それでもなお、今回の総選挙に期待することは一つだけあるなあって思っている。
もし、民主党政権になったら、イラクにいる自衛隊を撤収させるのかどうかということだ。とりわけ小沢一郎はイラク派兵に批判的だったはずだ。少なくとも、この一点だけは、注目し、期待したい。
今回の総選挙の争点は、郵政民営化などではなく、暴走する小泉を今後も信任していくかどうかなのだ。国内問題だけだと、わかりにくいかもしれないが、外交ということになれば、ほとんどぼろぼろである。ひたすら東アジアにおいて、反日感情をあおりまくってきた、かといって、とりたてて何かアイデアがあるわけではない、ただ国内向けのパフォーマンスとしての外交。米国依存でブッシュのペットと化した首相、そういうものから脱却できるかどうかということなのだから。
本質的に期待できないことが多いけれども、本当に、イラクの自衛隊が撤収されるのであれば、これはものすごく大きなことだ。それは、米国依存の外交から一歩離れることにもなる。そして、そうすべきだとも思っている。
その次に、北朝鮮との外交があるわけだけれども、こちらについては、国民の反感を受けとめながらも、利益のある外交を貫けるかどうかだろう。だが、それはすごく勇気のいることだし、たぶん、今はまだ無理だと思う。
日本がどれほどまでにひどい国なのかということは、内田雅敏の「これが犯罪?「ビラ配りで逮捕」を考える」(岩波ブックレット)を読むとよくわかる。
日本という国は、たかだか「イラク派兵反対」のビラを配っただけで逮捕されるところなのである。ビラをポストに入れるためには、マンションの敷地内に入らなくてはならないが、そうすると住居不法侵入で逮捕され、拘留されてしまうのだ。共産党のビラだって同様である。
仕事がない公安警察は、とにかく政府に批判的な人たちに対しては、微罪で逮捕してくれるわけだ。今のところ、有罪になった事例こそないが、裁判所がどれほど良心を持っているのかどうか、疑わしいので、有罪になるケースも今後あるかもしれない。そうなったら、日本はもはや民主国家ではなくなってしまう。意見の異なる人を弾圧するのだから。
でも、実はこのことは、自業自得の部分もある。オウム事件のとき、微罪逮捕が相次いだが、いったい誰がこれを批判しただろうか? そのことはいずれしっぺ返しがくる、当時のぼくはそう思っていた。そしてそれは現実のものとなったわけだ。
共産党も市民活動家も、微罪逮捕を批判すべきだったし、オウムの転入拒否を批判すべきだったのだ。
反政府的な人を弾圧しつつ、そうではない人の横暴には目を瞑るダブルスタンダードは、オウムの微罪逮捕に目をつむるダブルスタンダードと同じではないか。
とはいえ、だからといって、微罪逮捕を肯定する気は少しもない。微罪逮捕と戦う共産党や市民活動家を応援したいという気持ちは持っているのだから。
話は変わって、ホン・サンス監督の「女は男の未来だ」の試写を見てきました。フランス映画のような韓国映画、というところです。いや、韓国−フランス映画なんですけどね。恋愛未満のところで、ダメダメな男女っていう感じかなあ。なーんか、エリック・ロメールみたいなカメラワークだけど、さすがにフランス映画ほどセリフは多くなかったです。とにかく、ダメさかげんが、なかなか、つらい気持ちにさせてくれる、そういう作品でした。10月公開なので、男のダメさかげんを楽しみたい人はどうぞ。
それから、荒木飛呂彦の「スティール・ボール・ラン」の5巻が出たのでびっくり。このところ、少年ジャンプに掲載されていなかったので、打ちきりにでもなっていたのかなあって思っていたのだけど、そうではなかったようです。ウルトラジャンプで連載しているのでした。5巻になってようやく、メインとなりそうな謎が出てきて、いよいよこれからっていうところです。小さく、「ジョジョの奇妙な冒険、第7部」と書いてあったりもします。
来週は、どうやら秋田に行くことになりそうです。