昨日は、あっという間に、ジャン=ルイ・フルニエの「どこ行くの、パパ?」(白水社)を読んでしまった。
泣けるけど微笑んでしまう本。
フルニエはフランスのユーモア作家。二人の息子がともに重い障害を持って生まれてきた。その子供たちとの関係を、コメディとして記述している。それに、その二人の下に、障害を持たずに生まれてきた娘もいるのだけど。
どこ行くの、パパ? というのは、下の息子が唯一話すことができる言葉。30代になっても、大人になることはなく、ぬいぐるみをかじっている。上の息子は、先に遠いところに行ってしまう。
フルニエは、こどものことでつらい思いをするけれども、でも、ユーモア作家として、見方を変えて笑えるものにしようとする。大学進学も就職も考えなくていいなんて、素敵なことだ、というように。でも、そんなこと以上に、失われている人生がどれほど大きなものなのか。その事実の前に、あまり力はない。
ただ、この二人の子供が、それでも意味がある存在だったということ、そのことがこの本に記録されている。
おすすめ本である。