こちら葛飾区水元公園前通信697

 まずはお知らせ。
 トーキングヘッズ叢書の30号が出ました。今回はフランス・エロス特集。フランスといえば、エロスですからねえ。って、思いこみがあるでしょ。フランスとは関係ないフランス書院文庫とかね。
 そんなわけで、この機会に、ぼくも「エマニエル夫人」とか読んでしまいました。
 ということで、今回もよろしくおねがいします。

 それにしても、出版業界に戻ってしまったぼくなのだけれども、本屋に居るとすごく落ちつくなあって思う。こういうことが好きだったんだなあって。

 そんなわけで、GWはいかがおすごしでしょうか。こちらはあいかわらず、近所で遊んでいます。
 28日は「房総のむら」まで、行ってきました。友人の運転で行ったのですが、けっこう空いていて、GWの穴場かもしれません。
 場所は千葉県の成田の近く。県立の体験型博物館というものです。中に入ると、江戸時代の町並みが再現されていて、呉服屋や紙屋、薬屋などのつくりがわかるだけではなく、いろいろ体験できるという。蕎麦屋ではそばを食べたりするわけです。
 そばは500円だけれど、かなりおいしいそばでした。あくまで体験なので、大盛りとかはないですけれど。あとはモナカ(アイスとあんこがある)も自分でつくって食べるし、千代紙ろうそくやうぐいす笛も作ったし、娘は甲冑の試着もしました。
 実は博物館を含む丘全体が「風土記の丘」というエリアになっていて、古墳なんかもあります。今回は午後になって、雷雨が近づいてきていたので、ゆっくりとそこまで見ることはできなかったのですけれど、子どもとしてはこれでOKかな、と。

 29日は水元公園で「こどもまつり」。これは毎年やっているイベントで、中央広場でいろいろなアトラクションが展開されているというもの。
 自転車協会提供の変な自転車に乗り、ボーイスカウト提供のどじょう掴みをやり、こいのぼりに絵を描き、キックターゲットをやり、地震体験車に乗り、ペットボトルロケットを飛ばしました。他にもいろんなアトラクションがあるのだけれど、やりきれません。
 そんなわけで、適当に切り上げたあと、プールに行ったのでした。
 今日もよく遊んだというところです。

 30日は、前々から行きたかった、亀有にある上千葉砂原公園に行きました。ちょっと広めの公園には、小さな動物園があって、小鳥はポニーやブタがいて、モルモットやヤギやウサギとも遊べるというふれあい広場。あとはゴーカートのコースや水遊び場もあったりして、小さな子ども向けにはわりと充実の公園。
 でも息子はともかく娘にはちょっと退屈だったみたいで、郷土と天文の博物館(プラネタリウムは満席で入れなかった)に立ち寄ってからバッティングセンターへ。娘はいつのまにか、トスバッティングではかなり打てるようになっている。でも久々にやったので、ぼくは腕が痛いです。

 1日と2日は仕事です。溜まっているし、娘は学校なので、休むこともないし、です。
 3日、4日、5日、6日はまた、近所で遊んでます。たぶん。

 デヴィッド・グレーバーの「アナーキスト人類学のための断章」(以文社)は、けっこう刺激的な本でした。
 アナーキズムっていうと、何か行き詰まりの思想のように感じてしまうけれども、人類学というコンテクストにおいては、決して特殊なものではなく、そういった社会がしばしば構成されてきた、ということを語っています。そこに、人類の可能性を見出そうというのが、グレーバーなんです。
 なるほどなあって思ったのは、無政府状態の経済が「物々交換」ではなく「贈与」によって成り立っているという指摘。以前、「アンパンマン」の世界はアナーキストの理想だって書いたような気がする。というか、共産主義の理想だとは書いた。コミュニズムアナーキズムは同じものではないけれども、資本主義経済、自由主義経済に対しては対立するものです。それは、「政府」という形の統治を持つか持たないかということかもしれません。
 それはそうと、「アンパンマン」の世界には政府はなく、貨幣もない、物々交換の必要もなく、ジャムおじさんは人々においしいパンを食べてもらうためだけにパンを焼く。
 もっとも、「アンパンマン」においてバイキンマンという宇宙から来たと設定されているキャラクターだけは、様々なものを(ほとんど食べ物ばかりだけれど)を独占しようとする。まさに彼だけがアナーキストではない。結局のところ、人間がバイキンマンのように自分の欲望をコントロールできないのであれば、それは不可能だということになってしまうのだけれども。
 それはそうと、グレーバーは別に「アンパンマン」を見ているわけではなく、さまざまな社会を研究しながら、社会に対して働きかけているわけです。実践する学者といったところでしょうか、大学もクビになっちゃったし、みたいな。

 それにしても、連休の谷間だけ、天気が悪いらしい、ですね。