「地衣類の不思議」

tenshinokuma2009-11-01

 粕谷博之著「地衣類のふしぎ」(ソフトバンククリエイティブ)を読了。
 ぼくが子どものころは、地衣類といえば、コケみたいな植物ということですまされていた。というか、学生時代あたりでも、地衣類には「地衣植物門」という分類学上の位置が与えられていた。
 とはいえ、すでに菌類と緑藻などの藻類が共生している生物体で、二つで1つの種類ということはわかっていた。
 ということで、生物には、昔は「動物界」と「植物界」の二つがあり、後に「菌界」「原生生物界」「細菌界」は別に分かれていく。キノコは植物だって習った人は40代以上には多いと思うけど、キノコはカビとともに菌類。今では「もやしもん」のおかげで、すっかりメジャーになったけど。
 でもって、そうなると地衣類、ないしは地衣植物というのは、どこの界にも属せないことになってします。
 最近では、基本的には菌類であり、そこに緑藻やシアノバクテリア藍藻、細菌の1グループ)と共生しているという形。じゃあ、菌界の中に地衣類という分類があるのかっていうと、そういうことはなく、そもそもその菌も子嚢菌類と担子菌類のそれぞれについて地衣類になっているものがある。ということで、分類学を拒否している生物、とも言える。
 とまあ、そういう地衣類の本。
 写真は、近くのコンクリートの上にはえていた、地衣類。成長はとても遅い。
 地衣類は、こんなふうに、石や樹皮の上にはえている。ので、水元公園で探してみよう、とかも思ったりする。中には、木からぶらさがっているようなものもあるし。