こちら葛飾区水元公園前通信695

 300日問題と赤ちゃんポスト
 現実に対応していない法律は改正すべきだし、赤ちゃんポストが必要なまでに、個人へのサポートが不足している、ということなのだと思う。

 300日問題の間抜けさって、「離婚してからセックスするようになりました」っていう前提に立っていること。それって、100日に短縮したからどうなるっていうものでもないとも思うけれども、それにしても、自民党保守派の抵抗が強いこと強いこと。脳みそが腐っているとしか思えないような人たちである。
 赤ちゃんポスト安倍晋三は反対みたいだけれども。赤ちゃんポストがあるから、救える命の重さと、それがあるから子どもの放置が促進されるということと、どちらが重要なのだろうか。そもそも、赤ちゃんポストができたから、みんな安心してそこに子どもを置いていける、などということではないと思うのだけれども。
 この二つの問題、そもそも子どもの視点に立っていないということで共通している。
 300日問題の場合、自分が誰を父親としているのか、少なくとも事実がわかっていてなお、法律がそれを保証しないということである。赤ちゃんポストにおいても、「子どもを育てる能力がない親」の下にいるよりは、社会的に保護された方が、子どもはまだ「生きていける」ということだ。
 それぞれに反対を示す政治家っていうのは、「家族のために個人がある」という発想にしか立てないし、それって、柳沢と五十歩百歩だ。女性だって男性と同じように、離婚という手続きとは別に、生活を変えることだって当然あるだろうし、そんな中では300日なんて、何の意味もない。ただ、形だけでも「家族」を壊さないようにする、というだけのことだ。「家族」さえ形があれば、その中で個人がいくら不幸であろうとも、社会の秩序た保たれる、という幻想を持っているのだろうな。
 こういう政治家は、人々を不幸にするだけだ、と言っておく。

 岡田斗司夫の「フロン」(幻冬舎文庫)を読んだ。まあ、だいたい、現状認識については、その通りだと思う。家庭が安らぎの場所ではなく、育児のための仕事の場所だといえば、まあそれは外れていない。実感として、家庭でやすらぐことって、ほとんどないよなあって思う。そこで、そこを割りきって、子どもとともに家族として暮らしていける父親というのがどれほどいるのか。そういう前提に立ったとき、じゃあ、帰ってきても安らげないのであれば、家庭にいるだけ無駄だし、妻にとっても余計な仕事が増えるだけなので、リストラしてしまおう、ということになる。お金だけ入れて、外で暮らしてもらって、たまに来てくれればいい、という。
 実際に岡田は別居し、離婚するわけだけれども。
 でも、それは違うなあって思う。リストラっていうのは一つのあり方としてアリだとは思う。けれども、岡田が立っているところは、男性が外で働き、女性が家庭を仕切るという、そういった核家族の専業主婦状態。それに対し、女性に向けて、多少の経済的自立(復職や実家からの支援)を提案し、リストラができる状況にしておくことを提案している。
 まあ、女性に向けて書いているという前提だからなのかもしれないけれども。
 でも、ぼくはやはり、男性も育児をするという覚悟は不可欠だと思うし、そうでなければただの種馬じゃないの、っていうのはある。そして、種馬+母子家族や産む機械+父子家族ということで生活できるのかどうか、社会のしくみはそうなっていない。
 主婦が復職しても十分な収入が得られるケースは稀だろうし、実家からの支援といっても、むしろ介護を押しつけられるということになり、かえってしんどいこともあるだろう。
 リストラっていうのは、確かにアリだ。でもそれ以前に、安らぎの場所ではない「家族」を、それでも楽しむっていう覚悟が必要だと思う。十分な養育費を払える男性がどれほどいる? このこととは別に、リストラ可能な社会制度であるべきだとも思っているけれども、それは「300日問題」への対応を見ればわかるとおり、実現は当分難しいだろう。
 別に「家族」にこだわっていうわけじゃない。一緒に暮らすことがしんどいのであれば、離婚すべきだし。そうではなく、男性だってそんなに簡単に子どもから逃れられるわけじゃないんだっていうことだ。
 ぼくにはその、岡田のジェンダーバイアスがかかっているところが、ちょっと違うんじゃないか、と思ったところだ。まあ、家族観の違いもあるけれどもね。
 ぼくの家族観っていうのは、上野千鶴子が「女という快楽」で指摘したように、ファミリーアイデンティティの及ぶ範囲ということ。だから、村上春樹の「ファミリーアフェア」が兄と妹の二人暮しであっても、それはやっぱり家族なんだと思う。そういう中では、リストラだけで解決はしない、と思うわけなのだ。

 中村うさぎの「壊れたおねえさんは好きですか」(文春文庫)もついでに読んでしまった。どうして壊れた男に惹き付けられるのか、という「闇フェロモン」からはじまって、自分にはフェロモンがないっていう。でも、中村のそのじたばたするあたり、ホストクラブに通い、プチ整形し、果てはソープランドにまで行ってしまう。なんか、泣ける。いや、別に壊れたおねえさんが好きなわけじゃないけれども。

 I氏が勧める「美少女戦麗舞パシャーヌ」をうっかり見てしまった。主婦が変身する「ポワトリン」である。って、主婦じゃそもそも美少女じゃないだろうっていう。I氏には今度、責任をとってもらうことにする」

 ヤクルトはようやく2勝。いちおう最下位脱出、である。岩村の後の補強ができていないっていうのが問題だったと思う。