こちら葛飾区水元公園前通信817

tenshinokuma2014-05-27

 こんばんはです。
 今夜も、宣伝から。
 5月26日発売の週刊エコノミストで、「大飯原発差し止め訴訟」についての記事を書きました。短い記事ではありますが、立ち読みしてやってください。
 この訴訟、原発の再稼働という点から見ると、日本列島の地震は想定外のものを考慮すべきだということになります。判決を読んでいると、日本で原発を稼働させることに、そもそも無理があると思います。
 福井地裁の判決は、高裁などの上級の裁判所でひっくり返り、関電が勝訴するという可能性は低くありません。ですが、関電に対して現在以上の地震対策を求めるということをひっくり返すのは、論理的に難しいのではないかと感じました。関電は、大飯原発を再稼働させようと思ったら、相応の地震対策をしなくてはいけないということです。もっとも、現在、原子力規制委員会が関電により高い地震対策を求めています。
 現在の社会状況という点から見ると、人格権が経済的な利益よりも優位にくるという指摘が重要です。アベノミクスに限らず、日本には経済優先というみもふたもない考えが蔓延しています。経済さえ良くなればいい、みたいな。でも、その結果が、非人道的な労働政策であり労働環境であるわけです。原発が動かないと経済が悪化するという考えに対する批判です。
 でも、後者の論点は、記事ではあまり触れませんでした。媒体の性格を考えて、のことなのですが。

 今さら、ですが、「ヱヴァンゲリヲン破」と「ヱヴァンゲリヲンQ」をビデオで見ました。
 テレビシリーズとは違う展開をしている新劇場版ですが、結局のところ、やっているのはループフィクションなんだな、と思いました。やり直しです。そのことが、次回作「ヱヴァンゲリヲン:|」のタイトルでも明らか、というか。
 それでは、やり直しにどれほどの意味があるかというと、結局のところ、同じなのかな、と。同じあやまちを繰り返すだけ、というか。ぼくとしては、別にループフィクションに思い入れはないし、そういうこともあって、「魔法少女マドカ☆マギカ」に対する評価も低いのだけれども。
 まあそれはともかく、いつか、コミック版のハッピーエンドにつながると、いいね、というところでしょうか。
 ただ、そういうこととは別に、すっかり環境が破壊された、セカンドインパクト後、あるいはサードインパクト後の地球の姿に、宮崎駿とは違うリアリティを感じました。正直なところ、現在進行中の環境破壊は、セカンドインパクトもいいところです。深刻な未来を裏付けるデータも用意されています。あんまり話題にならないので、困るのですが。
 地球温暖化以上に海の酸性化が海の生態系を深刻な状況にしてしまう可能性だって低くないのですから。

 今月のおすすめは、赤坂真理の「愛と暴力の戦後とその後」(講談社現代新書)です。これは、読め、と言っておきます。って、「東京プリズン」のときもそうでしたっけ。
 改めて、彼女が指摘するのは、1945年以降の歴史がきちんと伝えられていないということです。例えば、60年安保闘争と70年安保闘争が、それぞれ何だったのか。憲法という言葉の意味はどういったものであるのか。そういったことです。
 あるいは、日本は平和国家だったといいます。でも、高度経済成長の原動力となったのは、朝鮮戦争であり、ベトナム戦争ではなかったか、と。
 昭和天皇が戦争責任を追及されなかったことについても、いつのまにかすっかりなかったことにされてしまったのではないか、その位置付けができていないのではないか、と。
 面白かったのは、「ドラえもん」に登場するジャイアンが、自らをガキ大将だと言いつつ、手下もいなければ、リーダーシップを発揮する場面もなく、ひたすらヒステリックに暴力をふるう。とはいえ、陰湿ではない。それはジャイアンが、ガキ大将の居場所がなくなった社会にいるからであって、劇場版における困難な世界に行くと、ガキ大将の良さがようやく発揮できて、だから「良いジャイアン」になれる、と。
 地域から空地がなくなり、子どもが管理されるようになって、その結果として、ガキ大将がいなくなった、その風景を忘れている、と。
 その忘却の果てに、日本の小さなコピーであるオウム真理教に対して、語る言葉がなく、あるいは、空気が閉塞感を生み出している、と。
 こうしたことを、一つ一つ、確認しながら書いていく赤坂の本は、教えられることが多いです。少なくとも、内田樹高橋源一郎の対談というかヨタ話でしかない「沈む日本を愛せますか」よりははるかにマシである。
 というか、あえて内田と高橋を出したのは、赤坂が指摘するような問題に対し、団塊の世代は当事者として語る言葉を持たないのではないか、ということなんですけど。
 まあ、ぼくが赤坂と同じ世代っていうのはあります。あるいは、いとうせいこうも同じ世代だし、「想像ラジオ」を評価するのも、そういうところはあるかもしれない。もっとも、新刊の「鼻に挟み撃ち」はあまり面白くなかったけど。

 これは、以前も書いたと思うけれど、そろそろ20世紀の日本について、歴史的な評価付けという作業をしてもいいと思います。
 例えば、昭和天皇ですが、彼が行ったことを、歴史の中で評価し、位置付ける作業です。戦争にどのようにかかわり、戦後はどのようなはたらきをしたのか。どのような責任があり、なぜその責任が追及されなかったか。
 こうしたことが置き去りにされたまま、4月29日が昭和の日として祝日であり続けることには、違和感があります。昭和天皇が問われるべき罪が、少なくとも犯罪ではなく歴史的評価として、あいまいにされたままでいいのかどうか。
 江戸時代ならともかく、1945年以前の政治の中心にいた天皇として、どうだったのかは、歴史という学問の中で評価されるべきです。

 このことが、現在の天皇にもかかわってくるとも思います。
 最近、右翼の人たちが天皇を再び神格化したいようなことを言います。そして、うっかりすると、そうした憲法改正という主張について、これを否定するような天皇の発言はいかがなものか、などと批判したりもします。
 けれども、現在の天皇は、現在の日本国憲法の中で、青年期を過ごし、一般人と結婚し、そうした戦後の日本というものを代表して生き続けてきたと思うのです。その彼に対し、昔の憲法天皇に戻れと言っても、彼は困ってしまうのではないでしょうか。
 天皇制を肯定しようとは思わないのですが、そうであっても、現在の憲法で規定された存在に対し、別の憲法を支持しろ、というのは、本人には論理的に肯定できないことだと思います。
 最近、小山駅で撮影された天皇と皇后のにこやかで庶民的な写真が、ツイッターにアップされました。そこには神格化された姿はなく、象徴として公人として24時間過ごさなくてはならない人間の姿があったと思います。
 それが、改憲という政治的に利用されることを否定する、政治的な姿なのではないかと。
 天皇制を認めるかどうかは別にして、こうした姿勢が、いずれ歴史の中での現在の天皇の評価になっていくとも思います。

 歴史の話に戻ります。
 日本の20世紀の歴史を正しく分析し、評価し、位置付けること。こうした作業は、東アジアの政治的状況を変えるためにも必要なことだと思います。
 従軍慰安婦がいたかどうかや、南京大虐殺で何人が殺されたかということと、戦後の賠償がサンフランシスコ条約で無しになったのかどうかといったこと、こうしたことを、国という枠をはずし、第三者として見なくてはいけないと思います。歴史学者は国に従属するものではないのですから。
 日本という国に、黒歴史があったって、それから目をそむけてはいけないし、そのことで個人が尊厳をなくす、ということでもないと思います。

 えーと、「神の雫」は、7月発売の44巻でとりあえず完結するということですが、12使徒のワインまでで、最後の神の雫は次の作品になる、とか。これって、RPGでラスボスの前に12匹の中ボスを倒したら、ラスボス退治はバージョン2まで待ってね、みたいな話ですね。まあ、いいんですけど。
 神の雫の前に、新12使徒が登場して、また最初からやり直し、とかだったら、どうしよう。
 でも、「神の雫」については、ぼくの中では評価は高いんです。ワインに限らず、お酒を味わうということの奥の深さは、なかなか描かれたことがなかったので。
 「美味しんぼ」ですら、いろいろと表現をするけれど、結局のところ、おいしいかどうか。
 でも、ぼく自身、日本酒でもワインでも、味わうときには、その向こうにある風景を探します。極端なことを言えば、好きなお酒っていうのは、語れるお酒だって、そう言います。日本酒も、いろいろと飲むと、その向こうに造り手の姿が見えます。これは、本当です。そういうことが、お酒を飲むことの豊かさなんじゃないかと。
 で、「美味しんぼ」の鼻血の件ですが、それはまたいずれ。

 最近、たまっていた「一週間フレンズ」を一気に見ました。これは傑作です。というか、月曜日になると友達の記憶がリセットされて、最初からやり直すというのは、切ないです。楽しかった記憶もなくなっていて、それでも日記を読み返して、楽しかったであろうことを想像するのは、なかなかしんどいです。
 機会があれば、ぜひ。

 写真は、三菱電機の掃除機と炊飯器の新製品発表会。「風神」というブランドは、プロレスを思い出すな。それはともかく、掃除機については、なかなかいい製品に出会わない。古い昔の掃除機の方が良かった。吸引力がすぐに下がるし、その原因はフィルターだけじゃなく、ホースの部分がわりとつぶれやすく、これが吸引力に影響する。
 炊飯器は、いいのを買った方がいい、と思う。毎日使うものなので、炊き上がりや保温がものすごく大事。でも、11万円もする高級品を買うかというと。玄米がおいしく炊けるのはいいけど。