こちら葛飾区水元公園前通信749

tenshinokuma2009-05-27

 ゴールデンウィークというのも、すっかり遠い昔になってしまいました。
 何をしたというわけでもないんですけどね。やったことといえば、筑波山に登ったことと、潮干狩りでしょうか。

 筑波山は、うちからけっこう、近いはずでした。バスで三郷中央に出て、そこからつくばエクスプレスでつくばに出て、さらにバスで、というわけです。
 でも、5月3日ゴールデンウィークのつくばは道路が渋滞していて、バスが動きませんでしたねえ。
 ということで、筑波神社にたどりついたときは、12時をまわっていました。そこから登山ということです。
 まあ、のぼるのが大変な山というわけではないので、このくらいの時間でもどうにかなるんですけどね。筑波山がいいのは、眼下に広がる景色がたんぼやはたけだということ。平野の中にそびえる山というのは、ちょっと独特です。
 筑波山に登るのは、実は二度目なのですが、頂上まで登ったのは初めてでした。神社から女体山を目指し、それから男体山へ。かみさんはくじけて、男体山には登らなかったのですが、ぼくと子どもたちはしっかりと登ってきました。けっこう山頂はせまく、女体山は人がぎっしりでしたが、わずかに低い男体山の山頂はちょっとさびしかったです。
 とはいえ、人であふれるゴールデンウィーク筑波山、帰りはケーブルカーで降りました。

 潮干狩りは、9日に、三番瀬に行きました。すっかり公園になっていて、潮干狩りする場所もあったのですが、今回は関組長の案内で、無料で潮干狩りできるエリアへ。もちろん、アサリをまいているわけではないので、ほとんどとれないんですけど、それでも息子は大きなオキアサリをひろったり、カキをひろったりしていましたし、小さなアカエイを見ることもできました。
 三番瀬で無料で遊ぶのであれば、アサリを探すよりもカキをはがしたりカニをつかまえたりするっていうのがいいようです。シオフキも多少はとれます。これ、砂が多いんですけど、洗えば食べられますし。カニはから揚げ、カキは殻がかさばるけれど、酒蒸しにすると、アサリよりもうまいと思いました。息子もけっこうよろこんで食べてたし。もっと採ってくればよかったと後悔しました。

 そんなわけで、子ども会とPTAの副会長という、名前だけは立派な、でもたいして何もできそうにない、労働要員ということで、5月が始まったというわけです。

 先月の新刊として2冊。
 ジョナサン・キャロルの「木でできた海」(創元推理文庫)は、キャロルとしては意外な設定で、ちょっとびっくりします。登場人物が重複する「蜂の巣にキス」「薪の結婚」に続く三部作の最後、ということになるんですけれど、驚くほど世界観が一致しないんです。
 以前の「月の骨」「炎の眠り」「空を飛ぶ子ども」「犬博物館の外で」というのは、似たような世界でした。ところが、「蜂の巣にキス」は純粋なミステリーで、そのわりには一番怖かったんですけど、「薪の結婚」の場合は主人公が何度も生きる特別な運命を持った人だったし、ネタをばらしてしまうと、「木でできた海」は神が目覚めるための機械の部品をつくるために運命づけられたのが主人公で、エイリアンがそれを見守っているというか干渉してくるというか、そのために時間を越えたりするというか、SFといえばSFだよな、というような話です。
 けれども、そのことがかえって、キャロルの人生に対する思想というのを明確にしているとも思うのです。人生というものは、しばしば操られてしまうものだ、という。それがどんなものであれ、主観的には、そういうもんだよな、という。それでも、主人公たちは人生をやりとげようとするし、そのわりには落とし穴にはまってしまうし、というようなものです。
 それにしても、独特のキャロルの文章は、いつも以上に今回は楽しんだと思います。

 レベッカ・ブラウンの「犬たち」(マガジンハウス)は、何となく松浦理英子とイメージが重なるんだけど、こちらの犬はというと、献身的というより支配的な愛人だったりします。冒頭から、アパートに住みついた犬のこと。でも、どう読んでも女性としか思えない。
 そういえば、エルヴェ・ギベールにも「犬たち」という作品があったっけ。
 動物にたとえることによって、支配したり奉仕したりする関係が、その非対称さがかえって見やすくなるというのはあると思います。そして、その関係をさまざまな寓話に展開していくのこの作品は、ブラウンのまた違った一面だとは思うのです。ですけど、個人的には、「体の贈り物」が一番好きです。
 そういや、ブラウンとイメージが重なる作家がもう1人いたな。ジャネット・ウィンターソンです。

 今は、森奈津子の「夢見るレンタルドール」(徳間書店)を読んでいるのですが、「色の章」「恋の章」合計600ページ、ギャグなし、ひたすらエロ。読んでいて疲れます。だったら読まなきゃいいのに、とも思うのですが。保坂和志も、つまんなかったら途中でやめてもいいと言うんですけどね。森のオナニーのおかずてんこもり、といった本なんですね、これが。まあ、あと80ページだ。

 そうそう、ゴールデンウィークの間に、「鉄子の旅」(小学館)全7冊を、今更ながら、読んでしまいました。別に、テツじゃないんですけどね。