こちら葛飾区水元公園前通信936

 おはようございます。

 

 今月もまた、業務連絡から。

 現在発売中の「中央公論11月号」に記事を執筆させていただきました。なかなか由緒正しい雑誌なので、ちょっとうれしくもありますが、実は読売グループだったりして、それもどうか、というところもあります。

 次は、「世界」か「文藝春秋」から依頼がくるといいなあ。

 

 そんなわけで、いろいろ相変わらずではあります。

 久々のトレッキングは、10月10日の石老山です。神奈川県の山ではありますが、中央線沿線になります。

 以前、高尾山から相模湖駅に降りたときに、目についたので、気になっていた山でもありました。相模湖駅に石老山登山口みたいな看板もありますし。それと、顕鏡寺ルートが当時は崩落して通れなかったのですが、それがようやく通行可能となりました。

 ということで、相模湖駅からバスでプレジャーフォレスト前まで行き、そこからスタートしました。当日は、午後には雨が上がっているという予報だったのですが、外しましたね。小雨が降る中を歩きました。まあ、トレッキングの場合、森の中を歩く分には、実は小雨はきにならないんですけどね。地面が滑りやすいのはつらいですが。

 標高700mくらいで、山頂までは軽くアップダウンもあり、急坂はときどきあるけれども、まあどうにか、足慣らしにちょうどいいです。

 でも、石老山から顕鏡寺側に下山したのですが、滑りやすそうな下りでちょっとしんどかったかな。途中、巨岩がいろいろあって、楽しませてくれます。山頂からの下りでゆとりをもって巨岩が楽しめるので、逆ルート(といっても、それが石老山登山口のバス停からスタートなので、ぼくが逆ルートなんだけど)よりいいかな、と思います。

 とはいえ、顕鏡寺から先、一度車道に出た後、また山道があるのですが、雨のおかげで渓流状態でした。よくすべります。ということで、ここは車道を降りることをおすすめします。

 トータル3時間半のトレッキングでしたが、この日はこれだけでは終わらず、もう一山。

 石老山登山口からプレジャーフォレスト前までバス停を1つ歩いた後、嵐山にも上りました。こちらは400m程度の山なのですが、プレジャーフォレストとの間の金網越しでスタート。意外にも細い山道が多く、トラバース気味だったり橋がたくさんあったり。沢をいくつも越えるので、アップダウンが多く、山頂までは1時間くらいかかりました。東海自然歩道の一部ですが、あまり人が通らない感じです。

 山頂から相模湖側への下りは20分くらい。降りた先には水力発電所。休日くらいは電力設備のことを考えたくないんですけどね。

 ここから駅まで歩いて30分。まあ、2つのコースでまあまあの距離のトレッキングとなりました。

 

 ウイリアム・ギブスンっていうと、すっかり懐かしい名前になってしまいました。近作は翻訳されそうもなく、未訳の長編が3冊もあるという状況ですから。そのギブスンが「エイリアン3」の脚本を書いたのだけど、ボツになったというのがあって、でもまあギブスンなので脚本が流出していたのだけど、その第1稿をパット・キャディガン(本ではパット・カディガンになってる)がノベライズしたものが出ています。「エイリアン3」(竹書房)ですね。ということで、興味があるので、読んでみたのですが。エイリアンに思い入れがないと、読むのはちょっとつらいですね。やっぱり、ギブスンの近作を訳して欲しいと思います。

 まあ、「あいどる」あたりから、現実に追いつかれたギブスンだなあ、とは思うのですが。

 

 こちらは映画になった、井上荒野の「あちらにいる鬼」(朝日文庫)。井上荒野井上光晴の娘なのだけど、モデルはその光晴とその妻、そして不倫相手の瀬戸内寂聴。光晴のクズな感じが、なんというか。広末涼子寺島しのぶに脳内変換して読んでいたけど。女性の気持ちはわからないです。

 瀬戸内晴美の「比叡」は読んだことあるけど。井上光晴って読んだことないな。

 

 古谷田奈月の「無限の玄/風下の朱」(ちくま文庫)も読みました。リアルなようでリアルじゃない小説を書く人なんだなあと思いました。男性親族によるブルーグラスバンドの話。リーダーの父親が毎日死んでは甦るという、小さな世界で何かに絡み取られている人たちの話なんだなあ、と。

 

 そうそう、中央公論11月号で谷崎潤一郎賞の発表があって、ぼくは谷崎賞は日本の文学賞の中でもっともグレードが高いと思っているのだけど、その受賞作が吉本ばななの「ミトンとふびん」(新潮社)で、そういうことで読んでみました。まあ、選評がなんともほのぼのしていて、芥川賞の選評のようにぎすぎすしていなくて、まあそれはそれでいいんだけど。

 ということで、読んだのですが、「キッチン」の頃から少しも変わっていないなあと思うのでした。たしかに、いろいろな場所に旅行して舞台にしているし、技術的には上手になっているのかもしれないけれど、人の死という喪失があって、それでも生きている自分を肯定的にとらえていくというのは、「キッチン」やその他の初期の作品と全く変わらないなあ、と思うのでした。

 

 半藤一利原作、星野之宣画「日本のいちばん長い日」(文藝春秋)も読みました。日本政府が、というか昭和天皇終戦を決断し、それを玉音放送として流すまでの話なのだけれども、話は幕末からスタート。薩摩・長州閥が陸軍となり、政府において強い権限を持ち、国体維持のために国民の犠牲もいとわない、そうした人々が終戦を妨げようとする。とまあ、そんな話です。昭和天皇がいい人すぎるんじゃないか、という気がしますが、星野も最後にそこはツッコミを入れたりもしていますけど。

 でもまあ、なるほどなあと思うことも少なくなかったです。

 

 とまあそんなわけで、息子の商業演劇初舞台となった、劇団NLTの「Hotel Zoo」は無事に終了しました。足を運んでくださった方々、ありがとうございます。まあ、息子も楽しそうに舞台に出ていたので、まあよかったか、と。

 

 ということで、ではまた。