こちら葛飾区水元公園前通信870

tenshinokuma2018-02-14

 こんばんは。
 年賀郵便の準備はほぼできました。もうすぐ発送です。

 今夜は、本の話をいくつか。
 友人F推薦の、R・J・パラシオの「ワンダー」(ほるぷ出版)、ヤングアダルトになるのかな。主人公のオーガストは遺伝的疾患で変な顔に生まれついた。その後、何度も手術を受け、少しはましになったけれども。それでも初めて会う人はびっくりする。
 オーガストは両親にも姉にも愛され、そして中途で小学校に入学する。そこで、同級生はどう受け止めるのか。
 オーガストだけではなく、周囲の人間の視点からも語られる物語は、気持ち的にはちょっと複雑。きれいごとすぎるって感じるかもしれない。いじめということの構造にも入ってくる。素直に感動してもいいのだけれど、ひねくれもののぼくとしては、そんな簡単に受け入れられない弱さに、ちょっと動かされる。
 たぶん、その自分の弱さを克服することが、この本のいいところなのかもしれない。きれいごとに近づかなきゃ。

 友人I推薦の、「未必のマクベス」(早川書房)も読みました。
 600ページを一気に読みました。読む分には、とても面白いんです。よくできています。
 それに、主人公が追いかけるのは、都立高校の同級生だった女性。ぼくも都立高校の出身なので、いろいろ思い出してしまいましたが。
 Everything But The Girlもキーワード。少女以外の全て、ですね。単純に好きなバンドなんですけど。
 でもね、恋愛小説というのはどうか、と思いました。むしろ、恋愛アドベンチャーゲームなんじゃないか、と。主人公には同級生だったメインヒロインがいて、サブヒロインがいて、その他にも魅力的な女性が何人かいて、主人公を守ってくれます。
 ストーリーは読んでもらうとして、でもどうしても感じてしまうのは、あらかじめ決められたシナリオに主人公が従ってしまうという展開。設定としてそうなっているということもあるのですが。同時に、主人公の行動にはしばしば選択肢があって、違う選択もあるだろうな、ということも感じます。特にラスト。
 メインヒロインの鍋島冬香をはじめ、さまざまな女性のルートがありそうだな、と。
 だから、読んで面白いのだけれども、恋愛小説として何か心に落ちていくというものはないんです。読後は、厚さもあって、ゲームをクリアした達成感みたいなのはあるんですけどね。

 ブロガーのMさん推薦の、河合雅司の「未来の年表」(講談社)は、前半はぼくもおすすめです。日本の将来って、けっこう深刻で、人口減少で社会がどれほど成り立たないんだっていう。ただ、日本人って見たくない現実からは目をそらすので、どうしても未来はましだって思いたがるのではないでしょうか。
 それでも、人口が減少するっていうのは、ほぼ間違いない現実ですから、それなりに対応しなきゃいけないんですけどね。それを確認するだけでも、悪くないという、そういう本です。
 けれども、著者の処方箋が、ダメダメなんです。まあ、産経新聞編集委員という目で見てしまうっていうこともあるんですけど。根本的には、日本という国ではなく、日本という場所に住む人は豊かで幸福であればいいと思うのですが、著者は日本という国にこだわってしまう。そこに、処方箋の限界があるんです。
 たとえば、人口減少を緩和させるには、著者は結婚の促進を言うのですが、その前に、結婚できるような所得が得られる社会の構築とか、あるいは婚外子でも十分に育てられるような支援とか、女性のキャリアの支援とか、あると思うんですけどね。
 それと、貧困化していく日本社会に対する処方箋も用意されていないですね。せいぜい、高齢化しても働くことしかない。地方では人が移住すればいいという話ではないですし。

 友人の中島大著「小水力発電が地域を救う」(東洋経済新報社)も読みました。
 もちろん、小水力発電のことも書いてあるのですが、その背後にある、地域に対する哲学みたいなものは、ぜひとも共有したいと思いました。
 都市部の住人なので、どうしても地域のことを肌で感じることには限界があるのですが、それでも、事業の核としてそれが存在できるということは、悪くはないな、と。誰がその事業をやるのか、ということも含めて。

 今月は出張はないのですが、その分、デスクワークというか宿題がたくさんあるといったところです。