選択的夫婦別姓

tenshinokuma2009-10-01

 千葉法務大臣が法案提出を表明し、福島少子化担当相がこれを促進する。鳩山首相は慎重なんだけど。
 でも、こうした制度が導入に向けて進んでいくのはとてもいいことだ。まあ、早速、ネツウヨの人たちとか、「日本が崩壊する」などと言って盛り上がっているのだけれども。

 ただ、民主党の対応として不満なことがある。この制度もそうだし、子ども手当もそうなんだけれども、とても、説明ができていないということ。

 批判のひとつとして、「それって緊急にやるべきことなの?」というのがある。
 結論を言えば、急いでやるべきことの一つだと思うのだけれども。
 こういうことだ。
 たぶん、少子高齢化社会になっていく上で、労働人口の減少は避けられない。こうしたとき、女性の労働力を正規雇用の中に吸収していくことが、たぶん、必要。
(もちろん、高度経済成長が、核家族での女性のパートタイムという安価な労働によって支えられていたということもあるし、その安価な労働力が海外へ、さらに男性にも拡大していったということも現実としてある。けれども、そのことが内需不在の経済成長をもたらしてしまい、あまりにも弱い体質となって、この経済危機を迎えていることを、大企業の経営者は感じるべきだ。)
 女性を正規雇用として、あるいは少なくとも、配偶者控除の対象のまま、年間100万円以下の安い労働力ではなく、きちんと雇用していく上で、女性の社会的地位っていうのは、変わっていくことになる。
 もちろん、法的には男女平等なのだけれども、社会の慣習としては、そうではないというのは明らかだ。そして、そのことを乗り越えていくための、法的側面からの支援として、選択的夫婦別姓が必要となってくる。
 結婚はプライベートなことだけれども、だからこそ、仕事に持ち込む必要はないし、だから多くの女性が通称で旧姓を使っている。それは、仕事をしていく上でのアイデンティティとしても重要なものなのだと思う。仕事は、生き方を構成するものの一つでもあるし。

 もちろん、女性側からの要請もある。重なるけど、女性の社会的な地位の向上をアナウンスしてほしいということはある。
(それに、介護労働が女性の仕事という形でジェンダーでふりわけられ、同時にそれゆえに、男性の正規雇用並みの賃金を払う必要がない、という前提で、制度が構築され、結果として「国がワーキングプアをつくりだしている」という構図になっているし、このままではこれからの老人は「ワーキングプア」に介護されるという、あまり居心地がよくないという状況についても、改善すべきだとも思う。)

 もう一つ、これで離婚が増えて家族が崩壊する、という批判もある。でも、この程度で家族が崩壊するのであれば、崩壊すべきだ。
 女性の経済力を向上させれば、たぶん、離婚は増えてもおかしくない。なぜなら、結婚して退職し、子どもがいる状況で、夫婦関係が崩壊したため、離婚したくてもできない、あるいは熟年離婚を待っているという夫婦は、いないということはないだろう。そして、それが本当に、ある部分の人生を無駄に過ごすことにもなっているのではないだろうか。だったら、さっさと離婚したほうがいいに決まっている。
 夫婦別姓よりも、そのアナウンスを通じて女性の経済力向上・自立ということが、必要なのだと思う。

 そして、こうしたリスクに対し、子どもは犠牲になる、というのだろうか? そうではなくするために、育児の社会化のてはじめとして、子ども手当がある。さらに、母子家庭に対する手厚い支援や保育所の充実が必要になってくる。
 子どもにとっても、仲のわるい両親とともに暮らすことが幸福だとは思わない。

 ということぐらいは、政治家に語って欲しいのだけれども。

 選択的夫婦別姓が議論をよぶことはわかっている。でも、これもまた、議論して決めるのではなく、政治家は人々を説得すべきことなのだと思う。

 ということで、民主党は、いろいろといい政策を出しているけど、どうして説得する力がないのだろうか、というのが今日の不満。もっとも、民主党のほとんどの議員は、政策の本質を理解していないんじゃないか、という懸念もある。
 日本をどうすべきか、もっと語って欲しいというのは、そういうことなんだろうな。