こちら葛飾区水元公園前通信675

 なんだか昨日は朝からついていた。致命的なほどの失敗をせずにすんだというか。
 まだまだ、運に見放されていないんだなあって感じるのであった。

 というわけで、その日の夕方の笑える話。
 広報関係でちょっと相談したいことがあって、Sさんと会う約束をしていた。その日、ちょっとしたミーティングがあるので、八重洲倶楽部に来てくれということだった。
 八重洲地下街にある八重洲倶楽部の入口まで行く。会議室がいくつもあるのだけれど、それらしいミーティングの会場は見当たらない。で、ちょっと迷っていると、入口に立っていた男性が、
「Sさん関係の方ですか?」
ときくので、そうです、とこたえた。
「それでしたら、この廊下の突き当たりです」
 ということで、突き当たりに行くのだけれど、そこには「競馬セミナー」という張り紙があるだけ。何か変だなあと思いつつも、ちょっとしたミーティングって、このことかなあって、中に入るのであった。
 競馬セミナーというのは、「競馬的中情報による競馬ファンド運用システム」のセミナーなのであった。
 有料のインターネット配信による予想で、これの通りに馬券を買えば、必ず儲かるというものなのだ。なかなか怪しい。けれど、Sさんはけっこう怪しいこともあるので、しばらくはこれでいいのかなあ、などと思いながら、競馬セミナーを聞いていたのであった。
 このシステムは、月額2万5000円で予想を配信するというもの。それでも、実績としては、1月から10月までで、1点1000円で買った場合、100万円を超える勝ちになっているという。
 配信は土日のレースの1Rから3Rまでで、コンピュータで予想可能なのはそこまでだとか、そのあたりがもっともらしかったりする。
 実績はというと、1月こそ最大5万円以上、月刊トータルでも20万円もへこんでいるのだけれど、2月には持ちなおし、結局100万円を超えるところまできている。その間、25万円も予想に支払っている計算になるわけですけど。
 システムの規約として、「負け続けることがあることを理解すること」とか「この的中情報による馬券購入に関しては自己責任とする」とか、そんなことまであって、なかなか笑わせてもらえる。最低でも30万円の運転資金が必要だとも。
 というわけなのだけれど、どうも変だなあ、Sさんは来ないし、って思い、携帯に電話をしてみると、すでに八重洲倶楽部にいるという。
 実は、この競馬セミナーの講師もまた姓がS、しかもクローズドなセミナーだけに、入口に人がいて、誘導していたというわけだったのだ。
 というわけで、20分以上もありがたいお話を聞いたあと、ぼくはSさんたちが待つ八重洲倶楽部のロビーにたどりついたのでした。
 なお、せっかくなので、競馬セミナーの配布資料はいただいてきました。
 まあ、いろいろあります。

 そんなわけで、石田衣良の「娼年」(集英社文庫)を読みました。前半はけっこうおおしろかったです。タイトルから話は想像できるでしょうけれど、その通りです。でも、主人公を買う女性の描写がすごくいいです。20代から70代までの女性の、さまざまな性的嗜好がうまく描かれていて、それはもう、人さまざまなんだけれど、そのことを通じて癒されたいというのは普通のことなのかもしれない、などと思うのでした。
 多分、女性が男性をお金で買うとしたら、単なるセックスだけじゃないよな、とは思っているし、実際にそういうことを昔、書いたこともあったけれども、そういうわけで、一緒に買い物をしたり食事をしたり、手を握ったり、そういうことがけっこう大切だったりします。そういった意味で、すごくよくわかるのだけれども。
 でも、後半の展開って、安易だよなあ、とも思うのでした。

 映画「不都合な真実」の試写会にも行きました。来年1月20日公開の映画です。ドキュメンタリーというか、アル・ゴア元副大統領が地球温暖化問題についての講演を行う場面を映画にしたものなんだけれど、第1に地球温暖化問題がよくわかる、というかすごく説得されるということ、またゴアがどうしてスライドを持って世界中で講演するのか、ということに素直に感じ入るということ、何よりゴア自身の語りがなかなかいいっていうこと。そして、この映画の場合、「面白いから見てね」ではなく、「地球の未来を考えるのであれば、見なさい」と言うべきものであるということ。
 そうなんです。地球温暖化問題は、けっこう深刻なんです。って書くのもいいけれども、もっと説得されるものを紹介するっていうのもいいかも、ということなんです。
 ということで、みなさん、見るように。どれだけ多くの人が見ることで、世界が変わるというものなので、今回は強制的に見なさい、ということにします。

 ドキュメンタリーをもう1本見ました。鎌仲ひとみ監督の「六ヶ所村ラプソディ」です。使用済み核燃料の再処理工場がある六ヶ所村の映像です。なかなか考えるところがあるのですが、これは別の機会に。ね。