こちら葛飾区水元公園前通信934

 こんばんは。

 8月ももうすぐ終わり、セミの声だけじゃなく、夜はコオロギの声が聞こえます。

 ということで、業務連絡から。

 

 息子が商業演劇デビュー、ということで案内します。

 劇団NLTの公演で、「ホテルZOO」という作品。9月28日から10月2日にかけての公演になります。場所は中野の劇場MOMOです。

 基本的に喜劇で、楽しく観られると思いますので、よろしければご観劇ください。

http://www.nlt.co.jp/now/zoo2022/index.html

 

 ぼくのほうはといえば、8月31日と9月1日は、幕張メッセで開催される脱炭素経営EXPOの会場にいると思いますので、見かけたらぜひ。って、業界の人じゃなきゃ来ないですよね。

 

 8月はなんだか、何もしないまますぎていくっていう感じです。暑いので山に行かないし、そのわりには雨も多くて何となく釣りにも行きそこなって。

 今週末も天気はあやしいですね。

 

 本はといえば、ニューウェーブSFを読み直したり、読んでいなかった作品を読んだり。

 J・G・バラードの短編集「時間の墓標」(創元推理文庫)は、「終着の浜辺」が収録されているので、ということで読みました。後に「終着の浜辺」(創元SF文庫)っていうタイトルで再刊されているやつです。

 バラードの作品には、入り込める場合と入り込めない場合があって、どういうわけか創元の本は「結晶世界」を読んでいこう、なんか入り込めない方でした。

 今回も、入り込めない感じはしましたが、何が問題なんだろうな。透明で無機質なバラードの描く風景が、うまく伝わってこない気がして。初期の作品がだめというわけじゃなく、「ヴァーミリオンサンズ」とか、楽しく読んだのにな。

 その「終着の浜辺」といえば、バラードの代表作なんだけど、「残虐行為展覧会」を既に読んでいると、ちょっと重たいなあって思ってしまいます。描かれている風景はバラードおなじみのものすぎて。過渡的作品なのかなあって思いました。

 バラードについては、また別の機会に。

 

 パメラ・ゾリーンの「宇宙の熱死とその他の短篇」(McPherson & Company)も読みました。久々に洋書を読みました。

 ゾリーンといえば、短篇「宇宙の熱死」がわりと有名で、これとは別に、「新しいSF」(サンリオSF文庫)に「心のオランダ」という中編が収録されていて、作品はこの2つだけかと思ったら、他にもあったらしく、1988年に短編集にまとめられていました。

 作品としては、ニューウェーブらしい、内宇宙というか、そういう作品です。「宇宙の熱死」は主婦が日々の暮らしに行き詰まっていくことと世界そのものが終わっていくことが重なっている、内宇宙の熱死という作品ですが、「心のオランダ」はさらに、オランダ旅行を内宇宙から見たものってなっていて、主人公の見る風景が先鋭的に示されていて、ある種、内宇宙ゆえの透明感というか、バラードに通じるものがあります。というか、それは物質的ではないって言い換えればいいのでしょうか(というか、それが伝わらないバラードの作品では、入り込めていないんだな)。

 とまあ、ここまでは邦訳があるのですが。

 未訳の3篇が良かったんです。特に「羊」。羊といえば、眠れないときに数えるものです。主人公の女性は、眠れないよるに羊を数えるのですが、羊と羊の間にさまざまな妄想が入り、少しも眠れません。羊料理や羊の屠殺が入り、あるいは羊を狼が狙い、というならまだしも、羊のように囲われている自分自身らしき存在に危害を加える他者、それが殺し合い、さらに隣に寝ている夫を殺してみたり、とまあ、そんな妄想の合間に、羊を数えます。

 眠れずに頭をよぎっていくことそのものが、自分を照射する形で、さまざまな内宇宙のように提示される。不本意な結婚の結果としての羊のような自分がそこに投影される。思弁小説としてもフェミニズム小説としてもいい作品だと思いました。

 「忙しい家系図」は、曾々祖父母の16名から現在の当人にいたる31名についての記述による作品。いろいろ歴史の中でそれぞれがわりと早く死んだりもします。祖先の物語そのものが、個人の中に内宇宙として落とし込まれている、ということなのでしょうか。代々がジェリー・コーネリアスのような感じです。とりわけ女性は、歴史の中で、子どもを残して早く死んでしまう。歴史に生き埋めになったまま、子孫を残している、というある種の残酷さもあります。タイタニックで沈んだり、飛行機事故で死んだり、殺されたり。

 裏表紙では、アンジェラ・カーターにもたとえられているゾリーンですが、イラストレーターが本職ということもあるのでしょうか、線形ではない記述の中で、多面的な個人の内面を描き出すということでは、とても面白いものでした。

 

 ニューウェーブついでに、ラングドン・ジョーンズ編「新しいSF」と著書の「レンズの眼」(サンリオSF文庫)を再読しました。こういうのが、今でも好きだなあって。ゾリーンが美術なら、ジョーンズは音楽が本職、なんだろうな。

 

 「仮面ライダーバイス」はそろそろ最終回です。ラスボスを倒したあと、さらに話が続くというのが、いいのかどうか。銭湯が舞台っていうのが好きでした。アギレラ様が好きでした。というわけですが。

 9月からの「仮面ライダーギーツ」、ストーリーはなんだか「仮面ライダー龍騎」みたいですね。

 「暴太郎戦隊ドンブラザース」は、いまだに意味不明な展開です。

 

 とまあ、そんなこんなで8月が終わります。