こちら葛飾区水元公園前通信754

tenshinokuma2009-09-04

 9月になってしまいました。夏は、あまり夏らしくないまま、終わってしまったなっていう感じです。まあ、少しはプールも行ったし、海も行ったし、田舎でカエルを捕まえたりもしたからいいんだけど。

 総選挙は民主党の圧勝でしたね。国民新党はどうでもいいのだけれども、社民党共産党も伸びませんでした。保坂展人も落選しちゃったし。まあ、社民党国民新党自民党小選挙区で戦って、けっこう負けていましたからね。
 自民党は大幅に議席を失ったわけですが、残っている人を見ると、老人ばかりだっていうのが、救いがたいですね。多分、党を変える力を持った人がいないし、まあいなくてもいいのだけれども、立ち直れないだろうなあって思います。自民党の若手議員って、自民党にいる理由は与党ではないと政策を実現できないからなんですけど、そういう意味では、どちらでも政策が実現できるかもしれないと考えたら、意識は変わっていくかもしれないですね。それと、自民党が立ち直れなくなったとき、問題は民主党が保守化していく可能性があることだと思います。
 その意味では、実は社民党の人たちは、なにかうまくきっかけをつかんで、民主党に入ってしまえばいいとは思うんですけどね。その点、国民新党は老人ばかりなので、消滅していくのだと思います。

 今回の選挙で、もう一つ思ったことは、フィクサーの格の違い、ということでした。自民党で現在、フィクサーを気取っているのは、サメ脳の森喜朗です。それに対し、筋金入りのフィクサー小沢一郎ですから、勝負は見えていました。
 それにしても、自民党の人材不足はなかなかすごいものがありますが、これはよく考えると、自分で自分の首を絞めてきたことなのだと思うのです。
 実は、教育現場ではあまり政治のことは語られません。それどころか、組合は弱体化し(それでもなお、日教組を悪く言う人がいるというのもすごいですが)、ストライキなんてとんでもないという。それどころか、職員会議では教師は発言できず、採決はなし、なんていう。こうした環境で、子どもたちが政治について学ぶことはないし、そうやって育ってきた有権者が、政治家の質を下げてきたのではないか、と思うのです。
 実は、教育現場でももっと活発な活動がなされていれば、政治家の質も上がっていくのかもしれません。政治に関心を持つ有権者が育つことで、政治家は厳しく選別されていきます。

 民主党政権になったからといって、大きく変化するのでしょうか。たぶん、ある部分はもう変化してしまったと思うのです。それは、選挙を通じで政権を変えることができる、という経験をしてしまったことです。
 むしろ、こうした経験に対してなお、メディアが保守的だということが気になります。
 メディアは民主党に対し、「社会のあり方を示せ」みたいなことを言うのですが、それはメディア自身が主導して示していくことでもあると思うのです。その意味では、産経新聞は正直でいいとも思うわけですけどね。
 小沢一郎という人は、選挙には強いけれども、あまりはっきりした政治思想は持っていません。ただ、自分たちの支持者に対して、利益を誘導するということが、その延長として生活を守るというメッセージになっているということです。そして、このことは、田中角栄とあまり変わらないと思うのです。
 一方、鳩山由紀夫という人は、発言を聞いていると、国民の平均よりもリベラルだと思います。例えば「日本は日本人だけのものではない」というとき、ぼくはこれは正しいとは思うのですが、その一方でこのことがすんなりと理解できる日本人はどれほどいるのだろうか、心配になります。そして、そういう思想こそ、なかなか受け入れられないから、民主党マニフェストが直面する問題に対する対応だけになってしまったとも思うのです。
 社会が大きく変化するかどうかというのは、結局のところ、有権者がそれを支持するかどうかだし、その意味では、民主党がそれをするのではなく、私たち自身が導く、ということなのだと思います。

 それにしても、マスメディア自身が、こうした政治の動きについていけていないということが、最大の不幸かもしれません。
 マスメディアは、常に批判するものだという刷り込みがあるせいか、民主党マニフェストに対し、バカの一つ覚えのように、「財源」をつっついていました。
 そもそも、ここでとるべき戦略は、一時的に歳出を増やし、インフレターゲットで景気を回復しつつ、まさにそのインフレを含めて実質的な借金を減らしていく、ということになるはずです。その上で、一時的な歳出のために、予算の見直しが当面はあるわけです。あまりインフレターゲットみたいな話をすると、誤解されるし、それは民主党にとってプラスにならないから言わないわけですが、だからこそ、マスメディアはそういう見方をしてもよかったはずなんです。とにかく、景気が悪いこの4年間は、増税にコミットすべきではないし、またそうしたコミットが景気回復を遅らせるということもあります。そのことは、かつて橋本内閣が消費税増税をしたことで、回復しかけた景気の腰を折ってしまったということを忘れたのでしょうか。
 たぶん、今みたいな頭の悪いマスメディアばかりだったら、4年後は再び、小さな政府論が登場します。今の民主党の反対の政策をとれる人が総裁となり(例えば、中川秀直)、渡辺喜美が総裁になっているというようなイメージ)、消費税を増税しないかわりに、社会保障はそこそこで我慢して、経済成長させよう、というとき、どうでしょうか。また、小泉改革のように、人は騙されたりしないという保障はあるでしょうか?
 そうしたとき、マスメディアは、所得の再分配をどういう形で行なうのがもっとも合理的なのか、そういう議論ができるでしょうか。
 子ども手当にしても、実は恩恵を受ける人は多くありません。だって、そもそも子どもが少ないのですから。けれども、昨年末以降、社会的に弱い立場の人たちへの視線は変わりました。なぜなら、だれもがそこに行く可能性を、多くの人が感じ取ったからです。でも、4年後はどうでしょうか。

 とまあ、今回の選挙では、そんなことを考えていたというわけです。

 今、保坂和志の「小説の誕生」(新潮社)を読んでいます。「小説の自由」をその前に読み、止まらなくなって、続きを読んでいるということです。

 ということで、写真は「あま〜いトマトゼリー」。目の前にはトマトが嫌いだという人がいるけど、いやがらせじゃないよ。