育児レスパイトケア

tenshinokuma2014-03-19

 うちの母親が勝手に玄関に埋めた球根なのだが、今年も無事に咲いた。もう10年以上になるな。
 去年の夏、うっかりほりおこしてしまったのだけれども、どうにか。かえって、球根の分布がばらけたので、背丈が伸びたかもしれない。
 さて、ベビーシッター事件だけれども、事件そのものは痛ましいし、容疑者は非難されて当然なのだけれども。
 気になるのは、あずけた保護者に対するバッシングはありませんように。
 本質的な問題は、この国に「育児レスパイトケア」という発想がないこと。レスパイトケアとは、ケアする人に対するケア、というのかな。介護の分野ではよく言われている。介護疲れを避けるため、たまには要介護者をショートステイに預ける、ということ。
 では、育児はどうなのか。保護者が病気とかならともかく、育児疲れを解消するために、子どもを預けるという発想はない。
 介護のレスパイトケアであれば、介護福祉施設におけるショートステイや、日中だけであればデイサービスもある。ショートステイであずかってもらって、家族で旅行、というのもアリだ。
 でも、子どもを預かってもらって、パチンコとか、お泊りデートというのは、いいのだろうか。ここで「レスパイトケアだから」と言ってしまうと、それもアリだな、と思う。介護者がずっと介護者でいる必要がないように、保護者だってずっと保護者でいる必要はない。
 介護から解放される時間をつくるレスパイトケアは、ある程度は社会的合意があるから、フォーマルなサービスとして存在する。でも、育児については、レスパイトケアという発想はないから、フォーマルなサービスはほとんどない。し、あっても高い。したがって、場合によっては、今回のようなインフォーマルなサービスに頼るしかなくなってしまう。
 今回の事件で、あらためて思うのは、育児レスパイトケアが提供されるようになれば、多くの命が助かっているのではないか、ということだ。また、そのためには、育児をときどき休んでもいいし、「何をしているのかは、ケアなので問われない」という社会的な合意が必要ということだ。子どもがいない人にとっては、あたりまえのことが同じようにできる、ということは、メンタルなケアとして必要なことだから。
 先日、日本介護経営学会のシンポを取材していて、社会福祉法人は既存事業だけじゃなく、地域にニーズがある事業にもっと積極的に取り組むべきだ、という話がされていたのを聴いた。そこでは、生活困窮者支援事業というのがある。そうした事業の1つとして、乳幼児のショートステイを含むサービスがもっとあってもいいと思う。また、自治体が支援して、事業化を促していくというのもアリだろう。

(追記)
http://www.komazaki.net/activity/2014/03/004462.html
 正確には、そういう事業があっても、ハードルが高い、ということが問題なんだろうな。高いし。