気がつくと、仕事がたまっている。
先週は1日少ないのに会議で2日、出張で1日つぶれたので、何もできなかった。
まいったなあって思う。
そんなことを言いながら、子どもたちとボリショイサーカスを観て来た。
サーカスっていうと、絵本とか児童文学の定番なんだけれど、なかなか観る機会がないし。今回は、3割引でチケットが買えたので、ではでは、と思って。
場所は千駄ヶ谷にある東京体育館。開演は午後6時半なので、子どもを連れていくにはちょっと遅いとは思ったけれども、まあいいや。思ったより、早く着いてしまったけれど、おにぎりを食べたりしながら待っていた。パンフも買ったし。子どもたちはそれなりに、盛り上がっていた。
ジャグリングから始まったサーカスは、わりと定番という感じで進んでいったのだけれど、ぼくとしては猫のサーカスが好きです。いや、猫が入れ替わり立ち代わり出てきて、いろいろと芸を見せてくれる。まあ、大きな猫(猛獣、ね)がやることを小さな猫がやっているというわけなんだけれど、けっこうかわいいので。犬のサーカスもあったけれど、猫のが面白かったです。
花形といえば空中ブランコ。でも、始まったとたんに、息子が「うんこ」とか言い出すので、あまり落ちついて観られなかった。娘はとても喜んでいたんだけれども。娘としては、これが気に入ったみたい。
息子はというと、最後の熊がかわいかった、とか。
まあ、子どもたちも満足してくれたのでいいや。
とはいえ、開催前にロシアと日本の国歌が流れ、観客も起立を要請される。客を立たせるなよ、と思ったのだけれども、どうなんだろう。エンターテイメントなんだからさあ。
アルフレッド・ベスターの「ゴーレム100」(国書刊行会)、三重県四日市市までの出張の往復で読みました。「コンピュータ・コネクション」よりは読みやすかった。けれど、面白いというより、何なんだよ、コレ、という感じ。いや、そこがいいのだ、といえばその通りなんだけれど。
7人の女性がゴーレム100(正しくは、100乗なんだけれど。昔あった、(きょん)2みたいな感じ)を召還してしまい、事件が起きるのだけれども、解決する方もドラッグのようなものでトリップしまくりで、でもそう書くとジェフ・ヌーンの「ヴァート」みたいですね、ということになってしまう。というか、あれをタイポグラフィみたいなものを使いまくって書いてみました、というイメージかな。
とまあ、そういう本でした。わけのわかんないSFを読みたいというのであれば、OKです。でも、サンリオSF文庫がなくなっても、こうして読めるというのは、ありがたいですね。
中川八洋の「亡国の「東アジア共同体」」(北星堂書店)もなかなかすごい本でした。だって、近衛秀麿はソ連と通じていて、日本を滅ぼすために大東亜戦争を開始したという、そういう主張なのだから。
東アジア共同体というのは、最近とみに言われているもので、早く言えばEUみたいなものをアジアでも構築しようというもの。ただ、ぼく自身は、この本でも触れている吉野の「東アジア共同体はいらない」ということは支持している。というのも、中国という大国や西側先進国に含まれる日本をも含めてしまうため、国家間のバランスが悪いということ。これがASEAN内だけであれば、そう悪いことではないとも思うけれども。それにしても、経済的側面から見たら、不要だとは思う。
とはいえ、中川の主張はこれを政治的側面から見たというもの。中川は東アジア共同体を現在の大東亜共栄圏の構築だと見なした上、それを共産圏による東アジア支配だと見る。そして、大東亜戦争における共栄圏と同様に失敗するものだとしている。
大東亜共栄圏が共産圏による陰謀だとするのは、にわかには信じ難いけれども、この戦争が明らかに無謀な戦争であり、そこに突っ込んでいった理由の解釈としては、納得してしまいそうになる。市野川容孝の「社会」において、戦前に権力が恐れていたのは「共産主義」ではなく「民主主義」だったという指摘をも思い出してしまう。
でも、どちらかというと、疑問の方が多いですね。
それはともかく、ぼくが右翼だと思っている人たちが、ことごとくロシアの狆にされてしまうあたり、なんか、それはそれで面白いです。中川は皇室ファンダメンタリストとでも言うのかな。大東亜戦争において、昭和天皇はこれに反対したけれど押しきられてしまったことや、敗戦後に日本が共産圏にならなかったのはこの昭和天皇とアメリカによるおかげだという立場。そのメンタリティは、わからないでもない。最近のナショナリズムは皇室なきナショナリズムだし。
ついでに、岡田斗司夫の「「世界征服」は可能か?」(ちくまプリマー新書)も読んだ。まあ、半分ばか話なので、それはそれで面白い。まじめに考えると、世界征服って、苦労のわりに合わないのは確かだし、征服して何かいいことがあるのか、というと、あんまりないよなあ、と思う。ショッカーも世界を滅亡させて、それで何が楽しい?ってなところ。
世界征服を狙う悪の組織の類型分けとか、組織に対する突っ込みとか、まあ、そういうところで楽しめる。でも、こうした思考がはからずも、世界の構造みたいなところに近づいていくっていうのは、それはそれでおもしろいかもしれない。だって、ここで出てくる悪の親玉には、実在の人物も出てくる。麻原と金正日と石原慎太郎なんだけれど。なるほどなあ、ってね。
そんなわけで、昨日は鎌倉公園のプールに息子と行ったのだけれど、ちょっと涼しかったので、一時間で出てしまった。
初めて行ったプールだったけれど、幼児用プールが広いというのはいいですね。長さが25メートルはある。これは、水元体育館のプールよりいいと思う。夏休み限定ですけれど。でも息子としては、遊ぶものがすべりだいくらいしかなくって、不満だったみたいなんですけど。
今月末には、トーキングヘッズ叢書の最新刊が出ます。テーマは「拘禁遊戯」。ということで、今回もまた、よろしくおねがいします。