こちら葛飾区水元公園前通信926

 あけましておめでとうございます。

 って、もう1月も終わりですね。でも、2月1日は旧正月です。

 というわけで、あいかわらず、寒いです。

 

 まず、業務連絡から。

 トーキングヘッズ叢書No.89「魔都市狂騒」ができました。今回も少し書かせていただきました。すでに書店に並んでいると思いますので、ぜひお買い求めくださいますよう、よろしくお願い致します。

 

 それから、2月3日に発売されるリベラルタイムの3月号にも書かせていただきました。テーマは「グリーンフレーション」です。こちらは、日経と朝日新聞にも広告が出るのですが、名前まで出てしまって、まあ、なんですね。こちらもぜひ。

 

 あと、発行はまだ先になるのですが、SF同人誌フェリシアの40周年記念号が出る予定です。ひさしぶりにちょっと長めの小説を書きました。他にも昔のメンバーが書いているので、交互期待。って、この変換いいな。

 

 血液検査の数値は改善しつつあるのですが、このお正月を怠惰に過ごすとまた悪化することは確実なので、とにかく歩くということで乗り切りました。

 1月2日~4日にかけて、7福神巡り×3日という、合計21神めぐりですか。柏、流山、川崎と歩いてきました。柏と流山はけっこう距離があって、鉄道を使わないと無理ですね。でもまあ、田園風景や史跡がある中を歩くのは楽しいものです。

 柏七福神は年間を通じてやっています。

 

 ということで、1月からトレッキングも開始。まだ年初なので軽くということで、最初は東丹沢の華厳山から。まだヤマビルが眠っているうちに、というのもあります。

 本厚木駅から半原行のバスで行くのですが、登山口はゴルフ場の先にあって、コースの中を歩くのがちょっと大変でした。

 それから、南高尾の草戸山。こちらも低山ですが、高尾駅からアクセスできるのがいいところ。ゆるっと歩き、橋本方面に出ます。途中、山羊を飼っているところにも出会ったのですが、なぜ山羊をかっているのかといえば、そこは八木重吉記念館だとか。それかよってつっこんでしまいます。

 2月もまた、ゆるっと東丹沢方面を中心にトレッキングする予定です。

 

 最近は、読んだ本はツイッターに写真をアップしています。まあ、こんな本を読んだんだ、という記録として。

 年末は志賀櫻著「タックス・ヘイブン」(岩波新書)、「タックス・イーター」(岩波新書)、「タックス・オブザーバー」(エヌピー新書)の一気読みでした。タックス・ヘイブンというと、ケイマン諸島とかもありますが、米国や英国の中にもあるという。まあ、金持ちは税金を納めていないよな、という。ぼくが本の通販でわざわざサービスの悪いHontoを使うのにも理由はあるのです。

タックス・イーターといえば、税金をむさぼる人々でしょうか。今でいえば、アベノマスクだの補助金をクーポン化するだので中抜きする人たちがそうですね。

タックス・オブザーバーですが、国税庁もきちんと仕事できてない現状でしょうか。

でもそれ以上に、著者の志賀の経験っていうのがなかなかすごいというか、世界各地でヤバイところを渡り歩いてきた公務員というか、そっちの話がおもしろかったりします。

劣化ウラン弾のほこりが舞う中を歩いたおかげで、毎年検査をしているというのは、まあ、大変だよな、というだけではなく、すでに故人なのですが、死因はそこかな、とも思わせます。

 

川本直著「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」(河出書房新社)を今さらながら読みました。気になっていたので。実在の人物、アンディ・ウォーホールとかゴア・ヴィダルとかいろいろ出てきて笑えたりもしますが、いろいろ作り込んでいて、なかなか読ませます。BLといえばそうなんだけど。

 

M・ジョン・ハリスン著「ヴィリコニウム」(アトリエサード)は、かつてサンリオSF文庫で出ていた「パステル都市」の改訳に短編を追加した本。サンリオで読んだときよりも読みやすくなったという印象があるけど、そもそもサンリオを読んだときのことをあまり覚えていないなあ。

未来を舞台にしたヒロイックファンタジーとでもいえばいいのかな。なんか、スチームパンックっぽい情景が美しいです。主人公も戦士より詩人があっているとか。終末の風景でしょうか。

 

終末といえば、山野浩一岡和田晃編「いかに終わるか」(小鳥遊書房)も読みました。山野浩一の単行本未収録の作品を集めた本ですが、山野の新刊が読めるというだけでありがたいものです。岡和田による発掘というのは、あらためてたいへんな作業だったろうなあとも思います。

収録作品でいえば、巻頭の「死滅世代」がなかなか救いがなくて、いかにも山野らしい作品だなあって思います。これを読むだけで、十分に価値があるかな。

エッシャーの絵を題材にした掌編がたくさん収録されていて、作家としての山野の器用さもあらためて知ることができるし、遺作の「地獄八景」は、山野自身、まだ書けるんだって思わせたという、意外な面も見せてくれます。

終末に向かう時に、人々は内宇宙に入っていく、というイメージをもってもらえるとわかりやすいかな。

山野がぼくの夢日記に興味を持ってくれた理由もなんとなくわかる。

 

フェミ関係でいえば、高橋幸の「フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど」(晃陽書房)は、第二波フェミニズムからポストフェミニズム、第三波フェミニズムというのをうまく整理してくれる本でした。

なんか、フェミニズムは1つみたいに思われているけれど、そうじゃないです。

中学校の制服にたとえると、「女子生徒もズボンをはいてもいいんじゃないか」というのが第二波フェミニズム、「女子生徒は制服をかわいく着こなそう」というのがポストフェミニズム、「そもそも制服なんていらないんじゃないのか」というのが第三波フェミニズム、ついでに「制服はしっかりと着なきゃ伝統は守れないよね」というのはアンチフェミニズム

って書けばイメージできるでしょうか。高橋はポストフェミニズムを研究対象としていて、だからそこを境に、第二波と第三波をうまく説明できているのかな。

それにしても、後半、ソフレの研究報告が面白かったです。この言葉、初めて知りました。

 

田中東子編「ガールズ・メディア・スタディーズ」(北樹出版)は教科書としてつくられた、そのわりにはポップな本です。女性がどのように描かれているのか、というだけではなく、女性がどのように描いているのか、ジンの研究まで含まれていて。第二波フェミニズムであれば、女性の描き方がいかに不当なのか、ということにフォーカスされるのでしょうが、田中らはそこではなく、いかに描くかということの方を重視していると思います。

「温泉むすめ」に腹を立てる人もいるわけですが、視点はそっちではなく、例えばドラマの中の女性がどのように変わってきたかが重要です。それはもう、「逃げるは恥だが役に立つ」はその代表例ですね。

 

ということで、今期はアニメではなく、ドラマを見ています。

原作が好きなので、ドラマも見ようというのが「シジュウカラ」。40歳既婚で息子がいる女性が主人公。仕事は漫画家。夫は10歳年上で家父長的。そんな夫はいやだなあと思う主人公、アシスタントの20代男性にひかれてしまう。既婚でも40歳からでも恋愛はできる、という、そういうポジティブな話と、なんだかどろどろした不倫話と、両面で見られるっていうのが原作のいいところ。ドラマの主人公は、山口紗弥加。なんかいい感じ出してます。

 

もうひとつが、「となりのチカラ」です。なんか、予告編を見たら気になって。松本潤が演じる鈍くさい主人公の職業がゴーストライターで、なんか、他人と思えないですね。妻が上戸彩ですが、怖いです。引っ越し先のマンションの両隣などご近所がいろいろ問題を抱えていて、でも主人公がそれを解決できないという、そういうコメディです。

児童虐待にヤングケアラーなどいろいろな社会問題てんこもりです。

松嶋菜々子のおばさんっぷりがなかなかすごいです。

今のところ、そこまでお勧めするというものではないですが、まあ、こんなものを見てます、ということで。

 

 ではまた。

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