こんばんは、です。
お元気でしょうか。
何だか盛り上がらない参議院選挙というイメージですね。あまりにも露骨に、マスメディアが選挙の報道を避けているので。新聞はともかく、テレビが、ですね。気持ち悪いです。
だんだん、日本はダメな国になっていくのかなあ、と、そんな気がしないでもありません。それじゃ困るんですけどね。
報道すらされないっていうのは、もはやプロパガンダすらない、という状況です。ただそこには、アタマの悪い人がたくさんいるだけ、みたいな。やだなあ、ほんと。
そんな背景がある中で、長い通勤時間に、けっこう本を読んでいます。
ウラジミール・ソローキンの「青い脂」(河出文庫)とか。なかなか、読みごたえがありすぎて消化不良をおこす本でした。20世紀末に書かれたロシアの小説ですが、書かれている世界は、第二次世界大戦でロシアとドイツが戦勝国になった50年代といったあたり。いろいろな想像がぐるぐる渦巻く本です。
ヒトラーも登場します。
そのヒトラーが主役の、ティムール・ヴェルメシュの「帰ってきたヒトラー」(河出文庫)も読みました。本物のヒトラーが現代にタイムスリップすると、コメディアンにしかならないけれども、その言葉はそれでも多少は人の心をうっかり動かしてしまうという毒がある。映画が未見ですが、小説の方も十分におもしろいです。すこしたるいところもあるけど。
今さらですが、ブライアン・W・オールディスの「子供の消えた惑星」(創元SF文庫)も読みました。去年、「寄港地のない船」(竹書房)を読んで、まあ、これよりは面白いんだろうな、と思い立って、積ん読だったのを引っ張りだして。ところで、気付いたかもしれませんが、ぼくはタイトルを「グレイベアド」と書きませんでした。古い本なんです。
この2冊を読んで思ったのは、世代宇宙船の中の人生、あるいは絶滅に向かう人生、それぞれが、個人にとってどんな意味があるのだろう、という問いです。そこには希望があるのかなあ、と。そのあたりが、オールディスのまじめな思索というのかな。
ふと、ウージェーヌ・イヨネスコが読みたくなって。でも、手元にあるのは読んだことも観たこともある「授業」だけ。なので、アマゾンで検索したら、どれも絶版で古書は高い。ちょっと迷う。というなかで安かったのが、クロード・エスカリエの「イヨネスコによる「マクシミリアン・コルベ」」(聖母の騎士)という本。イヨネスコの最後の戯曲というかオペラを収録し、解説を付け加えた小冊子。コルベは強制収容所で命を落とした司祭なのだけれども、彼は、収容者一人の脱獄をきっかけに、10人が餓死させられるというときに、妻と子がいる男のかわりに10人に加わり、9人を看取った後に、注射で殺されたという。後に、カトリックで列聖されるのだけれども。
イヨネスコは宗教というものに対し、どうすれば疑問を持たずにいられるのかを考え続けたという。そして、コルベのような価値が自分にあるのか、と。そういう想いが、この小さなオペラになっている、とのこと。
不条理劇、ヌーボーテアトルというイメージのイヨネスコなのだけれど、ちょっと印象が変わります。まあ、そういう背景もあって、キリスト教系の出版社から出た本でもあるのですが。
イヨネスコ戯曲全集の古書を買おうかな。
あとは、稲葉振一郎の「不平等との闘い」(文春新書)とか読みましたが。なんか、むずかしかったです。落ち着いて読めばいいのでしょうが。新書のわりには中身が濃すぎるというのでしょうか。
とまあ、そんなこんなです。