こちら葛飾区水元公園前通信794

tenshinokuma2012-10-13

 ようやく秋らしくなってきましたが、いかがおすごしでしょうか。
 まあ、なんだかあいかわらず、ばたばたしています。暑中見舞いも出すといいつつ、出していないですね。ダメですね。

 秋といえば、町内のお祭りも、息子の小学校の運動会も無事にすみました。PTA会長の挨拶があって、運動会は最後までリラックスして見ることができなかったのが、すごく残念なことなのですが、でもまあ、息子のソーランの踊りはいいポジションで見られたので、よしとしましょう。
 次は娘の中学校の文化祭ですね。

 今月末には、トーキングヘッズ叢書の新刊もできる予定です。これはまた、別途、ご案内します。今回は、めずらしく書評を4本書きました。水村美苗の「新聞小説 母の遺産」、赤坂真理の「東京プリズン」、松浦理英子の「奇貨」、伊藤計劃円城塔の「屍者の帝国」と。この3カ月の間に、けっこう印象に残る新刊を読んだのかな、といったところです。このうち、「奇貨」だけが、前回紹介していなかったですね。
 糖尿病で不能になっている中年小説家と行き場をなくしたレズビアン女子が同居をする話です。セックスとかはないのですが、人の関係として、ある部分を所有したいという欲望があって、そんなことしちゃダメです、人間関係壊れます、という展開になる話です。ただ、そういうこととは別に、セックスに過剰にこだわらず、かゆいところに手が届くくらいの快感のコードがあって、そういったところで女子との距離感を持つ主人公は、男子よりも女子と気が合うみたいで。たとえば、「ただのいい人」みたいなキャラの裏返しなのかもしれない、と今、思いつきました。久々の新作なので、ぜひ、どうぞ。

 銭湯めぐりもけっこう進んでいて、昨年から始めた88カ所お遍路も達成し、東京都公衆浴場組合から、手ぬぐいもいただきました。そこのホームページには、達成者リストに天使のくまというハンドルネームがのっています。次は176カ所ですね。

 銭湯めぐりは、東京都の場合、組合の企画として、スタンプを集めることができるのですが、はじめたのは昨年。88カ所はほぼ1年で集めたことになります。どうせなら、もっと早くやればよかったかな、と後悔もしていて。というのも、行ったことある銭湯には、廃業したものも少なくなくって、そういうところはもう二度と行けないし、スタンプももらえないので。近所の武の湯や松の湯や第二寿美の湯なんかも、もうありません。

 それはそれとして、仕事の帰りに銭湯に寄るっていうのが、すっかりパターンになっていて。疲れをとるのに、一杯ひっかけていこうか、というような感覚になっています。ビールとお風呂とどっちが疲れがとれるか、ということですが。
 もっとも、ぼくの場合、銭湯に行った後、仕事の続きをマックでやっているので、だめですね。まあ、お酒とちがって、酔わないので、仕事ができるわけですが。ということは、風呂上りのビールがないということでもあります。

 こう書くと、じゃあ、おすすめの銭湯、とか言われそうですね。めんどくさいので、そんなのはありません、とここでは書いておきます。どこもおすすめです。
 なぎら健壱の「町の忘れもの」(ちくま新書)を読んだので、言うのですが、古い銭湯はそれなりに、昔の趣を持っているし、時代を感じさせるし、本当に忘れものといった感じです。トイレも、DCだったり、水洗でも水槽が頭上にあって、ひもをひっぱるしくみだったり。脱衣かごがのこっているとこともあれば、富士山の絵もすてきだったりします。
 一方、新しい銭湯はそれなりに、リラックスしたりリフレッシュできるスペースになったりしていて、それはそれでおすすめです。つまり、どっちもいい銭湯なのです。
 新しい銭湯としては、港区の青山にある清水湯などはどうでしょうか。青山ですよ、青山。あとは、台東区の東上野にある寿湯は、コナカのCMでも使われましたが、すてきな露天風呂があります。

 銭湯の絵のトレンドとしては、北アルプスが増えていることです。立山連峰を背景に、ライトレールが走ったりしています。という話題をもってくるあたり、エコでしょ。文京区の本郷にある菊水湯は、東京新聞で紹介されていました。
 実は、銭湯の経営者には、北陸出身者がかつては多かったのです。弟のかみさんの親も北陸出身で、親戚には銭湯が何軒かあるそうです。その一つは、台東区の竜泉にある一葉泉という、一葉記念館のそばにある銭湯だったりします。そうそう、ここには、浴室のペンキ絵と同じものが外の壁にも描かれていて、これは必見です。

 深夜アニメは、疲れた身体と心をいやしてくれる存在になりつつあります。7−9月はというと、「氷菓」と「貧乏神が!」と「じょしらく」でした。まあでも、とりわけあとの2つは、頭を使わないで見ることができるので、いいですね。
 この10月からは、「中二病でも恋がしたい」が好きです。主人公は中学時代、中二病で頭はすっかりダークフレームマスターで、ちょっとあぶない人だったわけですが、それをリセットすべく、遠くの高校に進学し、普通の高校生になろうとするわけです。が、団地の上階に越してきた女子は、高校でも同じクラス、中二病のまま。主人公が隠している中二病を引き出そうとします。同類だと見ぬいているという。
 普通に、笑える、楽しいコメディです。が、こういう痛い高校生といのは、他人とは思えないところがあります。でも、同時に、同じ痛みを抱えた女子と共有する幸福というのもあるのかな、とも思うわけです。
 そうやって大人になるのか、大人になっても変わらないのか、というのはありますが。
 あとは、「ジョジョの奇妙な冒険」も始まりましたね。エンディング曲が、イエスの「ラウンドアバウト」だったというのは、かなりびっくりしましたけど。

 今回は、釣りの話題はなしです。でも、先日、息子が水元公園スジエビテナガエビをたくさんとってきました。これを、唐揚げにしてくれ、ということです。川エビの唐揚げ、ビールのつまみにいいですね。でも、水元公園のエビです。
 実は、フリーザーには、田舎でももらったドジョウも凍っています。これをくれたおじさんは、先日、亡くなりました。ということで、ドジョウを食べることも、この先、あまりないかも。というようなことで、今週の土曜日には、エビとドジョウをうちの親のところに持って行って、唐揚げにする予定です。

 最近、古いマンガを2つほど読んだので、紹介しておきます。ブックオフで気になるマンガが105円で売っていると、ついまとめて買ってしまうんです。
 一つは、植芝理一の「ディスコミュニケーション」です。これは、今月から新装版が出ますが。植芝は「謎の彼女X」の作者です。
 謎のオカルト少年の松笛くんと、彼を「わからないから好き」になった戸川さんのコメディ。前半の冥界編は、別の世界の自分たちに出会ったりして、めくるめく混乱の話なのですが、このカオス的な展開を連載していたのかと思うと感心してしまいます。後半、学園編になると、同じ学校には変な生徒がけっこういる、ということになって。
 でも、話そのものよりも、中沢新一経由のチベット仏教などへの関心などが、ふんだんに背景として盛り込まれていて、そこがすごく好きですね。このごちゃごちゃしたものが、「謎の彼女X」ではすっかりすっきりしたものになったな、というのも驚きですが。

 そういえば、日経サイエンスの10月号(先月号です)では、特集マイクロバイオーム、これは人の身体には、腸内といい皮膚といい、たくさんの細菌が住んでいて、細胞の数では、人の細胞の10倍、遺伝子情報としては100倍もあるという。そして、こうした細菌叢が人の活動を助けているし、行動にも影響をおよぼしている、ということです。細菌の種類などは人によって違っているし、双子でも同じではない。双子の差異というのは、そんなところにもあるのかもしれませんね、とか。夫婦が似るのも、接触がおおいので、住んでいる最近が似てくるからなのかもしれません、ということまでは、書いてあったような、なかったような。
 なんでそんな話になったのかというと、「謎の彼女X」でよだれをなめることで、何かが通じるというとき、これは唾液中の細菌が情報を伝えているのかもしれない、と思ったことです。って考えると、「謎の彼女X」はバイオ系のSFなのかもしれません。

 田中ユタカの「愛人」も、ブックオフで買いました。アイレンって読みます。人類は衰退し、種としての寿命を迎えた時代。余命が少ない人の孤独をいやすため、犯罪者のクローンとしてつくられたのが愛人。寿命は10ケ月程度、すぐに日常生活に不自由しないだけの知能を持つ。ということで、もうすぐ死ぬ運命にある少年イクルが愛人を求め、生まれてきた女性アイと、残された時間を過ごすという話。背後で、人類そのものが滅亡しつつある。けれども、イクルとアイの生活は、余命を幸福に過ごすための、おだやかな世界。
 ネットでは、読んで泣いたという人もけっこういる。そうだろうな、と思う。死を前提にして、少年と少女が愛し合う話というのは、普通に泣ける。純粋な愛、みたいなものを感じてしまうのだろう。
 でも、この愛の姿というのは、70年代フォークソングの語る愛に似ているような気がしました。「神田川」とか「心の旅」とか。それがダメっていうのではなく、けっこう人の感性って、変わらないんだなっていうこと。
 ぼくみたいに、ひねくれた人にとっては、それを簡単に肯定はしないのだけれど、そう思っているのに、70年代フォーク的感性で、それなりに感じてしまうわけですから。
 ということが、新たな発見だったりします。

 最近のマンガですか。かきふらいの「けいおん! Collage」を買いました。それに、劇場版もツタヤで借りて観ましたよ。演奏シーンがかっこいいです。

 ではでは。