こちら葛飾区水元公園前通信715

 先週は、新中川で息子と釣りをしてきました。息子の釣りデビューです。ぼくも釣りをするのはひさしぶり。去年の夏、鹿児島で娘と港で釣りをして以来です。
 ねらいはハゼ。そこそこいる、ということなので。幸いにも、ちょろちょろしている息子でも川には落ちないよう柵がある場所があったので、そこで釣りました。上には高砂諏訪橋という車のあまり通らない橋もあり、日陰で暑さを避けることができました。
 最初はけっこうアタリがあったので、ハゼがどうにか釣れていましたが、そのうちアタリがなくなる中で、セイゴが釣れるようになった、というところです。
 釣果はというと、ハゼ11匹、セイゴ5匹。まあ、釣れたのでうれしい、というところです。釣れた魚はからあげにして食べました。

 書評のために堀田あけみの「発達障害だって大丈夫」(河出書房新社)を読んだのですが、なんだか他人と思えない本でした。障害児を育てる、ということとは別に、当然のように子どもに手を焼くこと、そして微妙な夫婦関係。著者が同じ世代で、子どもの年齢も同じくらいということもあります。
 でもまあ、考えてみると、著者が同じ世代というのはあたりまえなんです。というのも、読んだきっかけは、著者の夫である写真家の小原玲は、大学の先輩にあたるということ。言われてみて、聞いたことある名前であること、しかもその人はたしかにカメラを持って大学の寮に出入りしていたような、という。ということを、書評担当者に教えてもらったし。
 しかもその人が、「1980 アイコ 18歳」の作者と結婚していたので、二重の驚きでした。
 さて、本そのものは、発達心理学の研究者でもある堀田が、偶然にも三人の子どものうちの真ん中にあたる次男が発達障害であり、その子を含めて三人を育てていくという、そのことを通じて、発達障害の子どもを育てるというのはどういうことか、どういう選択肢があるのか、そしてそもそも子どもを育てる幸せを書くというものです。
 でも、発達障害ではなくたって、それなりに子どもには苦労をかけさせられるのではないでしょうか。うちの子どもたちも同様です。なかなか自信を持てずに学校に行けなかったり、ちょろちょろと動き回って落ちつきがなかったり、などなど。まあ、そういうこともあります。
 そして、微妙な夫婦関係っていうのが、これまたそうだよなあっていう。
 堀田自身、大学で教鞭をとっているわけですが、その一方で夫は動物写真家なので長期不在が多い。育児に「協力的」ではあっても、アテにならないという。しかも自由業なので収入が不安定で「一家の大黒柱としての自覚がない」のに、育児の責任は妻に押し付けてしまう。そして、堀田自身、「意見の合わない夫婦」だという。
 まあ、うちもそうだよなあ、というのはありますね。そうではあっても、どうにかやっていく、ということなんですけど。うちも意見の合わない夫婦ですから。まあ、これはたぶん、どこの家庭でも同じだと思うのですが、いかがでしょうか。どっちかが我慢して、表に出ないだけで。
 小原が協力的というか、子どもとよくつきあっているっていう、何より、子どものおともだちのお母さんとも仲良くできるっていうのは、ぼくにもよくわかります。ぼくもそうでしたから。そんなわけで、いちおう、ぼくは育児を手伝ってなんかいません。だって、そんな楽しいこと、手伝うっていう感覚でやってませんから。

 大宮信光の「赤ちゃんはなぜかわいいのか」(日本文芸社)も読みました。さすが、読みやすい本です。赤ちゃんのことがいろいろと調べてまとめてあって。受精のことから家族のことまで、よくわかります。目からウロコのこともあります。でもそういうことより、赤ちゃんはかわいかったなあ、ということを今更ながら思い出しました。もういいですけど。
 ヒトは脳の発達と引き換えに未発達の状態で生まれてきます。本当なら20ヶ月ぐらいかかるのだけれども、という。そういえば、人間はネオテニーだという話もあるし、だから毛が少ないという。まあ、生まれてすぐに歩きまわってくれると楽だなあって思ったことも多いけれども、でも歩くまで1年かかるし、それはしょうがないですかねえ。

 春日美奈子の「愛をください」(北星堂書店)も読みました。Mという男性をめぐるドキュメンタリー。Mは母親に捨てられて孤児として施設で育つ。けれども、自立するはずが、犯罪を繰り返し、少年院などと往復。そのMがやがて自分の居場所を見つけ、家庭を築く。そういうストーリーを追いながら、少年犯罪の厳罰化を牽制し、子どもは愛されて育つ権利がある、というもの。
 ぼくもそう思う。けれども、そこがもっと主張されてもいいとも思いました。少年犯罪については、「子どもは犯罪を犯すことから護られるべき」だと思っています。

 たまには小説を、ということで、堀江敏幸の「雪沼とその周辺」(新潮文庫)。なんか、じわーっときますねえ。閉店日のボーリング場の話からはじまって。ぱっとしないスキー場もたいへんです。

 カラーできれいなので買ってしまったのが、小野里公成の「日本の花火」(ちくま新書)です。花火はいいですねえ。全国の花火大会の紹介より、花火の種類というかカタログみたいな本のほうがよかったとも思いましたが。

 ついでに海部宣男・宮下暁彦(写真)の「すばる望遠鏡の宇宙」(岩波新書)は、すばるの実力や探索のテーマがわかる本でした。けれども、すばるが宇宙の画像をとらえていくのはこれから、なので、すばるそのものの話が多く、もっと天体写真を見たい人には物足りないと思います。ぼくもそうです。
 すばるは、ハワイのマウナケアに建設された、口径8.2メートルの反射望遠鏡。口径そのものはハッブルよりも大きいし、大気によるちらつきを補正する機能があるので、感度はハッブル以上です。それでも、シャープさというとハッブルにゆずるわけですが、地上の望遠鏡でここまでできるというのはすごいし、さまざまな機能をつけられるという利点があります。冥王星カロンの映像とか、なかなかだし、次はほかの恒星にある惑星の観察というのもあります。
 ほんとうに、これからどんな画像を見せてくれるのか、楽しみです。

 それにしても、森奈津子の「からくりアンモラル」が文庫(早川文庫)になったのだけれど、そのときに単行本に1篇追加しているっていうのは、ちょっとずるいよな、という。「繰り返される初夜の物語」という、なんかやりきれない悲しい話がそれなんだけれども。まあ、いいですけど。

 書き忘れていかけれど、先月は新柴又駅近くの興和浴場という銭湯に行ってみました。けっこう清潔な感じで、特に何ということもないけれども、いかにも銭湯、なのでした。