こちら葛飾区水元公園前通信692

 まず、花見のこと。
 24日と思っていたのだけど、これはやめます。
 気象庁が最初に発表した開花予想日は計算違いだったという。18日というのは
お応訴、じゃなくって、大嘘で、実際には20日にようやく開花宣言

 先日、ちょっと時間があいたので、銀座6丁目、松坂屋の裏にあるヴァニラ画廊に行ってみました。トーキングヘッズでおなじみの画廊ですね。
 バラバラ死体の模型がでてくるガチャガチャとかあって、なんか変です。
 この日は亡月王の個展。細密な鉛筆によるスーパーリアルな絵なんですけど、女性の体にイカのような手足がついていて、頭がなくってそこも腕、という絵だったりします。画集のタイトルは「蛇蝎」ですか。気持ち良いといえば気持ち良いですけど。

 東浩紀の「ゲーム的リアリズムの誕生」(講談社現代新書)を読みました。サブタイトルが「動物化するポストモダン2」となっています。
 どういう本かというと、ライトノベルとゲームの関係を明らかにしながら、まさにゲームのような背景を持った小説が登場している。そうした小説が「セカイ系」とよばれることと無縁ではない。というものです。あるいは、お話ではなく「データベース」がある、とでもいうような。
 RPGゲームは基本的に、プレイするたびに、違った展開をしていきます。その展開の一つとして、ゲームから小説が誕生することもありました。「ロードス島戦記」がそれです。
 それは、小説がストーリーから始まるのではなく、世界感の構築からはじまっている、ということでもあります。
 そうした視点から、後半は具体的な作品を取り上げて、論じていきます。例えば、何度も生き返らなくてはいけないという作品、桜坂洋の「All you need is kill」も登場しますし、まさにそうした世界を展開させていくゲームとして「ひぐらしの鳴く頃に」や「AIR」などがヒットします。そして舞城王太郎の「九十九十九」もまた、そうした構成を持ちます。そこでは、読者は主人公の視点ではなく、プレーヤーの視点で読む、ということになります。
 それが、ゲーム的リアリズム、ということになります。それは、明かにこれまでの「文学」と言われるものとは異なっているし、それがオタクにとってのリアルだと言われてしまえばその通りなのかもしれませんけれども。

 銭湯を2軒、開拓しました。
 一つは四谷にある塩湯。なんか、すごい名前ですけど、元塩町というのが近いので、こういう名前なのかもしれません。レンタルタオルに石鹸を買って、入りました。
 問題は、お湯がとても熱いことです。たくさん水を入れてうめてしまいました。
 もう一つは、三鷹にあるアサヒトレンド21という銭湯。銭湯らしくない名前ですけど。浴槽がたくさんあって、元露天風呂のようなのもあります。多分、外からのぞかれるのか、雨が問題になるのかはわかりませんが、しかたなく屋根をつけてしまった、というところでしょう。この元露天風呂も含めた低温浴槽はほんとうに低温で、いつまでもぬるぬると入っていられるのですけれど、さすがにあったまらないです。でも、こういうのが、リラックスできるのかもしれません。高温浴槽といっても、熱過ぎないので、ゆっくり入っていられます。
 どちらの銭湯にも共通して別料金のサウナがあります。入らなかったけど。

 なぜ、四谷や三鷹で銭湯に入ったかというと、仕事で上智大学国際基督教大学(ICU)に行ったついでだったんです。上智はともかく、ICUはきれいなキャンパスでした。気持ち良いですね。レセプションは同窓会館というところだったんですけど、ICUワインをいただきました。無難に品の良い味わいの赤と白のワインでした。

 都知事選が公示されましたが、ちょっと迷っています。
 ぼくは石原には当選して欲しくないのだけれど、じゃあ素直に浅野を支持できるのかというと、そこがちょっと複雑な気持ち。だって、吉田万三でいいと思っていたから。
 たぶん、本質的な争点はオリンピック誘致などではなく、福祉による格差の是正というところなのだろうと思うのです。大規模開発ではなく、いかに福祉を充実させ、安心して暮らせる東京をつくるのか、ということだと思うのです。だったら、吉田でいい、ということなんです。

 それだけではないんです。現在、石原のもっとも弱点となっているのは、公私混同問題。四男を登用したり、公費で事実上の観光ツアーをしてきたり、不必要に高い接待費を使ったり。そして、こうした事実を追求してきたのが、赤旗でした。だから、実は石原と吉田というときに、とても対立軸がはっきりしていました。その中で、吉田は都知事候補として比較的早い時期から活動してきたのです。

 当然だけれど、共産党推薦の候補が選挙で勝つわけはない、と思っている人が多数だとも思っているでしょう。だからメディアは石原対浅野という構図で考えているし、何より石原にノーをつきつけるには、候補を一本化すべきだという山口二郎週刊金曜日3月16日号)の主張もわかるんです。
 けれども、そうした意味では、むしろ民主党が吉田を支援しても良かったのではないか、本当に勇気を持つべきなのは民主党ではなかったか、と思います。前回の都知事選のように、樋口恵子を支援しきれないという状況はあったかもしれないけれども、でもなお、民主党に求められるのはそういうことなのではないか、と思うのです。

 それでもなお、今の状況からすると、石原に対抗してポイントを上げているのは浅野ということになります。だから迷っています。