こちら葛飾区水元公園前通信706

 簡単な枝豆ごはんの作り方。
 まず、閉店間際のスーパーでゆでた枝豆を買う。だいたい50%引きだ。
 翌朝、炊きたてのごはんの中に、さやから出した枝豆を混ぜこみ、しばらく蒸らす。
 惣菜の枝豆は、だいたい塩がきついので、これでちょうどいい感じの塩加減になる、と思う。かくして、朝から枝豆ごはんである。

 そんなわけで、枝豆を買う前に、久しぶりに行ったことのない銭湯ののれんをくぐった。表参道にある清水湯である。
 表参道の銭湯だから近代的かと思うと、けっこう内装はクラシカルだった。さほどせまいわけでもない脱衣所には、ぶら下がり健康器がある。これは、実は銭湯の必需品だと思っている。というのも、とりあえずぶら下がって見ると、背骨が伸ばされるので、それなりに気持ちいい。ついでに懸垂もやってみたりすると、腕が筋肉痛になる。
 お湯はやや熱め。許せる程度だ。どうにか入れるくらい。コンパクトな都心の銭湯は熱いというイメージがあるけれども、それほどでもない。
 ということで、タイルによる山なみの絵を見ながら、ゆったりと温まったのであった。まあ、脱衣所と浴室の境の上の方にあるガラスのすかし絵はちょっと不気味なのだけれど。でもまあ、満足して、千代田線に乗るのであった。

 ようやく読み終わったのが、ドン・タブスコットとアンソニー・D・ウィリアムズの「ウィキノミクス」(日経BP出版センター)だ。サブタイトルが「マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ」とある。いきなり、リナックスの話だったりする。
 この本を読んでいて、まず思い浮かべたのがアンパンマン。これは以前も書いたけれど、アンパンマンの世界って、お金も政府もなく、それぞれが他の人を喜ばせるために自分のスキルを磨いている、そんな世界である。ジャムおじさんはおいしいパンをつくるためにパンをつくる。アンパンマンはみんなの幸せを守るためにパトロールをする。それ以上ではない。それはリナックスの開発にたくさんの人がボランタリーに参加したことに似ている、と思う。アンパンマンの世界というのは、共産主義が理想とする世界であり、同時にアナーキーな世界でもある。ということで、この本の書評を朝日新聞柄谷行人が書いていたというのは、妙に納得が行くのである。
 でもまあ、この本は共産主義の本ではなく、現在の資本主義の次の展開を示すものなのだ。ある種の技術開発というのは、もう複雑になっていて、自社で抱えるのではなく、オープンにしてしまってみんなで作った方が効率がいい。ボーイング787はそうやってできたし、という。そして、そういう場(広場)をつくり、やっていく企業が生き残るっていう。まあ、そうなるとアンパンマンとは違ってくるんだけれども。
 マスコラボレーションには、ぼくはもう少し違った見方をしている。公共財という考えだ。マイクロソフトがウインドウズを開発した後、独占禁止法に引っかかるということで訴訟になった。ウインドウズMeだったかな、そのあたりでは、ブラウザもOSに組みこんでしまっていたし、何よりウインドウズをプレインストールしたパソコンをせっせと販売していた。
 でも、他のソフトウェアならいざしらず、OSを独占するというのは、やはり問題があると思った。というのも、さまざまなアプリケーションソフトを使うための基盤となるものがOSなわけで、それを独占するというのは、公共財を独占するということに等しい。だからこそ、リナックスが出てくる意義があったと思っていた。
 ところが、オープンソースリナックスにとどまらなかった。さまざまなオープンソースが開発され、これを活用してビジネスソフトを提供する会社もいくつも登場している。ライセンスが不要なので、低コストで供給できるというのが魅力だ。そうなると、OS以外のソフトも公共財としてオープンソースとして提供されているのだろうか。
 オープンソースだけではなく、さまざまな技術の要素が提供されるというとき、複雑化した技術開発はもはや私有することはコストに合わず、むしろコラボレーションによって開発し、公共財として生かしていくというのが効率的なのだろうか。まあ、新しい道路を自分の会社だけで建設して、通行料で儲けるより、みんで作って効率的な運送会社になって儲ける方が効率的、というようなことでもある。本書は、そうした要請が高まっているということを書いているわけなんだけれど。
 まあ、でも、独占ではなく共有によって、金銭的ではなく技術発展的に豊かになるというのは、アリだと思うし、それは実は21世紀的に健全なのかもしれない。それは仕事のやり方としても、けっこう楽しいんじゃないかって思う。
 それにしても、柄谷の見方からいけば、資本主義は技術の進化によって共産主義に近づいていく。というのはけっこう皮肉なことかもしれない。マルクスも予想しなかった展開ということになる。コトはそう単純ではないとも思っているけれども。

 前回の最後に書いた通り、小平まで行ってきた。
 小平から西武線沿いに緑道があって、ちょっと時間があったので、ここを一駅分、花小金井まで歩いたのだけれど、なかなかいいコースだった。ところどころに野菜の販売所があり、目の前の畑の野菜を売っている。まあ、水元でも売っているけれども、畑の数がちがう。ブロッコリーとトマトとズッキーニを買って帰った。あと、ふるさと村だったかな、古い民家を移築したささやかな屋外博物館なんかもあったりする。
 それと、脱サラした蕎麦屋はおいしい、ということも書いておく。

 「ローゼンメイデン」のビデオを4巻まで見たのだけれど、この話って、構造的には「ケロロ軍曹」と同じなんじゃないかって思うのは、ぼくだけだろうか。