こちら葛飾区水元公園前通信804

tenshinokuma2013-06-28

 こんばんは。

 そんなわけで、都議選も終わりました。まあ、あまりいい結果は予想はしてなかったので、がっかりはしていませんし、共産党議席を倍増させたのは、救いかな、と思っています。
 この結果を見ていて、結局のところ、民主党有権者のニーズが把握できていないんだということを、あらためて実感しました。葛飾区についていえば、メインの政策が伊豆諸島の海底資源採掘だったりするので、まあ、それが悪いわけじゃないけど、という。

 で、参院選に向けて、なんかあいかわらず絶望的ですね。民主党はあいかわらず勘違いしていて。元首相にいたっては、国会で「定数削減ができなかったのは、だまされた私が悪いのか」などと言ってましたが、もちろんだまされたあなたが悪いのです、としか言いようがないです。そもそも、定数削減なんて、有権者が強く望んでいるわけじゃないし。

 アベノミクスに対する勘違いにいたっては、マスコミぐるみで、しょうがないですね。
 アベノミクスが正しいか間違っているか、といえば、前半は正しいけれど、後半は間違っている、ということだと思います。
 安倍首相が最初にしたことは、円安容認と金融緩和。円安についていえば、そもそも円高が不景気の原因って言われていて、なのにデフレが止まらないという状況に対し、化石燃料輸入で貿易赤字の拡大で、コミットメントさえすれば円安になる状況だったので、言葉だけの話。デフレ対策として、金融緩和は、問題ない。

 でも、後半は正しくない。ここから自民党らしさが出るというか、庶民には景気回復が実感できないような政策をとってくるし、成長戦略もポンコツそのもの。
 どういうことかというと、円安になれば輸入品が値上がりする。そもそもインフレ期待なので、当然なのだけれど。ここで、賃金を上げろといってもすぐには無理なので、タイムラグを解消する政策が必要だったはず。なのにバラマキは公共事業。
 長期金利も上がる。そうすれば、住宅ローンが影響を受けるので、住宅着工件数が伸びない。そこで、これに対する処方箋が必要。
 何のことはない、庶民を対象とした内需拡大政策を短期的に行えばいいだけのこと。

 成長戦略がポンコツなのは、成長しそうもないポンコツ産業を成長の柱にしていること。代表的なのが原子力産業。これ、世界的に需要、ないですから。
 そして、ポンコツ産業から脱皮できないのは、多くの経営者がポンコツだから。だったら、新しい人材を育てなきゃいけないのでは。
 どれほどポンコツかっていうと、過去10年を見ればわかるけれど、利益拡大のための方策は、人件費削減以外の方法を知らないっていうくらい。逆に、2000年代の景気拡大は小泉政権の雇用の規制緩和で成り立っていた。おかげで、平均賃金は10%も減っている。それを繰り返そうというのが、安倍政権の成長戦略なわけで、そんなものを受け入れられるわけはない。

 それより、優秀な人材を育てるために、教育に投資しようよ、と思う。貧困の連鎖をなくすというのであれば、高校無償化に加えて、大学から専門学校まで、安心して進学できる奨学金制度の充実、とか。
 何となく、大学、短大って思ってしまうけれど、就職しても即戦力にならないことしか教えない学校も多いから、だったら専門学校まで広げてもいいと思うよ。公共事業に使うよりも、よほど持続可能な使い方だ。

 ついでに、TPPについても言っておくと、あらためて、これは反対だな。どういうことかっていうと、細かい話でもなんでもなく、日本政府がすべきことは、米国や中国とFTAの交渉をすべきということ。それなら、対等の交渉ができる。外務省の職員にそれだけの能力があるのかってつっこまれそうだけれども、高い給料をもらってるんだから、そのぐらいやれ、と言っておく。何のために東大を卒業したんだよ、ってね。
 組織の内側しか見ない、ヒラメ人間ばかりっていうのが、日本の組織(役所も会社も)の特長なので、期待はしないけどさ。

 とか、言い出すとキリがないのだけれど。
 都議選の結果からいけば、もう、参院選でも共産党の躍進を期待する、ということを言っておく。民主党の勘違いが治らない限りは、何も期待できない。
 いや、期待したい議員も、いるんだよ、本当は。でも、そういう人たちの声が小さいんだよ。

 東大で思い出した。佐藤亜有子の「東京大学殺人事件」(河出文庫)を読んだ。
 ミズテリーとしては、どうよ、というのはある。でも、東京大学本郷キャンパスって、考えてみると江戸川乱歩明智小五郎がデビューしたあたりでもある。「D坂(団子坂)の殺人事件」、ね。だから、こんだけ人が死んでも、警察がまともに出てこないというのも、許してしまう。現代のはずなのに、戦前にタイムスリップ、みたいな。
 殺人事件の背後には、7人の男性が1人の女性を共有する、そういったグループがあった。
 飛躍した言い方をすれば、東京大学というのは、欲望を満たすために入学する場所、ということなのかもしれない。そして、医者になったり、官僚になったり。
 著者は、今年の初めに、急逝している。

 今野晴貴の「日本の労働はなぜ「違法」がまかり通るのか」(星海社新書)と、谷本真由美の「キャリアポルノは人生の無駄だ」(朝日新書)を続けて読みました。
 この2人の本は、表と裏だな、などと思いつつ。
 「ブラック企業」がなぜ増えたか、どのように対応すればいいか、ということと、働くことの価値の見直し、ということかな。働くことが自己実現だとは限らないし、たかだか生活費を稼ぐくらいのことであれば、そこに人生のすべてをつっこむことはないでしょ、という。
 「キャリアポルノ」っていうのは、谷本の造語だけれど、何かっていうと、自己啓発系のビジネス書のこと。「ぼくはこうやって1億円稼いだ」みたいな本を読むと、自分もできそうに思えてくるけれど、できるわけない。というわけで、読むと自己満足できるけれど、それだけっていうのが、キャリアポルノ。そんな幻想に惑わされないで、自分の人生で何が大事か、見直した方がいいよ、くらいのこと。
 「違法」がまかり通るような日本の労働は、世界の中では非常識ですからね。
 でもまあ、この2人の本については、本当は若い世代に読め、と言っておきたいな。高校生の必読書、ということにしたいです。

 「ブラック企業」で思い出した。なんだか、みんな、あんまり指摘しないんだけれど、ユニクロワタミブラック企業なのはいいとして(いや、良くないんだけどさ)。その上で、それぞれの社長がダメダメだなって思うのは、ブラック企業っていう指摘が、ブランドを傷つけているっていうことに気付いていないこと。
 ユニクロの場合、とくにファッション・ブランドなんだよね。ということは、着ることについて、物理的な機能性だけじゃなく、ステイタスや社会的メッセージもあるっていうこと。ユニクロブラック企業だっていうことは、ユニクロの服を着ているとブラックな服を着ているって人に思われかねないこと。ファッション・ブランドとして、それはダメダメでしょ。
 とりあえず、みんなお金がないから、ユニクロで買うけどさ。
 ワタミも同様で、もし顧客への対応が悪かったら、ブラック企業はダメだなって思って、来なくなる。そこの目は厳しくなる。つまり、ワタミという居酒屋は相対的にくつろげなくなる。
 すぐに、そうなるっていうことは、ないかもしれないけれども。ブランド価値が大きく損なわれているっていうことは、指摘しておく。それだけ、顧客に豊かさ(付加価値)をもたらすことができなくなっているのだから。


 とまあ、そんなわけで、ビブリオバトルOB会は無事に終了しました。5分間で本のプレゼンをして、誰がプレゼンした本が読みたくなったかというバトルですが、参加者は直球あり変化球ありと。
 詳細は書きませんが、なかなか楽しいイベントではありました。

 5月のGW以来ひさびさに、6月29日には、また釣りに行きたいと思っています。

 追記
 ここまで書いたところで、通常国会の閉幕にあたって、参議院で首相問責決議案が提出され、可決された。これにより、生活保護改悪法案や電気事業法改正案が廃案になった。
 エネルギー分野で仕事をしているので、電気事業法改正案の廃案は残念だけれども、それ以上に生活保護法改悪庵の廃案は喜ばしいことだと思う。
 でも、そんなこと以上に、このことに対するマスメディアの反応が、気持ち悪い。
 電気事業法改正案が真っ先に出てくる重要法案で、それが野党の妨害で廃案になってしまったという、そういったニュアンス。自民党をどこまで持ち上げたいんだか。
 一方、生活保護改悪法案の廃案についての評価はされていない。ただ、これも重要法案の1つなのに、廃案になった、というくらい。
 でもね、電気事業法の改正が遅れても、人は死なない。生活保護法が改悪されれば、人は死ぬ。そういうふうに考えると、どちらが重要なことか、わかると思うのだけれど。
 でもね、日本のマスメディアで働くジャーナリストの多くは、どんなニュース・どんな出来事が、どんな価値を持っているのか、自分の頭で判断できないからしかたない。みんな、隣がどんな記事を大きく扱うかを気にしている。だめじゃん、それ。