こちら葛飾区水元公園前通信932

こんにちは。

まずは業務連絡から。
以前からお話していた、「フェリシア」の40周年記念号ができました。
ぼくも久々に、SFの短編(50枚)を書きましたが、ほかにも、あの人やこの人などいろいろな人が書いています。スナブ・ランケンとは、オタクな話とか。
というわけで、読んでみたいという方は、連絡ください。とりあえず、送料込み1000円でお届けしたいと思います。

というわけで、今週末は、安倍晋三死去という話になってしまいました。
実は「フェリシア」に書いた短編でも、安倍晋三をモデルにした人物が登場するのですが、まあ、偶然です。
思うことはいろいろあります。きれいごとのように聞こえるかもしれませんが、殺されていい人間なんていないと思っているので、その意味では残念な事件です。これは、ぼくが死刑に反対している理由と同じです。
悼む気持ちなどまるでないけれども、それはそれ、これはこれ、です。
安倍晋三が総理大臣でなければ死なずに済んだ人がどれほどいようとも、ということです。
どこかで、最悪だった安倍政権がもう復活することはないという安心感があったとしても、です。

何だか、マスメディアは「民主主義の危機」みたいなことを言いますが、これはすごく違和感があります。第一に、民主主義をないがしろにしてきた当人が殺害されたことに対して、そうした見方をするのは、ダブルスタンダードにもほどがある、と思います。同時に、マスメディア自身が国政選挙にあたって、これまでずっとまともに報道せず、投票率の低下に貢献したきたというのに、どの口が言うか、と思います。そもそも、低い投票率に支えられてきたのが安倍政権だったのですから。

安倍晋三を「リーダーシップを発揮してきた政治家だった」みたいに持ち上げる報道も気持ち悪いです。今朝の日経の1面の記事とか、頭がおかしいんじゃないかと思いました。モリカケサクラに言及した東京新聞のほうがよほどまともだと思います。

あと、日本は危険な社会になってしまったというような感じもあるけれど、そこまで安全ではなかったし、最近だって立憲民主党福山哲郎が襲われている。当時民主党石井紘基が亡くなったのは20年前だったと思います。
あるいは、かつての社会党の浅沼委員長刺殺事件の裏返しのようにも見えます。

そして、なんだか、ピカレスクロマンのラストとでもいうような事件だとも感じました。劣化した政党の中枢に入り、政治を私物化していった政治家のドラマチックな最期、とでもいうのでしょうか。フィクションを超えてしまった事件のようにも感じます。

花輪和一の「風水ペット」(小学館)の1~3巻を読みました。
これまでの花輪の作品とくらべると、けっこう異色です。おそらく、舞台は現代。北海道の農村です。風水師のおばあさんを中心に、「反日」の旗をふりまわす近所の農家のおばあさん、その孫娘、毛沢東を信奉する人民服のおじいさん、満州で不老不死のニンニクを栽培して1個10万円で売ろうという出家したおばあさんなど。風水ペットというのは、風水師が買う動物たち。ワニやナマズ、陰と陽のたまごをうみわけるニワトリなど。
狂信的な登場人物たちが活躍します。中国共産党によって散逸しかけた風水の資料を日本に持ち込んで、独自の風水を展開する一方、満州には日本軍が残した金塊があり、それをいつか取り戻しにいこうという。旧日本軍は欧州によるアジア地域の支配を排除した、という歴史を取りもどそうという思想的なことが底流にあったり。風水を利用してFXで儲けようという女性も登場するし、経済に詳しい田舎のおじいさん、場南喜伊さんやおばあさんの家連さんも登場。
やってることは、中世を舞台にしたこれまでの作品と変わらず、因業の世界。でもまあ、こうやって花輪の手にかかると、現代社会もまた因業の世界であることは変わっていないだなあと思わずにいられません。
今回の安倍晋三の事件もまた、花輪の絵があいそうな気がします。
とりあえず連載は終わったようですが、第4巻が待ち遠しいですね。

梅雨が明けて暑くなったと思ったら、雨が多い日々ですね。
まあ、いいんですけど。水不足が心配されていたので。

おかげさまで、東京ヤクルトはマジックが出ました。でも、山田と村上が7月に入って打てなくなったのが心配です。

ではまた。