こちら葛飾区水元公園前通信836

tenshinokuma2015-10-30

 10月ももう終わり、ですね。
 
 今回は、宣伝から。
 トーキングヘッズ叢書No.64、特集「ヒトガタ/オブジェの修辞学」が出ました。
 もう、書店に並んでいると思います。といっても、大手書店だけではありますが。
 ぜひ、今回も手にとってやってください。

 実は、トーキングヘッズ叢書で人形特集を何度かやっているのですが、不思議なことに、過去2回は、ぼくの書いたものに琴線が触れた、という人がいるのです。それぞれ1人ずつなのですが、ネット上で見つけてしまって。
 まあ、今回はわかりませんが。ただ、自分の原稿は別にして、いつも内容充実ですので、ぜひ。

 先月から今月にかけて、ノーマン・スピンラッドの「バグ・ジャック・バロン」を読んでいました。久しぶりに洋書を読みました。まあ、時間はかかりますね。でも、とりあえず、読み終えました。
 というか、ぼくでも読めるのだから、わりと平易な英語だったのでしょう。品がない言葉はたくさん出てきますが。といっても、英語が得意なわけじゃないので、けっこう読み間違っているところもあるとは思いますが。それでもだいたいわかったからいいか。
 刊行されたのは、1969年、かな。その時代である、ということを前提に話さないと。それと、訳されそうもないので、ネタバレもします。
 主人公のジャック・バロンは、何ていうのかな。テレビスターというか、討論番組の人気キャスターっていうイメージかな。自身の名前の番組があって、1億人の視聴者がいる。すごいですね。当然、社会に対して強い影響力がある存在です。学生時代に政治結社も作っていて。
 で、そこにからんでくるのが、冷凍不死財団、ってな感じの財団。治らない病気でも冷凍睡眠で将来治る技術が開発されれば大丈夫、というか。で、連邦議会では冷凍不死法案が議論されている。そして、バロンの番組では、この冷凍不死法案をめぐる議論が行われる。
 でも、さらに技術が進んで、冷凍しなくても長生きできるようになったので、試してみないか、という男、ハワードがあらわれる。そうすれば、この技術が人々に認知される、と。
 民主党側からも大統領へのお誘いが。バロンもまったくそんな雰囲気がないわけではなく、友人で黒人の知事が副大統領候補に。当時、黒人が副大統領候補になるだけでもなかなかたいへんだっただろうに。
 で、首をたてに振らないバロンに対し、ハワードはバロンの元恋人サラを使って陥れようとする。バロンもサラとよりを戻し・・・。
 ところが、開発された不死の技術というのは、貧しい子供の身体を使うものだった。たくさんの子供を犠牲にして、不死が維持される。
 それを知ったバロンは・・・・・。

 一人のテレビスターがこれほど影響力を持つのかどうか、2015年の現在から見るとどうかとは思います。
 でも、マスメディアそのものが影響力を持っているというのは、その通りなのだと思います。
 バロンが1億人に影響を与える、というよりも、影響を与えられる人が1億人もいる、と考えると、それはそんなに違っていないのではないか、と。
 実際に、2005年だったかな、小泉純一郎による郵政民営化解散総選挙は、そういうものだったと思います。小泉と森の芝居にだまされて、このときに自民党は選挙で圧勝しました。その後、政権交代があったものの、民主党ネガティブキャンペーンのおかげで、安倍政権は安泰という状況です。
 国政選挙だけではなく、橋下大阪市長がやってきたことも、これに似ていると思います。
 人々がこんなに簡単にだまされてしまう存在だっていうことは、スピンラッドが50年近く前に書いたSF小説と、何も変わっていません。
 「バグ・ジャック・バロン」が、できれば今の時代に訳されて欲しいなって思うのは、メディアによって人が操られるしくみが、小説の背景としてあるから、というのがその理由の1つです。そして、この点については、10年後に書かれる「はざまの世界」でも繰り返されます。幸い、「はざまの世界」はサンリオSF文庫で出ていて、その気になればアマゾンの古書で買えるので。でも、ヒトラーが書いたSF小説という設定の「鉄の夢」とともに復刊して欲しいですけどね。

 また、不死を支えるのが、貧困だというのも、なかなか痛いところです。SFのアイデアとしては、今さら、と思う人もいると思います。でも、格差を前提として成り立つ社会、それが目指されるというのは、どうなんでしょう。これも、当時のアメリカの話であり、今の日本が向かっている話なのではないでしょうか。たぶん、今のアメリカも変わっていないのではないか、という気がしますが。

 ネトウヨは問題外としても、一番購読されている新聞が読売新聞だったり、あるいは朝日新聞が自分の立ち位置を見失ったりしていると、メディアのマジョリティの部分は、ちょっとどうか、と思います。テレビは見るに値する番組がどれだけあるか。それどころか、NHKが極右政権にジャックされたりしていて、笑いごとじゃなかったり。

 ぼくたちは、バロンの時代以上に巧妙にマスメディアに導かれてしまっているのだと思います。多様なメディアがある現在、それはより巧妙にならなければならない、という必然があるにせよ。
 そういう現在を映し出す鏡として、この作品があってもいいと、そう思います。

 それにしても、テレビ番組って、ほんとに見るに値するものが、とりわけゴールデンタイムにはないなあって思います。これに比べたら、どれほど深夜のアニメの方が見る価値があるか。
 でも、それは仕方ないかな、とも思います。子供たちとテレビを見ようとすると、結局のところ、最大公約数的なものになってしまうのですが、みんなの好みが違えばちがうほど、最大公約数は小さな数になります。できるだけ人畜無害なもの、というべきなのかな。
 そうは思うのです。まあ、みんなで見るというときは、そもそも集中して見ないし。

 そんな中にあって、実は今期の一番の楽しみは、深夜アニメではなく、「掟上今日子の備忘録」だったりします。とにかく、新垣結衣がかわいい。というだけで、見てしまいます。銀色の髪もめがねもすごく似合っていて。話もよくできているし。いや、ほんと、ガッキーがかわいすぎます。

 同じ、西尾維新原作の「終物語」もスタートしました。話としては、ちょっと動きがなさすぎるかもしれません。でもまあ、期待される通りのものだと思います。

 「おそ松さん」は、もちろん「おそ松くん」の六つ子が大人になってからの話。でも、六つ子、なかなかダメ人間というか。これが6人もいたら、なかなかつらいよな、と。でも、それが許されるっていうことそのものが、ファンタジーとしてそこにある。というものです。
 えーと、ビデオになったら、第1話だけは、ぜひ見ることをおすすめします。ここだけで、ものすごく気合いが入っていて。というか、「おそ松さん」、別の見方をすると、人気男性声優を贅沢に起用した、おたく女子向けというものでもあるからです。

 「ワンパンマン」は、おすすめ。すべてワンパンチで片づけてしまう、最強のヒーローをどう描くか。ピンチの場面が最初っからないという前提でのストーリーというのが、すごく新鮮です。

 「ノラガミ」の第二期。毘沙門様のための作品、というところでしょうか。好きです。アニメって、こういうもんだよな、と安心します。

 「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」も、安心して見ていられます。短いけれど、櫻子さんのキャラクターがよくできているし、短い時間でよくまとまったミステリーだな、と。

 「対魔道学園35試験小隊」と「落第騎士の英雄譚」を続けてみると、なんかキャラがかぶっていて混乱します。なんか、どっちもテンプレートにそった話なので、おすすめするほどのものでもないですね。

 ということでは、「俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」としてゲッツされた件」は、何というか。ハーレム物の主人公って、ジェンダー的に母親的な性格をしているって思うのですが、それが、お嬢様学校に投入される、究極のハーレム物、というのが本作。でも、テンプレの拡大コピーかもしれません。

 「ヴァルキリードライブマーメイド」、男性が登場せず、女性が戦う話、「少女革命ウテナ」みたいな感じかな、と思ったら、ほぼエロアニメでした。おすすめしません。監督の金子ひらく、巨乳アニメ専門だとか。そうですか。エンディング曲が、ズキューンと耳に残りますが、それだけです。

 で、問題は「コンクリート・レボルティオ」ですか。これについては次回。

 なんか初回はたくさん見たのですが。どうしてかっていうと、「下セカ」ほどはまる作品がなかったからなんです、たぶん。それで、これならどうかなって、いろいろ見てしまった。
 それでも、語るほどの作品は、ないかなあ。
 ということで、今期はガッキーということで。

 それにしても、深夜アニメ、入浴シーンとか水着回とか、お約束があるのですが、それもどうか、とは思わないでもありません。でも、考えてみると、これって「水戸黄門」以来の伝統なのかもしれませんね。だとしたら、今さら、と。
 テンプレートにそったお約束ストーリーと入浴シーン、深夜アニメは今の時代の「水戸黄門」です。

 それはさておき、「監獄学園」のドラマもスタートしました。たぶん、多くの人は、実写版の副会長を期待しているのではないでしょうか。
 よくまあ、あんな巨乳の人を探したな、とは思いました。でも、ちょっとイメージが違うかな、とも。でもね、見ていると、けっこう副会長約の護あさな、かわいいですよ。副会長、女王様というわりには、けっこうおまぬけでかわいいキャラなので、これはこれでいいかな、と。
 アニメですでに見ているので、前半の居心地が悪い展開っていうのは、ちょっとどうかとは思うのですが、でも、副会長がかわいいので、見ます。

 おかげさまで、東京ヤクルトセントラルリーグで優勝、クライマックスシリーズも突破して、日本シリーズまで進みました。ソフトバンクには、1勝4敗だったのですが、でも、ほんとうに良く戦ったと思います。
 ものすごく実力が違った、そんな印象かもしれません。確かに、混戦のセリーグでギリギリで優勝したチームと、ぶっちぎりでパリーグで優勝したチーム、交流戦でもパリーグが強かったので、まあ、そうかな、と思われるでしょう。
 ただ、違いはそこだけではなく、相手をどちらが良く研究していたのか、ということもあったと思います。
 中村のリードは、四球を恐れずに丁寧に低めに投げていくというものですが、ソフトバンクの打者はけっこう低めを見極めていました。後半、中村のリードは内角高めをうまく使うようになっていくのですが。先発ピッチャーの良さをうまく引き出せなかったと思います。
 石川の場合、シンカーが見切られていたし、館山は四球が多くなってしまいました。
 だから逆に、登板イニングが少ないセットアッパーの方が、抑えていたと思います。
 同じように、打者もよく研究されていましたね。武田やバンデンハーグはともかく。例えば、摂津は、ボールになるシンカーを見せておいて、低めのストレートを見送らせていました。石川とは逆です。
 それでも、山田の3連続ホームランがあったし、いいプレーもたくさんあったし。それに、真中監督は最後まで自分たちの野球のスタイルをつらぬいたことも良かったと思います。これは、大事なことです。だって、それで勝ってきたのは、それがベストだったからです。それで勝てなければ、ベストでも勝てないということですから。だから、バレンティンをスタメンから外さなかったことも、良かったと思うのです。来年は、同じスタイルの野球でリベンジをしてくれることを期待しています。
 ほんとうに、東京ヤクルトががんばる姿は、良かったと思います。また、来年に向かって、スタート、です。もう、日本シリーズは終わってしまったのですから。
 でも、それは、自分自身にも言い聞かせるべきことだとも思っています。

 そうそう、今月は仕事で、水戸まで行きました。せっかく行ったので、大学も見てきました。変わってるとこもあれば変わってないとこもあり、大興飯店はまだあったり、と。まあ、そんなところです。