時津風部屋

 あまりにひどい事件だと思う。
 朝青龍問題なんて、笑ってすませるんじゃないかっていうくらい。

 ほんとうに、相撲って制度疲労を起こしていると思う。
 例えば、伝統って言うけれど、昔は年2場所だった。そういうさまざまな変化を受け入れてきている。

 やはり、相撲はプロスポーツになりきれていないのではないか。第一に、幕下以下はプロではないということ。そういうところから考えないといけないって思う。
 今回の事件の被害者は17歳だが、これはまだ子どもであり、部屋を逃げ出すことなんてあたりまえではないだろうか。しかも、親方の子どもを預かるという気持ちは、それはやはりプロスポーツとして持つべきものではない。
 少なくとも、プロ野球やプロサッカーでチームから逃げ出すということはない。

 今回の事件は、オトナの社会ではとうてい考えられないことだ。逆に言えば、力士は引退し、年寄になってもなお、大人になる機会を持つことが出来ていないということだ。
 中卒で閉鎖社会に入っていった結果だ。
 相撲界は朝青龍を批判することはできない。

 相撲はもはや、根本的に変わるべきだと思う。
 例えば、入門は18歳以上。三段目以下を廃止、十両の定員を増やし、幕下も有給にする。土俵の高さを低くし、怪我が少ないようにする、部屋の移籍を認める、外国人力士の1部屋1人を廃止する、現役力士の組合をつくる、退職後のケアをしっかりとやる、などなど。

 まずは、時津風部屋は解散だろう。また、他の部屋での暴力の状況をきちんと調査すべきだ。当然だが、メディアは取材するはずだから、逃げ切れるわけではない。元力士にも取材は及ぶはずだ。そこには、問題のある親方の処分も視野に入る。

 この事件にとてもひっかかるのは、実は相撲以外でも、あちこちで制度疲労しているものがあり、そこにいらいらしているからなのかもしれない、とも思う。


【追記】
 きちんとこのことは書いておく。
 北の湖理事長は、他の部屋において同様のことがないか、すべて確認すべきだ。
 こうした事故があったとき、水平展開するというのは、あまりにも当然に行なわれていることだ。
 それは、早急に行なうべきである。もしできないとしたら、相撲界は、不二家白い恋人以下である。
 理事長はこのことから逃げるべきではない。

 もうひとつ。18歳以下の力士については、まず部屋から自宅に返すべきだし、親はそれを求めてほしい。
 もし、自分の子どもがかわいいと思ったら、この理不尽な世界にいる子どもたちを、自分の手元に戻して欲しい。
 自分の子どもは、子どもがいる部屋は大丈夫だとは思わないで欲しい。そして、自分の子どもがどんな世界にいるのかを今一度確認して欲しいと思う。そして、自分の子どもが安心して「仕事」に取組める職場だということが確認できてはじめて、子どもをその世界に戻してあげて欲しいと思う。
 それは親として最低限、行なうべきことだ。もし、子どもを相撲部屋に捨てたのでなければ。