大きな政府

今回の選挙だけれども、いくつもの不満、課題がある。
第一に、今回の選挙で問われたことは、「年金問題」だと言われている。けれども、これは何かというと、「大きな政府」か「小さな政府」かということではないだろうか。
地方の選挙区で自民党が負けているというのは、実は小泉が進めてきた地方切捨てが、顔が変わることで明確にしやすくなった、ということだと思う。そして、年金問題ということになると、実はそもそもかつて集めた年金を無駄遣いしてしまったわけで、穴埋めはどうするのか、ということなのだが、そのためには、やはり税ということになる。
では、増税するのか。そこで、消費税という議論が出てくる。しかし、この考えには単純に与しない。税は、所得の再分配をするしくみだからだ。だが、消費税にはその効果はない。逆進性というものである。
明らかに、大きな政府を求めていた、それが国民新党ではなかったか、と思う。そして、小沢もまたそうしたタイプの政治家だということだ。
そして、この議論ということになれば、容易にわなに陥る。増税よりも小さな政府、ということだろうか。だが、そうした選択がいいのかどうか。
次の総選挙では、まさにその点が問われるはずだ。しかし、それが民主と自民という対立なのかどうか。所得の再分配をどのように実現していくのかどうか、その説明。そのことが問われる。
そして、その問われていることについて、どれほど有権者が理解するのかどうか、そこも問題だろう。というのも、今回の参議院議員選挙投票率が低い、ということにつきる。
所得の再配分を認める、ということは、マジョリティがマイノリティに目を向けるということでもある。都市部が地方に目を向けるということなのだ。
さらに言えば、地方が、あるいは所得の低い人々が、健康で文化的な生活を送ることができるのかどうか、ということでもある。その点からしか、憲法を考えるしかないのではないか。
社民党共産党議席を減らしている。いずれも憲法9条を守ることを訴えてきた。だが、そのことがどれほどリアルであったのか。それをいかにリアルにしていくのか、それは本当に、次の選挙まで課題ということになると思うのだけれども。

安倍はやめるつもりはないらしい。多分、安倍の失敗というのは、お友達で内閣をかためてしまったことだろう。そのことが不祥事に結びついている。その意味では、むしろ安倍がリーダーシップをとれない形でも内閣改造に動くだろう。でもまあ、それはどうでもいいや、レベルのこと。とりあえず、強引にわけのわかんない法律が成立することがなくなったということだけは、確実に言える。目の前の政治的課題ではなく、長期的な思想的課題が一気に進んでしまったこの2年というのは、それなりにひどい国会だったと思っている。