こちら葛飾区水元公園前通信618

 今週は忙しかった。
 日月と、娘が入っている金町少年消防団のキャンプに行って、子供たちのめんどうを見ていたのだけれど、そもそも娘に言う前にぼく自身が団体行動が苦手だったりするので、なかなかつらいものがある。
 まあ、キャンプといっても、一泊でみんなで遊びに行くということ。バスで最初に向かったのが、茨城県南西部にある砂沼ビーチプール。内陸部の人にとっては、海のかわりに手ごろでいいっていうところ。入場料も大人880円と比較的安い。けれど、交通手段は車しかない。そこで3時間ほど遊んだのだけれど、大きい流れるプールや波のプールではけっこう子供たちは喜んでいたな。すべりだいなんかもあるんだけど、これはやらなかった。
 キャンプは猿島少年自然の家という施設。ここでバーベキューをしたんだけど、まあ、薪を燃やすのは楽しかったな。お肉を焼いて、焼きそばを食べてっていう。本当にビールがとても欲しかったのだけれど、そういうわけにはいかない。夜、子供たちが寝るまでがまん。といっても、消灯時刻以降もなかなか寝ないのだけれども。
 夜は花火をやって、それから肝きもだめし。この施設にはおばけの道というのもあって、ちゃんとコースになっている。でも、懐中伝統を持った子供たちにとっては、夜の林にいる虫の方が興味深かったりもする。といっても、ゴキブリだったりするんだけど。
 翌日も、この施設にあるプラネタリウムを見た後(けっこう眠ってる子も多かった)、自由時間では林の中で遊んだりして。
 朝食も夕食も質素なもので、健康になってしまいそうでした。
 あとは、守谷のPAでおみやげを買って、帰るという。
 それにしても、団体で行動していて面白いって思ったのは、大人が意外にせっかちだということ。集合時刻を決めるのだけれども、どうしてもそれよりかなり早い時間に集めてしまう。おかげで、昼食のときには時間を持て余したりもした。でもまあ、こういうときに、ゆっくりやりたいぼくというのは、確かに団体行動には向かないのかもしれない。
 それはそれとして、でもまあ、いつも娘がお世話になっている消防団の人などともお話できて良かったということではある。初日に先に帰ってしまった団長というのが、娘の同級生の祖父なのだけれど、ロールスロイスを5台も所有しているというめずらしい人なのである。さくがに、消防団の人は、「できれば乗って来て欲しくないなあ。じゃまなときに、動かせないからねえ」などと言っていた。自宅から消防署までの往復、娘とともに乗せてもらいましたけど。

 続いて、木金と秋田。とある取材なのですが、行きは秋田新幹線「こまち」の指定席が取れず、4時間ずっと立っていました。朝早く、眠いのに、ずっと立っているというのはしんどかったですね。
 でもまあ、取材先の話がとてもおもしろかったので、それはそれで良かったんです。いかに健康寿命を伸ばすか。がんで死なず、寝たきりにもなないっていう。健康診断というか人間ドックはきちんと受けて、その診断を生かさないと意味ないですねっていう、あたりまえのことではあるのですが。そうした中でも、日本は欧米と異なり、がんによる死亡率が下がっていないというのは、なかなか考えてしまいます。とりわけ、乳がんの検診率が低いという。マンモグラフィーをもっと使って欲しいというわけです。
 空いた時間は、久保田城跡の千秋公園を散歩し、美術館で藤田嗣治の巨大な油絵を見てきました。県立美術館に併設されているところで、1930年代の藤田の絵がたくさんあります。藤田の絵って、けっこう日本画の手法なんかも使っているものだなあ、などと、巨大な絵を見ながら思ったのでした。
 夜は、居酒屋で、「刈穂」なぞを飲みながら、象潟産の岩がきや比内鳥串焼きなんぞを食べていたわけです。
 それから、翌日は羽後本荘まで行き、「雪の茅舎」というお酒を造っている齋彌酒造店にも取材に。米の味を生かした、しっかりしたお酒を造っている蔵元です。その取材のあと、少し時間があったので、鶴舞温泉で入浴してきました。駅から車で5分、歩いて20分ほどのところにあります。塩素−ナトリウム泉で、ちょっと褐色のお湯はぬめっとした感じ。短い時間だったけど、さっぱりとして、帰途につくことができました。
 帰りの新幹線は指定席が取れていたし、比内鳥の燻製とハタハタの押し寿司を食べながら、ビールを飲み、暮れ行く秋田の平野を見ていたのでした。

 今回の出張で読んでいたのは、イザベラ・アジェンデの「神と野獣の都」(扶桑社文庫)。「エバルーナ」などを書いた、けっこう著名なラテン・アメリカの作家。チリのクーデターで死んだアジェンデ大統領の姪にあたるのかな?マジックリアリズムていうけれど、けっこうストレートな冒険ファンタジー。カリフォルニアに住む15歳の少年が主人公。お母さんが病気になってしまい、おかげで父方の祖母に預けられるんだけど、この祖母というのがすごいキャラクターで、孫には名前で自分をよばせ、泳ぎを教えるといってプールに放り込み、いたずらが好きという。少年の方は、ごく普通なんだけど、この祖母によって鍛えられていくっていうパターンですね。で、少年は祖母を訪ねてニューヨークに行くのだけれど、すぐにアマゾンに向かうことになる。なんたって、祖母はインターナショナル・ジオグラフィック誌の取材をしている作家というわけで、少年もついて行くことになる。アマゾンには謎の「野獣」がいて、それを調査しに行くという。もちろん、お約束通り、現地で少女に会って仲良くなったりするし、そんなこんなで、冒険して逞しくなるという。なかなか、ストレートな話でしょ。
 ヤングアダルトとして、ちょっと毛色も変わっているので、そういう意味で、うちの娘なんぞは、あと何年かしたら楽しく読めるかも。でも、その前に、秋田駅前の古本屋で1冊105円で買った「エルマーのぼうけん」「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」を読んでもらおうかというところではありますが。