こちら葛飾区水元公園前通信806

tenshinokuma2013-07-31

 こんにちはです。
 今年の夏は、ビールを減らして、サントリーのオールフリーノシトラス・スパークリングにしています。ノンアルビールって、一般的に飲むに堪えないほどまずいものなのですが、これはシトラス系の香りですっかりごまかされてしまいます。別に、酔わなくてもいいので、平日はこれ。でもね、夏限定だし、それ以上に近所でけっこう売り切れていたりして。

 wiiが壊れてしまって、ゲームはできるのだけれどもネットにつながらなくなってしまいました。っていうことは、「ドラゴンクエストX」ができないっていうことで、このさいwii uを買おうかな、と思っているところです。
 ゲームはダウンロードが主。おもったのは、クリスマスプレゼント。「サンタさんが夜中に、ゲームをダウンロードしてくれたよ」とかいうのかな。娘によると、それはなしだろ、ということだけど。

 えーと、今回も宣伝から。トーキングヘッズ叢書No.55が出ました。特集はモノクローム。何がモノクロって、別にZはつきませんが、今回もお買い上げのほど、よろしくおねがいいたします。
 ぼくが書いた原稿のタイトルは、「色彩を持たない羊男と、彼の残念な青春」っていうもので、自分で書いていて、タイトルだけですべてわかっちゃうな、などと反省もしているところです。

 今月は、子どもたちが夏休みに突入し、なんだかまったりとした感じです。ラジオ体操で早起きしたり、だからといって早く仕事に行けるわけじゃなく、むしろ洗濯とか後回しになっているので、かえってたいへんとか。
 ゲリラ豪雨で、葛飾区の花火大会は直前に中止だし、盆踊りも手伝いに行けずに申し訳なかったのだけれども、これも途中で中止だし、とか、そんな天気が続いていますね
 そんな中、息子と釣りにも行ったけど、息子は網で小魚を捕まえたり、マイナスドライバーで貝やウニをはがしたり、そんな夏です。まあ、みんなおいしく食べたのでいいんですけどね。貝は下ゆでしたあと、ショウガと本つゆで味付けて、なかなかいい酒の肴になったし。カキとかカサガイとかですけど。
 釣りは、次の予定は来月、ハゼ釣りです。

 参議院選挙の結果については、予想通りあまり気持ちが良くないものだったけど。
 これから3年間に、憲法が改正されるということよりも、憲法を改正しようという「空気」がつくられることを、警戒したいと思う。だって、みんなあまり賛成していなかったはずのオリンピック招致だって、いつのまにか賛成になってるし。そのレベルなんじゃないかって。そういうのが、いちばんイヤですね。

 今回のおすすめ本は、藤本由香里の「きわきわ」(亜紀書房)です。女子の痛みに関する本。論じる対象は、カバーに使われている蜷川実花の映画「ヘルタースケルター」から、マンガ、小説、風俗で働く女性のエッセイなど。
 セックスワーカーの女性あるいは男性の想いが、お客・男性といかにずれているのか。とか、そうだよな、と思った。ソープに行く男性は、お金を払った上で、サービスをしてくれる女性を性的に満足させるという幻想を受け取る。でも、ほんとうにそれはお金を払った対価としての幻想なので、ソープ嬢はお金を払わないセックスなんてしたくないし、お店だけの関係で、でもそこで仕事に誇りを持つという。菜摘ひかるの「恋は肉色」のことだ。お金は、自分が必要とされた証としてある。
 まあ、西川口の駅を降りてソープ街に行く途中で、「おつとめごくろうさんです」とお店の人に声をかけられるから、まあシステムそのものが幻想をつくるようにできているのかも。
 あるいは、江戸時代の吉原も通人は女性を満足させるものだったらしいけど、どうなんだろう。ただ、吉原の場合は、セックスワーカーというよりは、売られてきて行動の自由なんかがないから、性奴隷という面もあるから、わからないし、だから身請けもあるわけだけど。とはいえ、ソープに通う男性の幻想の方は、その延長なんだろうな。
 あと、この本の最後には、東京都の条例についてのインタビューが掲載されている。この延長に、児童ポルノ法があるので、一緒にしてもいいんだけれども、これが問題なのは、児童ポルノの写真ではなくイラストも対象にされかねないことと、所持も取締りの対象となること。
 後者については、いくらでも違法捜査の好日を与えることができる。パソコンを簡単の押収できるし、家宅捜査だってできる。イオネスコの写真集とか、やばい。
 前者は、イラストを個人が楽しむ分には、内面の問題であり、その自由は侵害されないということ。セクシュアリティがどこに向かおうと、それが他人の権利を侵害しないかぎりは認められるべきものだ。
 
 という話は、今は亡き竹村和子の「攪乱される差異」(岩波書店)につながっていく。竹村は、ジュディス・バトラーの紹介者としても知られている。ぼく自身はトリン・T・ミンハの紹介者の方が最初だったけれども。
 バトラーの「ジェンダー・トラブル」が、当時のフェミニズムをゆさぶったっていうか。その背後に、リュス・イリガライがいるっていう指摘は、イリガライの「一つではない女の性」ということにつながるのか、とあらためて思ったけれども。
 というのも、バトラーがトランスセクシュアリティトランスジェンダーといった性を扱っているから。異性愛が基準なのではなく、そもそも多様なもののはずなのに、それが言葉の上でも基準ではないように規定されていることに、バトラーは異議をとなえたっていえばいいのかな。そしてその性の規定が、政治につながっていく、という。
 フェニミズムはジェンダーに基づく差別を批判してきたけれども、そもそもそのジェンダーという枠組をも批判してしまう、というのかな。
 バトラーの指摘にさらに言えば、性というのは生物学的にはあると思われていることすら、否定されるものなのだろう。生殖と性行為は人間においては、容易に切り離されるし。
 ということで、竹村はこのバトラーが攪乱する差異を、日本語の文脈でさらに攪乱させていく。
 
 竹村和子を読む前に、立岩真也の「私的所有論(第二版)」をああでもないこうでもないと読んでいたのは、このあいだ書いた通り。
 で、この本では、臓器移植とか代理出産が自己決定だけでできるものではない、と立岩が指摘するのだけれども、じゃあセックスワークはどうなんだろう、というのがある。
 藤本は、セックスワークを否定はしていない。認めるべきだとも書いてはいないけれども、少なくともそこに職業としての基本的要件、労働者の権利はあってしかるべきだとはいう。ぼくは、実は否定的。でも、微妙。
 立岩は、市場の話を持ち出さなかったけれど、ぼくの中では、臓器移植は市場になじまないという考えがある。例えば、二個ある腎臓の一個を売ってしまうということを考えよう。腎臓の価値は、そもそも人によって差異はないはずだ。でも、貧困にある人はこれを売ってしまうということは、現実にはある。金持ちは売らない。でも、こうした格差の、非対称性が市場をゆがめることになる。最初に無償で与えられたものを、しかし売るしかないということの不平等性が問題。そして、そもそも無償で与えられたものとして、市場価値をつけられないものであるから、市場での取引がなじまない。
 では、セックスワークはどうなのか。微妙というのは、こういうことだ。社会の規範の中で、セックスワークに従事していた女性あるいは男性は、結婚市場で価値が損なわれている、と考えられてしまうのではないか。そして、その価値は、腎臓と同じように、最初に無償で与えられているものではないか。だとすれば、セックスワークもまた、市場での取引がなじまないことになる。でも、セックスワークが社会における価値を損なわないものであるとすれば、従事することに何の問題もない。
 セックスワークが人の価値を損なわないもの、そうした社会の合意があるのであれば、それは問題はないし、またそうした社会であるべきだとも思う。同時に、社会がそうした基準を持たない、少なくとも合意ではないのであれば、自分自身をまもるために、セックスワークに従事することについては、否定、少なくとも「やめておけ」とは言う。それに、男性支配的で暴力的な世界は危険だ。菜摘ひかるも、もうこの世にはいない。
 私的所有といっても、本質的に身体そのものであることもあれば、身体にまつわる社会的価値であることもあって、それは事情は違っている。そして、そもそもそうした社会的な基準をおしつけるものを攪乱させていくということは、必要なんだろうとも思う。
 
 というような本ばかり読んでいるとつかれるので、アヴィの「はじまりのはじまりのはじまりのおわり」(福音館書店)も読む。小さなかたつむりと、さらにちいさなアリの冒険。ちいさな生き物にとって、一本の木の枝だけでも充分に広い冒険の世界。ぼくたちがどんなふうに世界をとらえているのだろうか、などと難しいことを考えずに、小さな生き物の気持ちを楽しめばいい本。翻訳は、「スタッキング可能」の松田青子。
 
 今期は、どうも深夜アニメもイマイチ。いくら京アニだからって、筋肉質の水泳男子アニメを見ようとは思わないしな。うーん、残念系がないから? というわけでもないんだけどさ。
 むしろ、「獣電戦隊キョウリュウジャー」の方が楽しみになったかも。なんで、いまさらなのではなく、新戦士として登場した二代目キョウリュウバイオレット/弥生ウルシェードがなかなかかわいいから。メガネ美少女だから、ということではないけど。
 もっとも、娘に言わせると、恋愛フラグを立てている女子の戦士はダメらしい。デカピンクにマジブルーにボウケンピンクが、これに相当する。さすが、腐女子である。
 そういうわけで、しっぽがかわいい仮面ライダーメイジではなく、キョウリュウバイオレットなのである。