こちら葛飾区水元公園前通信755

tenshinokuma2009-09-26

 ふと思い立って、金田一蓮十郎のマンガを読んでいます。「ジャングルはいつもハレのちグゥ」からはじまって、「ニコイチ」にはまってしまいました。これが、おもしろい。
 実は、金田一が女性だっていうのは、今回、ブックオフで「ジャングルはいつもハレのちグゥ」全10巻とその続編の「ハレグゥ」を買って、知りました。アニメのときにも、なんでこんなに家族のことを描けるのだろうと思っていたのですが。
 念の為、家族を描けるっていうのは、家族としてのアイデンティティを描けるっていうことですから。
 ハレと母親のウェダの母子家庭っていう設定で、ハレはすっかり不幸のフェミ男君に育てられているのだけれども、それが少年マンガらしくないっていうこともあるな。
 で、勢いで他のマンガも買って読んでいるのだけれど、はまったのが、現在6巻まで出ている「ニコイチ」なのだ。
 主人公の真琴は29歳。恋人がある日、幼い息子を残して死んでしまったが、その自分とは血のつながらない子どもを、母親として育てることにする。こうして女装するようになって10年、今ではすっかりきれいなお母さんなのだけれども、仕事はサラリーマン。かくして、通勤途中で男性の姿に戻ったりする。その真琴が女性と出会い、恋に落ちるけれども、それはそれとして、息子に自分が母親どころか女性ですらないということを、いつカミングアウトするのか、ということが物語をひっぱっていく。
 このマンガの良さというのは、居心地の良さにあると思う。真琴が恋に落ちる女性は、最初は女装の真琴と出会い、同性であるのにひきつかれ、恋に落ちていく。後に、男性であると知るわけだけれども、実は真琴が女装をしているからこそ、恋に落ちたということが暗に示される。
 金田一にとって、ヒーローというのは、男性らしさということは要件ではない。むしろ邪魔ですらある。女性であれば、もっとわかりあえる。理想は女性である男性だという。けれども、そのことが読んでいてすごく居心地がいいのだ。
 たぶん、ほとんどの男性は主人公の状況に感情移入できないと思う。女装した自分を考えるのって、どうかっていうところだ。いくら美人だったとしても。でも、青年誌掲載であるにもかかわらず、たぶん、あまり男性の読者に向けて書かれてはいない、と思う。というか、そういう、男性に都合のいい作品としてはつくられていない。けれども、青年誌は女性だって読むし、たぶん、感情移入しなくても心地よさというのは伝わるんじゃないかって思う。
 ということで、今更ですが、おすすめします。

 マンガにはまっているのに、気は晴れないのですが、その理由というのは、この連休明けに、友人の訃報があったからです。大学の寮の同じ部屋で暮らした先輩、ということになるのだけれども、先輩という距離感がいやなので、あえて友人、としておきます。
 ジャーナリストとしても、とても尊敬していました。そういうこともあります。背中を見て仕事をしていた、ということもあります。
 だから、とても欠落感が大きくて、当分は気が晴れそうもないのです。
 寮は4人部屋だったので、あと2人いるわけですが、うち1人はすでに鬼籍に入っています。15年ほど前、その1人が亡くなったことを知らせてくれたのも、彼からの電話でした。そんなことも、思い出してしまいました。
 ぼくがとりあえず週刊金曜日を購読しているのも、彼の影響です。
 とはいえ、欠落したからといって、それを埋めるものはなにもなく、ぼくはぼくで生きるしかない、と、それはいつも思うんですけどね。
 ということで、日曜日は福島まで行くことになります。

 湿っぽい話はこのくらいにして。
 この連休の間、やったことの一つが江戸川放水路でのハゼ釣りでした。
 実は、夏の終わりにも一度、息子と行ったのですが、このときは足場がいいところ、と思って上流の水門近く、行徳橋のたもとで釣っていたので、合計7匹とあまり釣れませんでした。という反省から、21日は海から500mのところで釣りました。さすがに、ここでは77匹を息子と2人で釣りました。食べるにはこのくらいで十分です。
 ハゼは天ぷらにして、翌日は母親のところに持って行きました。
 母親は、実は身体が弱っていて、元気ではないのですが、ハゼの天ぷらが好きなので、食べさせてあげたい、というのがあったし、何より孫が釣って持ってきてくれるっていうことで。去年はほんとうに、ハゼがぜんぜん釣れなくって、京浜運河の近くで釣ったドロメでがまんしてもらったのですが、今年はまあ、けっこう釣れたし、良かった良かったというところです。
 ハゼばかりは、魚屋で買うというものでもないし。あと1回くらいは、ハゼ釣りもありかな、とも思っています。

 ということとは別に、10月1日都民の日は、仕事を休んで、横須賀の大津港に釣りに行きたいなって思っています。先日、釣り番組を見ていたら、シロギスを釣りたくなってしまったからです。息子はメジナを釣りたい、などという野望を持っています。娘は、わかりません。でも、オキアミだったらエサもつけやすいし。回遊してくるアジとかイワシとかも釣れたらいいな。

 そういえば、保坂和志の「小説の自由」「小説の誕生」「小説、世界を奏でる音楽」の3冊を読み終わりました。でも、何か、説明しようがないですね。ほんとうに、ひきこまれるように読んでしまったわけですが。小説論、ですか。
 この本で取り上げられていた小説のいくつかを、読んでみようかと思って、今は青木淳悟の「四十日と四十夜のメルヘン」です。