こちら葛飾区水元公園前通信712

 29日は参議院議員選挙の投票をしたあと、子どもたちと劇場版「ポケットモンスター」を観て来ました。
 うーん、でもなあ、正直なところ、今回の「ディアルガvsパルキアvsダークライ」は、あまり面白くなかったです。ストーリーそのものがないに等しいほど単純で、ダークライのシンプルな話だけがちょっとある、という。ディアルガパルキアも闘っているだけで、だからそういうのは困るっていう。ここ何年かのポケモン映画の中でも、とりわけひどい作品なのではないか、と思うのでした。

 ついでにビデオで、荻上直子監督の「かもめ食堂」を見ました。主演は小林聡美、それに片桐はいりもたいまさこ、ってこれじゃ「セクシーボイスアンドロボ」じゃないですかって。
 フィンランド日本食レストランを営業する小林のところに片桐ともたいが集まってくるっていう、それだけなんだけれど、でも、おにぎりを食べるとほっとする、そんな映画でした。みんなわけありなんだけれど、それはそれ、フィンランドで自分に戻る、いらっしゃいませ、という言葉が、なんとなくいい、という。
 藤田恵美さんが「おにぎりはソウルフードよ」って言っていたのはこれだったのかぁ、などと思うのでした。そうかもしれません。

 仕事がらみの読書ばかりなんですけど、徳江倫明の「危ないものをつくりすぎてきた」(誠文堂新光社)を読みました。けっこう、農産物の農薬の問題なんかが書いてあるのだけれど、それを単純に悪いということではなく、背景を説明し、流通における問題とその解決として認証というところに落としこんでいる、そういう本です。
 というわけで、食品を扱う上では、きちんとしようね、というのが一つ。より安全な青果を求めて、ファミレスなんかも流通を考えているのだ、という話、などなど。
 徳江はスローフードに対し、でもアジアの食事の本質ってファストフードだよね、というまとめをしている。無理にスローにしなくても、そのバイタリティって、あると思うし、ここでは問題は安心なのだから。

 萩尾望都の「バルバラ異界」(小学館)全4巻も読みました。日本SF大賞だということで。でも、元々、萩尾って苦手なんだよなあ。読んでいて、どうも乗れない。それはもう「トーマの心臓」からずっと。
 でも、それにしても、どうなのよ、っていう。かみさんによると「ユービック」まんまだそうだけれど、夢の世界と現実の交錯といい、火星の生命の話といい、今書かれるようなSFなのかなあ、と思うのでした。終わりもあいまいだし。

 ということで、楽しい読書がしたいなあ、と思うのでした。
 ティプトリーの新刊が出ているじゃないですか。

 さて、参議院議員選挙では、民主党の圧勝ということでした。まあ、それはそれで良かったと思います。衆議院の圧倒的多数が与党だという状況で、ロクでもない法案がどんどん通過していくという状況は、とても耐えられないものでしたから。
 とはいえ、この選挙は憲法改正が争点だったわけではなかったですし、そのことが長期的不安にもつながっています。社民党共産党議席を減らしましたしね。まあ、憲法が争点じゃなくたっていい、とは書きましたけど。
 この選挙の争点はというと、年金問題に代表されるのですけれど、「大きな政府」か「小さな政府」かということではなかったか、と思います。年金が破綻するというとき、それはもう、年金保険料を上げるか、それとも支給額を減らすか、というのが小さな政府、税でまかなおうというのが大きな政府。これだけじゃないですけれど。
 例えば、一人区では自民党がほとんど議席を落としている。典型的な例が、島根選挙区。当選した亀井は地方切り捨てに対する怒りがこの結果につながったとしている。公共事業削減で地方にお金が落ちていないというのは事実なのだ。そこで、全国的な所得再配分を求める、というのはやはり大きな政府ということになります。また、格差社会に対する不安もまた、同様でしょう。
 民主党大きな政府というわけではなく、小沢がそうであり、国民新党の、つまりは郵政造反組がそうした思想を持っている人たちだったと思います。一方、小さな政府を推進してきたのは、小泉でした。今回の選挙で安倍が問われたと言われているけれども、むしろ安倍があまり考えずに強引に進めたことで、小泉に対する不満が噴出したのではないか、と思います。
 けれども、不安が二つあります。というのは、自民党民主党大きな政府、あるいは小さな政府を代表する政党ではないということです。民主党でも前原などは明らかに小さな政府を指向していますし、だからうっかり小泉路線と政策が似てきてしまう。自民党にしても同様であり、地方の選挙区の議員は不満を持っているはずです。こうしたとき、時間を置いて総選挙をすれば、与党の方が有利だし、結局のところこの対立軸は明確にならないのではないか、と思います。
 もう一つは、大きな政府を目指すということは、やはり増税が必要だということです。だからといって、消費税を増税すればすむ、あるいは法人税増税すればすむ、ということではないと思うのです。税の持つ所得再配分の役割をいかに実現するのか、安心できる社会実現のための増税をいかに人々に納得してもらうのか。ストレートに増税が必要ということにはならないでしょう。もちろん、増税だけではなく、ゆるやかなインフレというものも議論されるべきでしょうが、それは日本銀行のテーマです。増税回避ということになれば、容易に民意は小さな政府にふれてしまう。
 大きな政府指向のリベラル派のぼくとしては、それはやだなあ、と思うのでした。
 まあ、増税だけじゃなくて特別会計っていう財布もあるし、法人税の税率見直しとか、所得税高所得者に対する増税とか、そういうこともあるんだけれども。また、消費税増税についても、十分な社会保障がなされるのであれば、認めてもいいとも思うのですが。
 憲法ですけれども。九条を守ることがいかに合理的なのか、そういう思想がこの三年間にいかにリアリティを持つのか、ということだと思うのです。けれども、そうした思想を確立し、理解してもらっていく、というのは、政治家だけの仕事ではないと思います。むしろ、護憲派とよばれている人たちが、いかに多くの人々を説得できずにいたのか、それは反省すべきことだと思っています。

 それにしても、8月を目の前にして、なぜか仕事がたまっている上、新たな仕事が増えそうで、夏休みは、どうなんでしょう、といったところです。