こちら葛飾区水元公園前通信871

tenshinokuma2018-03-10


おはようございます。
 まずは、花見の予定ですが、今のところ、3月24日を考えています。
 開花が早いのと、翌週の3月31日はぼくの都合が悪いので。
 開花は3月22日、満開は3月28日というのが予想ですね。

 2月17日には、友人Wと、深大寺温泉・湯守の里に行ってきました。調布駅から北に向かってけっこう歩いたところです。途中、野菜の直売店もあって、茎についたままの芽キャベツなどを購入しました。
 深大寺でお蕎麦を食べ、温泉へ。
 湯守の里はスーパー銭湯としてはかなり小さいのですが、露天風呂が気持ちいいのとお湯が濃い黒湯というのがなかなかいいです。ずいぶんまったりしました。

 それから、今年最初のトレッキングにも行ってきました。東丹沢、低山です。
 小田急伊勢原から日向薬師に出て、七沢温泉、巡礼峠、白山、飯山観音というルートで、予定ではまったり歩いて4時間コース。でも、日向薬師から日向山に出るはずが、道をまちがえて林道を歩き、途中で弁天に寄り道し、なぜか昼食は七沢温泉のすし屋で、その七沢温泉から巡礼峠への道では遠回りし、低山なのにアップダウンがあって、6時間歩きました。夕方になっちゃったので、飯山温泉には入らなかったし。というか、トレッキングの途中ですし屋というのも、ちょっと変。
 でもまあ、そこからバスで本厚木に出て、駅前の居酒屋でビール、という感じでした。
 まだ春は名のみの、落葉樹は枯れ木のままの山でしたが、この時期にトレッキングしたことはなかったので、けっこう新鮮でした。それに、梅はずいぶん咲いていましたね。
 スタートもゴールもお寺なので、ご利益がありそうなルートだとも思います。
 次回は、陣馬山から高尾山のコースかな。5月には表丹沢、蓑毛から塔ケ岳を考えています。

 今月は、映画を2本紹介します。
 いずれも、友人が出演しているということもあるのですが、けっこう重要な作品なのではないか、と。
 1本は、「おだやかな革命」というドキュメンタリーです。東日本大震災福島第一原発事故以降、地方で再生可能エネルギー事業を核とした地域密着事業に取り組む人に焦点をあてた映画です。最初に福島県会津電力の佐藤弥右衛門さんは、元々、大和川酒造の蔵元で、ぼくも会ったことがあります。お酒を日酒販にあずけるのではなく自主流通ルートを開拓したのと同じように、電気も届けたいというところでしょうか。
 岐阜県の石徹白地区では、小水力発電が核に。小さな水力発電で農産物加工場を復活させ、次いで本格的な小水力。移住してきた夫婦が地元の人とともに、という。
 そして、岡山県西粟倉村では、バイオマス事業。まずは温泉の加温に使い、さらに温泉をゲストハウスにして、食事も出す。林業に元気が出てきたところで、地元の木材にこだわった家具職人が移住。バイオマス事業をリードする村楽エナジー(現sonraku)の社長が友人の井筒さん。
 こうして世界が変わっていく、というドキュメンタリーで、見ていて元気が出ます。

 でも、誰もが元気になれるわけではない、とも思うのです。原発問題の裏側というのが、「息衝く」という映画。
 ストーリーは、青森県から出てきて30代になった3人の男女が中心。といっても、子供のときに、親とともに出てきた、とか、そんなところです。2人の男性は宗教団体系の政党に加わっている。けれども、主人公の1人はその宗教に疑問を持つ。かつて、活動していた尊敬する活動家は世間から姿を消している。女性はシングルマザーとして夜の仕事をしながら子供を育てています。
 青森県は言うまでもなく、原子力関連施設があります。主人公のうちの1人の母親は宗教にのめりこんでいました(この母親を、高校の同級生である友人が演じています)。そして健康を案じて東京に出てきて亡くなっている。そんなシーンをはさみながら、かつての宗教活動家の居場所を知り、3人は訪ねていく。
 と、そんなストーリーを説明しても、なんだか伝わらないですね。
 この映画は、3つの母親と子の関係が描かれています。1つは宗教にのめり込んだ母親と息子。もう1つは母親になった幼馴染とその息子。そして、アレゴリーとして、母親である青森県とそれが原子力施設によって奪われた青森県民。そして、母親の代理として宗教を求める、という構図でしょうか。
 映画評はこの宗教の方にフォーカスしたものが多いのですが、ぼくとしては、青森県における母親の喪失ということにフォーカスしたい。それは、「おだやかな革命」とは異なり、そう簡単に前向きになれない人々の心情によりそうものだからです。
 その心情を描くことこそ、「おだやかな革命」の裏側にあるものだと思うのです。その部分を、実は市民活動はあまり掬い取ってこなかったんじゃないかと思うし、だからこそ、重要な映画だと思うのです。

 2本とも、ポレポレ東中野で上映中です。ぜひ。

 ってくると、次は友人の本を紹介することになりますね。
田中信一郎著「信州はエネルギーシフトする」(築地書館)です。こっちは、長野県の職員としてエネルギー政策にかかわった体験から、地域エネルギー政策の肝について語った本で、関係者インタビューがなかなかリアルでいいです。
 前回紹介した、中島大著「小水力発電が地域を救う」ともども、よろしくお願いいたします。

 そういや「未来の年表」に続いて、池田利道著「23区大逆転」(NHK出版)も読みました。いただきものだったのですが。きちんと数字を出して見ると、23区のイメージと実態の間にかい離があるというのがわかる、という本です。
 足立区は最近はけっこう地元に愛されているとか、千代田区・港区・中央区はけっこう人口増加傾向にあるとか。もう、郊外に住むより都心に、という。確かにタワーマンションもできているし。
 とはいえ、狭い地域の本だからなあ、などとも思いますが。

 今は、ジュディス・バトラーの「アセンブリ」(青土社)を読んでいます。もうちょっとで読み終わる。アセンブリというのは集会。そして、そこに集まるのは、弱い人々。人民でもいいのだけれども、それだけではなく、例えば難民・不法移民であり、トランスジェンダーである。そこに身体がある。
 集会は自由主義社会におけるジレンマを含んでいます。自由ゆえに集会で政府を批判することも自由であるし、政府はそれを保護することが倫理的に正しいはずなのに、現実はそうはなっていません。選挙はしばしば人民の意思を反映させられず、だからこその集会でもあるのですが。
 という話は、ここ数年の日本によくあてはまります。実際に選挙で選ばれたはずの国会の議席に基づく政府に対して、集会が開催され、それが政府に批判される。
 あてはまらないのは、人民という中にいる人たちには、難民もトランスジェンダーもあまり含まれないこと。そこに、日本社会が分断されている根深さを感じずにはいられません。
 日本にもジュディス・バトラーがいればいいのにな、と思いました。そうすれば、フェミニストが分断されることもないんだろうなあ、と。

 そうそう、NHK BSプレミアムで放映されているドラマ「弟の夫」はすごくいいです。双子の兄のところに、弟の夫が訪ねてきます。弟はゲイだと兄にカミングアウトしたあと、カナダにわたり、そこで結婚するのですが、亡くってしまい、その夫が日本に来たということです。ごつい弟の夫の役が把瑠都。これがはまっています。パートナーを失った悲しみを把瑠都がうまく演じています。他の役者もいい感じで、見ていてちょっと泣けます。
 第1回は11日にも午後4時半から再放送があり、第2回は同じ日の午後10時。見て損はないです。ぜひ。