女ぎらい

tenshinokuma2011-08-09

 上野の「女ぎらい」は、ひさしぶりにフェミ度が高い本かなって。最近、エイジズムにシフトしている著者なんだけど。
 でも、基本的には、イブ・コゾフスキー・セジウィックの「男同士の絆」(名古屋大学出版会)をわかりやすくした本かな、とも思う。それはそれで意味があることだし、そもそもセジウィックの本は文学批評で専門的だし、高いし。
 言ってることは、現代社会が、ホモソーシャルであるということ。男性同士が絆を持ち、承認しあっていくということ。まあ、男社会って言ってしまうと、何をいまさら、ではあるのだけれども。でも、セジウィックはここにさらに、ホモフォビアミソジニーを加えていく。
 ホモソーシャルにおいては、別に同性愛ということはなく、異性愛が基本。ただし、男性は女性を自分より劣った存在として欲望するということ。そして、そうした女性の所有もまた、男社会で承認されるということ。
 上野がさらに強く指摘していくのは、ホモソーシャルにおいて、男性は女嫌いというか女性となかまになっていかないということだけじゃなく、それゆえに女性自身が女性を嫌いになるという回路まであるということ。この非対称性において、女性(例えば東京電力の殺害されたOL)は困難な状況に陥る。
 もっとも、幸いなことに、ホモソーシャルは少しずつ壊れている。年上婚は増加傾向にあるし。また、男女の間の友情を素直に描ける作家(角田光代)が登場しつつある、ということも指摘している。
 社会がホモソーシャルであるっていうことは、すごくよく感じる。とりわけ、団塊世代のサラリーマンを見ていると、そうだなあって。男が男に惚れるっていう感覚だし。加藤の乱のときの谷垣みたいに。
 ぼくは、ホモソーシャルなところには近づきたくないな。
 サザエさん人形焼、形は何だかさっぱり区別つかない出来だったけど、味の方は、すごくおいしかったです。Mさん、ありがとう。