大なクエストを受注するという話。
 でも何より驚いたのは、これが来年ドラマ化されるということです。
 ドラクエをきっかけに、女性と家をシェアすることになった主人公、という設定ですが、そもそも金田一の描く男性って、強力な草食系。でも、それがスタンダード。というニュアンスがどこまで伝わるのかな、とは思います。

 最後に、自民党総裁選が盛り上がっていないんだかどうなんだか、自民党を支持していない人の方が注目しているような気がします。
 ふつうに見れば、石破茂安倍晋三よりもよほどまともな政治家だということはわかるのですが。いや、政策論争できない政治家って、そもそもだめでしょ、くらいで。石破の正直・公正っていうスローガンも、生徒会長の選挙じゃないんだから、と思いますが。
 でもね、石破の政策については、多少は同意することもあるけれど、根本の部分では受け入れられないって思うんです。なのに、リベラルだと思っている人が、石破支持みたいな発言をするのは、どうかなあ、と思います。
 はっきり、言います。恥じを知っていただきたい。
 結局のところ、石破に期待するのは、安倍晋三のまぬけさかげんを明らかにする役割でしかないと思っています。そもそも、自民党員でもないのに、選択権はないし。そりゃまあ、次の総理大臣ではあるのですが、だからといって3年もやるとは決まっていないんですよ。
 安倍晋三を退場させるのは、石破ではなく、次の参院選であり、その先の総選挙であるべきだと思っています。

 石破の政策のポイントは、憲法については急がないけど改正したいということ。基本的には小泉純一郎の政策を継承しているクリーンなタカ派であること。ただし、竹下派の支持につながる、かつての田中派のよう土建屋的ばらまき政策も視野にいれており、それが地域創生という形になっていること。
 以上です。
 そして、石破が総理大臣になっても、安倍が破壊してきたしくみ、すなわち秘密保護法も働かせ放題法もカジノ法自衛隊派兵も、改正教育基本法も、何一つもとに戻らないんです。

 結局のところ、うんこ味のうんこよりはカレー味のうんこのほうがまし、くらいのものでしかないと思うのでしょうが、いかがでしょうか。

 まあ、政策は別として、石破のことはそんなに嫌いじゃないですけどね。

 ではまた。